naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

木星食(2001)

木星

「食」とは日食や月食のように何かに隠されていく現象であるが、「木星食」は月に木星が隠される現象である。太陽系の軌道面を公転している惑星なのだから頻繁に起こるような気がするが、木星食は日本全国で観測できるのは57年ぶり。もちろん初めて見る現象なので期待していた。

2001年8月16日午前3時に潜入、月齢25の月は東の空15度の低い高度である。幸い自宅付近に東の空が開けている場所があるので、そこで見る。しかし、事前準備は一時間前には始めたいがそのときはまだ月が昇っていないので方向が分からない。そこは星さえ出ていれば分かるのだが、当日はあいにく曇りである。方向どころか全く星が見えない。雲は動いており、ぽっかり晴れ間が見えるが、月が見えないまま午前3時になってしまった。今回の星食は潜入が月の明るい側でおこるので、写真写りも断然この方がいいのだが、かなわなかった。
落胆し、退却しようか迷っていたがその場で粘る。すると突然月が雲間に見えた。しかし木星は隠れた状態なので一見何の変哲もない。ともかく望遠鏡で月を捉え、今度は4時前の木星出現を狙う。だが雲は容赦なく月を隠し、また出るのを繰り返す。出現の写真が難しいのは、どこから出てくるのかわからないことだ。潜入なら両方見えているので構図も決めやすいのだが、出現は事前に狙えない。そこで低倍率に切り替えておくしかない。
出現予想時刻が近づくと雲が流れて月が見え出す。祈るように見ていると不意に明るい木星の光が見えた。あわててデジカメを接眼レンズに押し当て撮影。見る見る木星が出てくる。急いで高倍率接眼レンズに交換しデジカメを装着するが、一瞬見失う。次にデジカメの液晶ファインダーに捉えたときは木星はもう出てきてしまった。本当に一瞬の出来事。こうして57年ぶりという木星食は終わった。

すぐに厚い雲に覆われ月のそばに並ぶ木星や金星も見ることが出来なくなった。こうなると出現を見ただけでも運が良かったと言うことか。でも翌日の読売新聞夕刊に札幌で撮った見事な写真が載っているのを見ると悔しくなって、無理矢理合成写真を作ってしまった。

DSCN1935s

2001年8月16日3時56分 横浜市戸塚区

16cm反射望遠鏡+Or25mm+COOLPIX990(f=8.2mm) 1/2秒

DSCN1936p

右は木星の等倍切り出し画像。まだ半分欠けている。下にガリレオ衛星のひとつイオが見える。

本当はこんな写真が撮りたかった。ちなみに接眼レンズ2.5mmで同一縮尺。
DSCN1933uso


2001年8月19日