naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

木星2010年9月21日

飽きもせず木星
今日23日は前日までの真夏日から一転、肌寒いくらいの気温と、降り続く雨だがいきなり豪雨となる、暴力のような天候だ。涼しくなってくると大気が揺らいで木星の観測条件も悪くなるだろう。
しかし、今年の暑さにはまいった。

木星
撮影日: 2010年9月21日(JST
露出時間: 動画約30秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレン)、高橋90S
カメラ: ニコンP4、MOV、デジタルズームx約1.8、ニコン アイピースNAV-10SW+EiC-16
画像処理:コンポジット(約1000枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、最大エントロピー法、マルチバンドシャープ=ステライメージ5
シーイング 4-5/10、透明度3/5

21時04分
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21時48分
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22時36分
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23時26分(シュミットカセグレン望遠鏡の補正レンズに露が降りて曇ってしまった)
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さて、見てくださっている人の多くは、自転によって大赤点が回って行くのが写っているけれど、毎回同じような写真だ、と思われているだろう。
しかし、木星の模様は、大気の渦が見えているものなので、地球の雲と同じく形を変えて行くものだ。
特に今年のように、例年になくSEBが見えない状態は「異常」なので大きな模様が見えないということになるが、その分、細かい模様を観察しやすく、その変化にも気がつきやすいものだ。
例えば、このブログに出て来た写真を比べてみるとこんなことがわかる。

2010年7月28日3時18分(JST)
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2010年8月28日3時46分(JST)
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2010年9月5日0時4分(JST)
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2010年9月21日22時36分(JST)
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大赤点(GRS)は望遠鏡で見るとこれほど赤く感じないが、まわりに南赤道縞(SEB)が見えなくなったので、こういうときは赤みが増す。この夏の間は大きな変化が無いことがわかる。
その上(南)に南温帯縞(STB)があり、その途中に割り込むように、小さな赤い点がある。これは永続白班(BA)と呼ばれる模様だが、赤みが強くなっている。
さらにその位置を見てみると、はじめは大赤点の右側(西)にあるものが、徐々に左側(東)へ移動し、最近では完全に大赤点より左側に追い抜いて出てしまった。
その詳細を見ると、大赤点とBAの間に「腕」があるようにみえる。言ってみれば、大赤点という台風から、温帯低気圧であるBAの間に前線となって雲が出ているわけである。もっともこれらの赤い点は高気圧的な渦ということだが。

このように模様の位置は大赤点も含め移動して行くので、これらの動きを詳細にプロットして行くと木星の大気の動きがわかる。実際の観測はデータの安定性継続性が必要で、拡大率や画像処理がころころ変わってしまう筆者のような写真は役に立たないが、継続していれば目で見てその変化が分かることもある。それもまた木星観測の楽しみである。
今年は大きな縞が一本しか無いが、来年には二本に増えていることだろう。その変化を楽しむためにも今を見ておくことが大切だという気がする。それは星に限ったことではないだろう。