naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

PCカメラをMacで使う

天気の悪い日が続きます。 9月から10月まで台風や秋雨前線が活発で、各地で大雨の被害も出ています。 夜空も快晴になることはまずなく、星見をすることもできません。 惑星も合(太陽の方向)に近いものが多く、惑星写真を撮ることもできません。 筆者は、今シーズンからPCカメラを導入していますが、苦戦しています。 光軸狂いや気温順応、シーイングの問題などがありますが、その一つに、PCキャプチャーが度々フリーズを起こしたということがあります。 この時期を利用して撮影を安定的に行うPC周りの改善をしてみました。 PCカメラASI224MCは使用者も多く使用方法はネットにもいろいろ出ているのですが、筆者はMacなので、なかなかネットでは見つかりませんでした。そこでまだ一人前に使えていませんが、日本では少数と思われる天体撮影のMac使いに参考になればと思い、書き留めてみます。 惑星の撮影風景です。 20160513_211936dsc_2682 地べたに置いてあるパソコンがMacBookProです。 PCカメラASI224MCのキャプチャーソフトは、ウインドウズではFireCaptureが有名ですが、MacUNIXベースなのでLinuxと同じ、OaCaptureを使っています。 oaCapture (http://www.openastroproject.org/oacapture)/ このアプリはこの間やっとバージョンが1.0になりました。 特にベーター版ではプレビューするだけでフリーズすることがあったのですが大分安定したようです。 操作画面はこのようになっています。 20161008_160306dsc_4642 上にあるキャプチャー画面の下部に表示されているのはキャプチャーの理論最大値と実効値です。 理論値は露光時間によって決まります。10msの場合、100フレーム/秒=fpsになります。 実効値はファイル転送時間を含めた予想速度です。ser形式で、画面サイズを1280x960以上にした場合、65fpsとなっています。これがもっと小さなサイズだと理論値通り100fpsになります。 800x600サイズの速度は画面のように理論値と同じ100fpsです。 20161008_160326dsc_4643 またser形式はRAWも選べますが、その方が容量は小さくなりますので速度は上がります。筆者はそのことは最近実験してわかったことなので今シーズンは実際の惑星写真には試していません。 最近の惑星写真は動画を撮って静止画を1000枚とか10000枚とかキャプチャーし、それをスタック(昔でいうコンポジット)します。 ところが5000枚撮影をセットしても途中でフリーズすることが続いて困っていました。 この現象を改善するためいろいろ探ってみましたが、筆者の場合、Macの左右にあるUSB端子のうち右側にカメラをつなぐと動作が不調になることがわかりました。カメラは左側につなぐと安定します。少し遅くなるようですが。 特にバージョン1.0になって、右側のUSBはほとんど使えなくなりました。 写真の状態では大丈夫です。これがMac機体固有の問題なのかわかりませんが、試してみる価値はあります。 20161008_160300dsc_4641 次に、ファイルの保存先の問題です。 実際の速度はOaCaptureで予想した速度とは違います。実際の速度はOaCaptureにより動画と同時にテキストファイルで保存されますので後から確認できます。 ファイル転送速度はUSB3などの転送規格が大きく効きます。 同時にファイルを書き込むストレージが何かによって書き込み速度が変わります。 ファイル転送先の性能はハードディスク性能やメモリ書き込み性能で決まります。 特に早いのは内臓ディスクです。内部処理なのでケーブル数が多くて高速なSATAが使えるからです。 そして、これはMacに限らないのですが、最近のMacBookは内臓HDDではなくSSDです。そのため、内臓ディスクにファイルを保存すれば非常に高速です。 ディスク速度計測した結果を示します。 書き込み420MB/s、読み込みでは600MB/sです。 Diskspeedtestinssd 実際の速度はテキストファイルに残された値で、内臓SSDに保存した場合、筆者のMacでは、1280x960で65fpsです。 実際、当初はこれで惑星撮影していたのですが、5000フレーム撮影すると10GB近くするので、数回撮影すればすぐに内臓ディスクが満杯になります。さらに内臓ディスクはシステムを走らせるスペースが必要なので、容量がすくなるなると動作が不安定になります。 そこで、外付けストレージドライブをつけることにしました。 写真にある1TBのHDDを最初に買いました。USB3.0でありたい衝撃性を備えている割に安価です。 最近のハードディスクは高速です。USB3と従来のUSB2のものに比べたのが以下の結果です。 USB3です。読み書きともに110MB/s程度です。 Diskspeedtesttranscend1tth USB2では読み書きとも35MB/s程度ですから1/3にしかなりません。 Diskspeedtestphotobk で、このUSB3のハードディスクで満足していましたが、実際に惑星写真を撮ると取りこぼしが多く、1280x960で平均45fps程度でした。 理論値に少しでも近づけるにはもっと高速のSSDを使うしかありません。 SSDは急激に安くなってきており、SATA接続のものなら250GBでも1万円以下で買えます。しかし寿命が短いと言われているので、筆者は120GBのものにしました。 内臓型なので外付けディスクケースに入れなくてはなりません。USB3.0でUASP機能対応ですとSSDの速度を損ないません。 速度計測結果は書き込み270MB/s、読み込み350MB/sです。ケースのSATAが6Gb/s対応ではないのか、やや遅いようですが、惑星撮影には十分でしょう。 Diskspeedtestssdth3 これを使って実際の惑星撮影はまだしていませんが、テストでは1280x960で平均65fps程度でした。800x600では100fpsでした。これは先の内臓SSDと同じです。つまりもはや速度はディスク転送速度が律速ではなくカメラ側の転送速度に問題があることになります。先述のUSB接続の不安定が問題であると思われますが、Mac本体かUSBケーブルか、コネクタか、自分でできるのはここまでです。 SSDは外付けの製品はまだ高価ですが、内臓型とディスクケースならほどほどの価格です。まずは来シーズンの惑星撮影をこれでやってみることにします。