naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

NikonZ6の鉄道写真におけるAF性能を検証

JR東日本の特急踊り子号です。この車両時速80km以上で走行中です。12コマ/秒で連写した一枚です。

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前面にあるシリーズE257とJR東日本のロゴをこれだけアップにしてもはっきり読み取れます。NikonZ6+NIKKOR Z70-200/2.8です。

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NikonZ6を使い始めて2年になります。

1年ほどはNikonD810Aをメインに使っていましたが、今では天体写真以外はほぼ100%、Z6に切り替わりました。

最も気に入っているのは多くのところで語られるようになったNIKKOR Zレンズの性能で、このブログでも何度か話題にしました。特に画面全域まで行き届いた収差補正が高額レンズだけでなく(やや高額ですが)F4ズーム、1.8単焦点Sシリーズまで気を使われているところです。

一方、ボディについてはあまり評価が芳しくないと感じています。

筆者も気に入らないのは大して格好良くもないソニーを過剰に意識したデザイン、EVF周りとレンズマウントが正面から見てヒョットコみたいなところで、特に商品写真で多用される正面写真においてロゴが曲がって見えるのは嫌です。かつてD800の製品名が曲がって見えるのを指摘されてD810で直したのに、また同じ轍を踏むところが気に入りません。まあD750使いのうちの息子に聞くとこのデザインで気にならないとのことですからこんなことを言うのはジジイだけかもしれませんが。

で、ここでは(デザイン以外の)ボディ評価があまりに偏っていて、低すぎではないかい?というところを「擁護」しようと思います。

最も偏って評価されているのがAF性能だと思います。雑誌やWebで取り上げられるのは何かというと「顔認識」「瞳認識」「動物認識」でS社はこんなに遠くの瞳を検知したとか、C社で鳥の瞳を追尾したとかが出てきます。

しかし「検知」してもAFで合焦してなんぼの世界で、遠くの瞳を検知しようが被写体深度を考えたら顔で十分だろうとか、追尾したというがAFはついてきたのかとかが語られなければ意味がありません。

この手の認識機能、ニコンは劣っています。ニコンといえば顔認識機能を初めてカメラに取り入れたメーカーで、一眼レフでも測光センサーをRGB色検知できるようにしてオートエリアAFで被写体追尾をやっているのですが、「瞳認識」をしてそれをEVF上に表示するのはやっていなかったのです。そこを突いてきた他社のマーケティングが優秀だったわけですが、そこばかり語られてAF性能の全てと購入者に思わせるのが疑問なのです。

筆者は風景や鉄道写真を主に撮ります。動体AF性能は鉄道で見ていますが、ミラーレスカメラ=Z6になって少なくともAF精度、合焦率が上がったと感じています。

ただそう思い始めたのは最近になってで、半年くらいは一眼レフ流のセッティングで撮っていた時には感じませんでした。一眼レフでのAFエリアはニコンでいうところの「ダイナミックAF」をNikonD300の頃からずっと使っていてZ6でも同じにしていました。これは一点のAFポイントとその周り数点をサポートとして使い素早く演算してくれるもので、多点測距の演算速度と連写速度を両立するモードでした。

しかし、ミラーレスになって測距ポイントが一気に増えて、画像処理エンジンもそれに対応するので「ダイナミックAF」をわざわざ使わなくても十分な速度が得られるようになっていました。
ニコン公式YouTubeチャンネルで、鉄道写真家助川氏が「オートエリア選択」モードで「OKボタン」を押すと「ターゲット追尾AF」になって鉄道の速度でも被写体追尾が可能、というので試してみました。

そもそもNikonデジタル一眼レフでは「3Dトラッキング」という名称で被写体の色を測光素子で検知、追尾する機能があったのですが当初追尾速度が遅くて信用していませんでした。

いつもの歩道橋から「ターゲット追尾AF」で狙ってみました。

Nikonのフリーアプリ、NXStudioでAF枠を表示させて連写写真を見てみます。AF枠が横須賀線E217電車を追っているのがわかります。

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鉄道の場合、距離があるので相対速度は低いのですが、その分車両の大きさが変わるのでターゲット枠内に入る範囲も変わります。

はじめのうちは、早めにターゲットロックオンしてしまい、周りの架線柱やレールを拾ったりしていましたが、上図のように枠より車両が大きく見える頃にロックオンすれば良いことに気がつきました。

最後のコマまで全て合焦しています。これだけ至近距離まで合焦することは一眼レフでもなかなかありません。

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今度はAFをワイドエリアSにしました。鉄道写真では構図が先頭車が入る位置により決まることが多いので、ダイナミックAFで撮ることも多いのですが、ワイドエリアだと車両の大きさに合うので、より構図がとりやすいと考えました。またターゲット追尾AFだとたまに思わぬところへ枠が動くことがあるのです。

相模鉄道いずみ野線ゆめが丘駅から撮影しました。環状4号線を跨ぐ鉄橋が格好の良いポイントです。

近距離まで順調に連写できました。

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このように遠景からピントが合います。

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これを拡大しました。

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一方、別カットでピンボケが出ました、構図を見ると鉄橋のトラスがAF枠に入っていて、枠の中で最も近距離だったトラスにピントが行ったようです。

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こういう時はダイナミックAFの方が良さそうです。

 

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こうしてみるとダイナミックAFモードでも合焦精度は一眼レフに比べ高くなっているように感じます。ミラーレスカメラであるZのAFは像面位相差AFを採用しており(これもニコン1が最初)、原理上像面にピントが来るようになっています。もちろんそれに加えAF情報通り素早く正確にレンズが合焦する必要があります。この辺がニコンが他社より優れているところです。(雑誌情報による)

さらに加えて、一眼レフではミラーを下げた状態で測距しているのでライブビューで見ながら撮影するのは苦手です。(D780、 EOS1X4を除く)

ミラーレスではEVFではなく背面液晶でライブビュー(パストビュー)を見ながら撮影してもフル性能が出せるので、例えば金網の上端までカメラを持つ手を上げて撮影できるのが、人が殺到する場所を避けることができ鉄道写真にはとても好都合です。

あと気になることはEVFに見せている画が拡張高速連写の場合、パストビューのためタイムラグがあり、ライブビューではニコンの場合5.5コマ/秒でしかもブラックアウトすることです。この点はソニーα1、9のブラックアウトのないファインダーが良いです。

 

結局NikonZを擁護するというよりミラーレスカメラを褒める記事になってしまいました。しかし、瞳AFなど関係なくともミラーレスにはメリットがあることがわかってきました。