デジタルデュープ
このブログで最近よく閲覧されるページは、
「スキャナーからデジタルデュープへ」
です。これは、フィルムスキャナーがなくなってきたので、デジタル一眼レフカメラでフィルムを接写するデュープをスキャナ代わりに使うことを紹介したものですが、デジタルデュープというのはこの時筆者が作った造語です。
この時はニコンD7000だったのでDXフォーマットだったのですが、今はD810AなのでFXフォーマットになり、晴れて直接ニコン ES-1 スライドコピーアダプターをマイクロニッコール60mmに接続できるようになりました。
と言ってもこんな感じで、ステップアップリングは介在します。
ところが、ニコン ES-1 スライドコピーアダプターはもともと1:2倍の接写倍率だった頃の製品なためか、使用レンズも55mmから60mmになっているためもあってか、制限一杯に引き出すと一回り小さく映ります。こんな具合です。
ですが、拡大率がコロコロ変わるのもどうかと思い、制限位置で固定しています。もちろん少し手前にスラウドさせれば画面いっぱいに映ります。
で今回の写真は、出来不出来はともかくとして、明暗比が大きな写真の場合、デジカメのHDR(ハイダイナミックレンジ=これも筆者は走りです)が有効であることを確認しました。
昔のスライド=ポジフィルムはコントラストが高いので、映写には良いのですが、プリントではかなり狭いラチチュード=ダイナミックレンジしかありませんでした。したがってこのような写真はボツ扱いでした。
普通に撮影するとこうなります。
デジカメのダイナミックレンジはプリントよりもかなり広いので、RAWで撮影してデジタル現像ソフトで救済できます。影の部分が見えてきて、明るい部分も飛ばないで表現できました。それでももともとのポジに比べると少し再現性が低い絵です。
しかし、デジタルデュープ時にカメラのHDR機能を使うと、カメラが自動的に露出の違う撮影を複数行い、合成した写真を作ってくれます。それがこの写真です。
さらにRAWで露光を1EVずつ変えた画像を3枚合成して、HDR処理したものです。HDR写真は特に海外ではルネサンス期の油絵のように空を暗く落としたようなものが好まれていますので、そのようなアプリが多いです。
もう少し実際の見た目に近づけ、色も彩度を落としたものがこれです。自分の好みはこれかな。
次にフィルムスキャナーと比較してみます。
この写真は、昔懐かしいコダクローム64で撮影しましたが、コダクローム64は外式と呼ばれ、保存性の良いフィルムでしたが、コントラストが高すぎるのが特徴で、影が黒くつぶれてしまいます。
当時高級のフィルムスキャナーであるニコンLS2000を使いましたが、通常スキャンでは暗部再現が難しい機械でした。悪条件が重なって影がつぶれてしまいました。
影の部分を明るくしてみましたがノイズが出てしまいます。
これはニコンD810AのHDRを使ったものです。
暗部を引き上げると影に隠れていた床下機器が見えてきます。
なお、D810A内部でできるHDRはJPEGになります。
今度はRAW3枚合成です。
同じく暗部には床下機器が見えてきます。一見上と同じに見えますが、車体部分を見るとノイズが少ないのがわかります。おそらくRAWの方がノイズ低減が効くのでしょう。
みてきたように、今やデジタルカメラのセンサーは以前のスキャナーを上回る低ノイズ、広ダイナミックレンジです。
ニコン ES-1 スライドコピーアダプターは以前よりよく見かけますから当分販売されるでしょうから、フィルムスキャナーに困っている方にお薦めします。
ところで、ポジフィルムの場合、このように見た目で判断できるのですが、一般的にはフィルムといえばネガフィルムです。
画像処理ソフトが必要ですが、階調を反転する機能を使うと画像を作れます。
しかし、白黒フィルムですとかなりの部分問題なくできるのですが、カラーネガの場合こんな具合に、ベースの色があるのが問題です。
単純に階調を反転させるとこうなります。
これは、ベースの色がオレンジなので、反転すると明るい青になってしまうためです。
この写真の場合、青空が大半を占めているのでもともとの色がどうだったのかわかりません。記憶に頼ると本当の記憶色にしかなりません。
こちらのように、多くの色が混在した写真では、意外に簡単にできます。
フォトショップなどにはグレーポイントを指定する機能がありますので、コンクリートのようなグレーの部分をスポイトで選んでやると問題ない写真になります。
フルムスキャナーに付属のソフトにはネガポジ変換の機能が内蔵されていました。今のデジタルカメラはRAW現像ソフトが用意されていますので、ここにネガポジ変換機能を追加してもらうだけでフィルムスキャナ機能つきとうたえるのですが、どこかやらないかな。