naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

ポータブル赤道儀を考える(3)

つぎに必要なのは「剛性」です。耐荷重性能といいますが定義がはっきりしません。
ドイツ式赤道儀では極軸が全荷重を、軸端に受けて、かつ、高精度に回転しなくてはなりません。回転軸に耐荷重性能をあげるには、ボール、ローラーベアリングを使うのが良いのですが、ただ入れただけでは一般に精度は落ちます。昔、自作ポタ赤がはやった頃は、ベアリングにピローブロックを使ったものが多かったのですが、これなどはがたがたなんですね。しっかりと予圧を与えてがたを抑えることが重要です。しかし、予圧を与えるには、スラスト方向につっぱるようにするので、回転調子が悪くなったりして、両立が難しいものです。

他にも、軸の長さや径が大きい方が良いのですが、いずれも大きく、重くなるので、ポタ赤では困ります。

そして、レンズ、カメラの搭載の仕方も、剛性に効きます。
一般的に、ポタ赤のカメラ取り付け部は極軸の先端なので、そこにカメラ雲台を取り付けます。すると取り付け面は、55°(=90°−35°)なので、三脚を横に寝かせたような形で雲台を取り付けることになりますから、カメラ取り付けねじに剪断、曲げ応力が発生するようになります。これはたかが6mm程度のねじにはかなりの負担です。
同じく、ポタ赤本体を三脚に固定するのも、カメラ雲台に載せるものも多いので、35°傾斜させた状態で保持するには相当な剛性が雲台に必要です。

筆者は、これらの解決に当たり、ドブソニアンの下に敷くプレート状の赤道儀ポンセマウント=ポンセットマウント(Poncet Type)やギーマウント(Gee Type)を参考に、これを改良することにしました。
これらの赤道儀は、上部に大口径ドブソニアンを載せて使用するため、平面になっており、また地面に置いて使用するため、設置面も水平なので、上述のような剛性の要素は持っているのです。

市販されているポンセマウントの例です。(国際光器EP-1)

Lbplat8

Lbplat11

ですが、問題は肝心の追尾精度です。もともと20kg、30kgの重量物を載せ、眼視専用の設計ですから、ローラーで回したりして、当然追尾精度なんぞ意識していないのです。そもそもこれだけの重量のある物を精度良く駆動するのは困難ですし、ひらべったいスペースに駆動機構を組み込むのは困難だったのです。

筆者はそれを、扇形ウオームホイールを用いて解決しようと考えました。
さらにポンセマウントの長所である剛性の高さは、そのまま生かすために、荷重を受けるのは駆動とは無関係のローラーとしました。

ポンセマウントが1時間程度しか駆動できないのと同じく、駆動できるのは2時間だけですが、以前と違って写真撮影もデジタルカメラに変わり、空の明るさを考えると、どんなに長時間露光しても30分程度、むしろ短時間露光でコンポジットする方がS/Nが上がるのですから、写真撮影目的の赤道儀に全周駆動は必要ないのではないでしょうか。
この割り切りが出来たとき、筆者の中で構造がまとまりました。

まだ続きます;)

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