naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

木星2010年9月5日

9月に入っても暑い日が続く。

しつこいようだが、木星写真である。
画像処理もいろいろ試しているところ。

木星
撮影日: 2010年9月4-5日(JST
露出時間: 動画約30秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレン)、高橋90S
カメラ: ニコンP4、MOV、デジタルズームx約1.8、ニコン アイピースNAV-10SW+EiC-16
画像処理:コンポジット(約1000枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、最大エントロピー法、マルチバンドシャープ=ステライメージ5
シーイング 4-7/10、透明度4-2/5

22時25分 シーイングが悪い
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0時1分 シーイングが急激に改善
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0時4分
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0時25分
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0時27分 急激に雲が広がって来た
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ところで、先の記事にも書いたように、この手の写真は露出不足になりやすいのが難しい。
というのは、大気の揺らぎ、ぼけを画像処理でキャンセルするため、コンポジット(重ね合わせ)法を使う。昔、銀塩の頃は階調を滑らかにするためだったが今は強力な画像復元フィルターに耐えられる階調を必要とするため1000枚にも及ぶ。
しかし、元々の画像一枚一枚が少しでもシャープな画像情報がないと”あぶりだす”ことができないので、大気の揺らぎの影響を受けにくい速いシャッターを切りたい。
一方、感度を上げるとノイズが多くなるので、それに埋もれてしまう。そこで無理にアンダー露出をすることが多い。天体写真はどのジャンルでもノイズとの戦いだ。

そこで、これも以前書いたように、裏面照射CMOSとか、低ノイズデジカメに期待が大きかった。
筆者も裏面照射CMOSソニーハンディイカHDR-CX170を購入、試してみた。

動画は大変きれいで、木星の模様もはっきり見えるほどだ。
数枚切り出した画像は以下のよう。

J201008273

ところが、1000枚コンポジットして、いつもどおりラプラシアンフィルターをかけるとこうなる。

J201008274

いろいろ試してみたが、結局元の絵が一番良く、画像復元はだめだった。
おそらく、動画段階から強烈なソフトウエアノイズリダクション(細かな模様はつぶしてしまう)と輪郭強調(本来持つグラディエーションが消える)がかかっているためだ。
処理方法をいろいろ検討した結果もだめで、あきらめるしかなかった。せめてカメラ側で強調処理がオフにできると救えたかもしれないが。
聞くところ、裏面照射CMOSの画質は悪いそうなので、素材性は技術が向上しても望めないかもしれない。

他方、ニコンクールピクスS5100も借用できた。これは「デジスコ」用アタッチメントも用意されているので撮影しやすい。
動画での画質も良くハンディイカムより期待された。

1000枚コンポジット、画像処理の結果。


20100828_035026dscn7707k

おしい!
模様の抽出まではなんとかできるのだが、やはり輪郭強調がかかっているようで、その影響で妙な輪郭線がでてしまう。これもカメラ側でオフできない。大変惜しい画像だ。もちろん一般撮影ではこの方が好ましいのだが。

ちなみにいつも使ってるクールピクスP4の一枚切り出し画像はこんなものだ。

20100905_000300dscn7737ksingle

ノイズがたくさん乗っていて、上記写真に比べると劣って見える。しかし、ここの写真にはデータがしっかり残っていて、1000枚集めた結果が上記のような写真になる。

このように、「技術の進歩」は良いことかもしれないが、「素材」としての純粋な画像入力機器としては、デジタルカメラ、デジタルビデオは外れて来ている。
使用中のP4も、起動時にレンズが引っかかるようになって来て、代替え機が欲しかったのだが、「デジスコ」用デジカメもだんだん選びにくくなって来ているようだ。
本当は、カメラの各種画像補正をオフに出来るのが良いのだが、生で出て来た画質が悪いと、いかにも中で「絵の具」処理をしています、という感じなのでメーカーも警戒しているのかもしれない。
しかし、このままでは惑星写真用カメラは、内部処理の無い工業用カメラばかりになってしまう。それではますます敷居の高いことになってしまうのだ。

昔、ここに書いたように、高級コンパクトデジカメで、ノイズリダクションがデジタル一眼レフのようにユーザーでオンオフが出来、しかもレンズ交換が出来る、そんな製品が出てこないだろうか。
デジタル一眼の動画でも良いが、撮像素子が大きく、惑星写真には拡大率を上げなくてはならない=暗くなる=ぶれやすい、ノイズが乗りやすい、のが問題。キヤノンEOSのようにクロップ動画で素子の狭い面積を使って望遠拡大が出来るのも良い。
ニコン”党としては無理だが(笑)。