旧・東海道の面影4 代官屋敷・武相国境道

今回は、地図を少し変えてみました。 代官屋敷は、境木地蔵の南側、武相国境道は境木地蔵から西に延びる古道です。 萩原代官屋敷は残っていませんが、いかにも武家屋敷といった風情の門がそのまま残っています。まわりは竹林に囲まれ、今では子孫の方が竹細工の工房を開いています。 ここは昔の国境で、相模国平戸村に位置します。ここに代官屋敷が有るのは、やはり国境の要所だったのでしょうか。幕末には道場を開いていたようで、新撰組近藤勇が訪ねて来た記録が有るそうです。 この門は、先述の焼餅坂下谷宿からたどる平戸町側に面しており、すぐ裏手が境木地蔵ですが、そこからだと回り込むような小道しか有りません。相模国の代官だったため、武蔵国側に向かうわけにはいかなかったのでしょうか。 境木地蔵に戻って、西側へ向かいます。 現在、環状二号線境木交差点に向かう道はマンションの間を抜ける広いバス通りですが、この道路は近年できたもので、その北側にある道路がそれまでの通りでした。マイクロバスもここを走っていました。 ところが、この通りも以前は無く、山を切り開いてできたものです。この写真は1981年のものですが、境木地蔵の今はない欅の先に見える小道のうち右側に見えるのがこの通りになります。 そして正面に延びる小道が紹介する「武相国境道」です。 上の地形図で確認すると、境木地蔵の北側から西側はいくつかの山になっていて、この武相国境道は山の尾根伝いに西へ延びていました。 いまでは全く面影がないくらい平坦な土地ですが、1980年頃は、この山がまだ残っていて、草の生い茂った所でした。1980年頃のこの写真は境木本町（このころはまだ境木町）の住宅地の西端から西を見た所です。 境木地蔵の北、今の「境木ふれあいの樹林」あたりから西を見た所です。1970年頃までは地形図を見ても分かるように、ここも山でした。筆者が小学生の頃は、造成のため半分が削られて崖になっており、地層が露出して多くの貝の化石が採れました。その下には水がたまってゲンゴロウなんかが採れました。 「武相国境道」を入って行くと左右が山や茂みになっていて周りが見えませんでした。1970年頃は、夏休みになるとカブトムシやクワガタムシを採りにこの雑木林の中へ入って行きましたが、筆者はなかなか採れませんでした。昆虫採集が得意なやつは、まだ薄暗い早朝に出かけて採ってしまうので、明るくなってからではだめでした。それにスズメバチの巣もあって、学校では入るのを禁じていました。 この写真は環状二号線のあたりでしょうか。この頃はこれでもかなり明るく切り開かれていて、それ以前は薄暗い茂みの中でした。 1981年頃、造成が一気に進みます。それまでは写真に撮ってもどこだかわかりませんでしたが、急に山を切り崩し、武相国境道の北側の山が谷の高さまで掘り下げられて、道だけが残っています。 環状二号線の建設のお知らせ看板。武相国境道はこのあたりは一部すでに削られていました。 1983年頃の写真です。先の写真では平坦な土地に慣らしただけですが、ここから一気に住宅地造成が始まります。 この頃、武相国境道は崖っぷちになっており、ガードレールも作られています。このまま残るのかと思っていました。 高圧線鉄塔から場所が分かるでしょうか。 武相国境道を環状二号線を超えて先へいった所から東方向へ振り返った所です。今はマンションが建っていてこちら方向は見えません。 さらに進んで登った所です。 そこから南側、東戸塚を見た所です。現在東品濃小学校の辺りには、これから始まる工事のためにコンクリート工場と飯場ができていました。 ちょうど清水谷戸トンネルの上です。境木本町方向を見ています。ここは現在墓地になっています。 その墓地の手前から撮影した2007年の写真です。法泉町の電波塔？が目印です。 その先は横浜新道でとだえます。1985年頃の写真では武相国境道の案内板があります。当時から狭いもののしっかりした道だったのが分かります。またここから清水谷戸の反対側、藤塚町側の境木町へ抜ける道もありました。 ふたたび1983年境木本町の俯瞰写真です。いまではマンションの上からで無いと見ることができませんが、どこだかわかるでしょうか。 先の武相国境道、崖っぷちから見た同じ地点の1985年の写真です。ここは切り崩されマンションが建っていますが、今の住宅地の街路ができました。 次回は、箱根駅伝でも有名になって、なぜか全く違う場所がそう呼ばれる、「権太坂」を取り上げます。