筆者のマウントはビクセン製アトラクス2のスターブック仕様です。
スターブックはもう10年も前に出ていて、天体望遠鏡赤道儀のコントローラーとしては破格に豪勢な液晶がついていてすばらしいのですが、最近はiPadなどのタブレットで美しい画面のプラネタリウムソフトがあって、しかもWiFi無線でgoto機能(望遠鏡の自動視準)が使えるようになっています。
特に「SkySafariPro」というアプリが、エンコーダーと連携できる「NEXUS」というWiFi搭載望遠鏡コントロールアダプタと組み合わせると視準先がアプリ上に連動する、あるいは自動視準コントロールがアプリから出来るので話題になっています。
これらの美しい画面や天体検索のやりやすさを見てしまうと、スターブックはいまとなっては見劣りします。(ちなみにビクセンもスターブックテンという新機種が出ています)
しかし、このスターブックにはLANケーブルコネクタが装備されています。もともとパソコンとの通信用ですが、「SkySafariPro」のホームページに、ここに無線LANルーターをつなげて無線化するワザが出ていたので実行してみました。
まずうちのアトラクスです。「ニューアトラクス スターブック仕様」です。
ここにLANケーブルを付けます。注意すべきは、パソコンとの直付けでは「クロスケーブル」を使うようになっていますが、ここでは普通の「ストレートケーブル」を使います。
ここにAppleAirMacExpressを付けます。これが、WiFi環境下では勝手にぶら下がりますので、iPadもその環境につなげれば良いのですが、そうでない屋外などでは、直接AirMacExpressの無線環境につなげます。当然インターネットにはつながりませんが、「SkySafariPro」の望遠鏡コントロールで接続すれば使えるようになります。
画面のような環境で「SkySafariPro」による操作により自動視準が出来ます。無線というのはやはり振動も無く便利です。
ところで、ビクセンのスターブックはちょっとした?欠点が有ります。意外に知られていないので簡単に触れておきます。
スターブックは起動時に真西に望遠鏡を向けます。これをホームポジションというのですが、これを正確に、どのくらい正確にかというと1度以下、にしておかないと、あとで行うアライメントをどれほど正確に行っても、狂いが出ます。
スターブックはアライメントによって、極軸も狂っているものとして補正してしまうからです。せっかく極軸を正確に合わせておいても、ホームポジションで狂っているとその影響で誤差を持つのです。
正確にホームポジションを合わせる方法は有りません。従って回避のしようがないのです。
そこで、裏技?を記します。
正確に、数分程度に極軸を合わせたら、適当に西に向けた位置からスタートして、めぼしい星を自動導入します。おそらく大きくずれていますが、ここで通常は赤道儀のクランプは緩めずにモーターでアライメント作業をするのを止めて、あえて「クランプを緩めて手動で正確に、数十分以内に、星に視準します」。その状態で「アライメント」します。
これはスターブック側に「完全に極軸が合っていて補正の必要が無い」と錯覚させたわけです。当然極軸が合っているのですからこれで良いのですが、ホームポジションの誤差がなかったと錯覚させることがミソです。
ちなみに最新の「スターブックテン」では極軸が合っている前提のモードが有ります。従来製品でも対応してほしいものです。
最後に、木星、そして明け方の土星、火星です。記念写真程度です。なかなか気流が安定しないのですがそれでも良い写真を撮られている方もいるので修行?が足りませんが、ご覧ください。
撮影日:2014年3月11日19時32分(JST)
露出: 1/30秒、ISO1600
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレンF10)、ビクセンアトラクス
カメラ: ニコン1V1+10-30mm(22mm)画像サイズS、カメラブラケットDSB-N1,ニコン アイピースNAV-5SW
画像処理:コンポジット(100枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、画面サイズを0.8倍=土星の写真に合わせるため
シーイング 2/10、透明度3/5
撮影日:2014年3月12日3時10分(JST)
露出: 1/4秒、ISO1600
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレンF10)、ビクセンアトラクス
カメラ: ニコン1V1+10-30mm(22mm)画像サイズS、カメラブラケットDSB-N1,ニコン アイピースNAV-5SW
画像処理:コンポジット(100枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker
シーイング 2/10、透明度1/5(霞がひどい)
火星
撮影日:2014年3月12日3時36分(JST)
露出: 1/15秒、ISO1600
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレンF10)、ビクセンアトラクス
カメラ: ニコン1V1+10-30mm(22mm)画像サイズS、カメラブラケットDSB-N1,ニコン アイピースNAV-5SW
画像処理:コンポジット(100枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、画面サイズを0.8倍=土星の写真に合わせるため