naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

レンズプロファイル自動適用の功罪

(この記事は以下の記事でやりやすい別の解決方法が見つかりましたのでそちらをご覧ください)

starsphotonahooh.exblog.jp

 

starsphotonahooh.exblog.jp

(上記が元記事です)
以前、このブログでも書きましたが、星の軌跡を比較明合成で合成すると妙なモアレのような縞模様が出てしまうことがあります。
この原因をネットで調べてみると、RAW撮影で、レンズの歪曲収差と周辺減光を手動補正、そしてレンズプロファイルデータを使って自動補正した時に発生する現象だということがわかりました。そこでこのような補正をしないようにすれば比較明合成してもモアレ縞は生じなくなります。
しかし、ミラーレスカメラ全盛になってから、レンズ設計が自動補正も込みで行われるようになっており、特に小型軽量を狙ったレンズではプロファイル補正が自動で適用され、それを切ることができなくなっています。特に広角レンズでこういう製品が多くなっています。
筆者が使っているニコンNIKKOR Z 14-30mm f/4 S もその中の一本です。このレンズは超広角ズームレンズでありながら小型軽量で前玉にフィルターが装着でき、写りは絞り開放でも周辺まで大変シャープです。なので星景写真にもうってつけで、「Sequator」でスタックして星固定では大変満足する写りです。ところが星の軌跡にするとこのようにモアレのような縞模様が出ます。カメラはNikon ZfcなのでAPSサイズですから周辺は見えていません。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393221.jpg
このようにやや明るい背景で現れます。
次にフルサイズセンサーのNikon Z6に同じレンズをつけた例です。比較的暗い空なのであまり目立ちませんが、光害の部分に現れています。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14394046.jpg

一枚の写真ではこのような縞はありません。

レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393903.jpg

この写真のExifデータから埋め込まれている自動補正のプロファイルを削除すると、いわゆるレンズの”素”の性能が現れます。左下の電灯の反射で差がわかります。

レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393951.jpg

このような処理をした(自動処理をキャンセルした)データをphotoshopで「比較明合成」すると、星の軌跡写真になります。上の写真と比べてみると縞が出ていません。やはり巷で言われるようにレンズプロファイルの(強制)自動適用が縞の原因でした。

レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393906.jpg
このままでは水平線がタル型に曲がってしまったままなので、photoshopで歪曲を補正します。すると糸巻き型に画面が歪んでしまいます。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14570802.jpg
それを矩形に切り取って仕上げます。最初の自動補正の画像と比べると、左下の電灯の反射がひと回り大きいので、自動補正ではさらにひと回り小さく切り取っているようです。周辺減光もやや大きいですが補正可能です。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14571351.jpg
先に示したZfcの画像も同じように処理すると縞が消えます。まず自動補正のままの画像。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393221.jpg

Exif改ざん;)の画像。綺麗に縞が消えています。またAPS-Cサイズなので周辺減光もありません。

レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_14393261.jpg

このようにレンズプロファイルを強制的に自動適用されるのをキャンセルすると問題なくなりました。しかしニコンに限らずメーカーは、歪曲の大きなレンズではユーザーにキャンセルすることを許していません。それだけ社内基準が厳しいと言えるのですが自社アプリだけではなくAdobeのアプリでもキャンセルすることができないのは、おそらくメーカーが依頼してそうなっているのでしょうが、いかがなものかな。筆者は素の状態の絵でもこれだけシャープなら使えると思いますが。

いずれにせよ高性能のNIKKOR Z 14-30mm f/4 S が星の軌跡写真でも使えるようになったのはありがたいです。
 
そこで以下に自動補正のキャンセル方法を忘備録として記します。元は他の方のブログ記事を参照していますが、Macを使った場合の記事はなかったので他のMac使いの方の参考になれば。
 
まず、RAWデータのフォーマット(NikonならNEF)をDNGに変換します。この時、通常のPhotoshopとかLightRoomで変換してはいけません。後でExifをいじれるのは、「Digital Negative Converter」というフリーアプリを使います。
 
このように立ち上げ、変換します。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454796.jpg
一気に変換できます。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454654.jpg
画像データーには「Exif」(Exchangeable Image File Formatの略で、撮影データやカメラの設定データを画像データに保存できるデジタルカメラ用のフォーマット)が付いていて、これを書き換えることで今回の事例に対応します。
以下の「Opcodelist3」があると自動補正されるのでこれを削除します。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454888.jpg
本来なら「Exif Tool GUI」でできるようなのですが、筆者はやり方にたどり着けず、別の方法でやりました。と言っても同じ「ExifTool by Phil Harvey」(https://exiftool.orgからMac版をダウンロードします。(_GUIはこれをGUI環境で動かすアプリ)
このアプリはMacでは「ターミナル」から動作します。コマンドに
「ExifTool -opcodelist3= 」と入力します。この時半角スペースが重要です。
そこに変換済みのDNGファイルをドラッグし「Return」します。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454798.jpg
今回、一気に400個以上を処理できました。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454759.jpg
Exifを確認すると「Opcodelist3」が消えています。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_13454815.jpg
このように修正データとオリジナルデータ(拡張子がoriginal)になっているので元に戻せます。
レンズプロファイル自動適用の功罪_b0400557_19101615.jpg
Exifデータを編集するのは改ざんみたい、実際に改ざんと言える、ので気持ちの良いものではありません。レンズプロファイルはオンオフできるようにしてもらえるのがいいですね。