naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

ポータブル赤道儀を考える(1)

今年は皆既日食があるので、旅行にも持って行けるような赤道儀がほしいなとは思っていました。
このジャンルの赤道儀は、ポータブル赤道儀ポタ赤」というものです。
天体望遠鏡のドイツ式赤道儀はバランスウエイトも必要で、大きく、重いのが常識です。
また、自動導入の出来る経緯台であっても、視野が回転するので写真撮影には使えません。

そこで、「ポータブル赤道儀」が登場する訳です。可搬性が高く、セッティングも極軸合わせさえすればいいので、大変便利です。
30年くらい前に、自作ポタ赤がはやりました。
製品としては、古くから「スカイメモ」などがありますし、今でも数社から販売されています。

一般に販売されている「ポタ赤」は、実はドイツ式赤道儀の極軸部分と同じ構造で、その回転中心付近にカメラを搭載するものです。極軸は「片持ち構造」ですから、ポータブルな大きさでは十分な剛性が持てません。そして、赤道儀の生命であるウオームホイルも、直径に制約が出てしまいますから、せっかくの高精度加工、高級品であっても、敏感に誤差になって効いてきます。

これではせいぜい標準レンズの追尾精度までで、それ以上は重量と焦点距離の問題で使用することが不可能と言えます。単にピリオディックモーションを論議するだけでなく、荷重による精度低下も考慮しなくてはならないのです。

この解決に当たり、もっとも有効な解は、「ウオームホイル径、極軸を大きくする」ことです。しかし、従来のポタ赤に限らず、ドイツ式赤道儀の形状では、装置全体が大きくなる問題がありました。
従って結局は大きな天体望遠鏡用ドイツ式赤道儀に、ガイド望遠鏡を載せ、撮影用に使っている訳です。
特に最近は、「オートガイダー」が一般にも使えるようになっています。ちなみにこれは、CCDなどで捉えた星像のずれを補正するように、赤道儀の微動モータを制御するのです。
これは1990年頃、ニコン天体望遠鏡ではじめて実現されたことです。
現在では冷却CCDなどで、赤経赤緯の両軸を補正できるので、「赤道儀の精度を気にする時代は終わった」とまで言われています。

しかし、
これでは撮影鏡筒のほかにガイド鏡筒を同架するのですから、耐荷重性能が大きい、重量の重い赤道儀に行き着くわけです。
ここでいう「ポタ赤」はその対局にある赤道儀です。
従って、現代の赤道儀の中でももっとも高精度が要求されるのは、ポータブル赤道儀と言えるのです。

それなのに、ポタ赤が、先述のように、ドイツ式の一般型の極軸部分を小型にしたようなものでは、加工精度を極限まで上げて行かなくては精度が上がらず、矛盾してしまうわけです。


しかし、大きなウオームホイルを持つことができて、剛性が高く、しかも、ポータブル、という新しい赤道儀ができたとしたら。
そんなことで、筆者の「新型ポータブル赤道儀」計画が始まったのが昨年の今頃でした。

(以下次号;)