コロナ禍から遠征できずに続いている電子観望。だんだん歳をとると体力面で遠征は辛くなるので、自宅で天体観測できる予行演習のつもりでやっていますが実際にはもうそういう歳なのかもしれません。
今回は、光害カットフィルターであるサイトロンコメットバンドパスフィルターを購入して試しました。
高橋MT160のコレクターには対物側にM48ネジがあるのでフィルターがそのまま着きます。
なお、レデューサーにはスターベース製のM54-M52変換リング、M52-M48ステップダウンリングを介在して対物側M54ネジ部に着けます。
オリオン大星雲M42
スッキリした感じに撮れましたが実は元画像はこんなです。
フィルターのため青くなっています。
またニコンD810Aフルサイズではミラーボックスによるけられがあるため、1.2倍にクロップしています。
コメットバンドパスフィルターに過大な期待をしてしまいましたが、今まで使っていた光害カットフィルター同様横浜の強い光害には敵わないようです。サイトロンにはクワッドバンドパスフィルターというより強力な光害カットフィルターがあってそちらは有名なのですが、カラーバランスが崩れ、銀河や彗星には向かないということなので、こちらにしたのですがその分効果が落ちるようです。
それでもM42は明るい星雲なので横浜でスッキリした写真が撮れたのは良かったです。
さてASIAIRproのLIVE撮影ではフラット補正もリアルタイムにしてくれるので、それによる撮影結果はこれです。
別の日に、レデューサー、D810AはDXサイズにクロップしています。面倒がなくて無精者には便利です。
小さな銀河にはDXサイズで十分。
M81M82銀河
それでも元画像にはこれだけ周辺減光があります。
M51子持ち銀河
M63銀河は通称ひまわり銀河と呼ばれますが、その形がわかるほどには写っていません。
ここからはカメラはZWO ASI224MCでLIVEスタック。
M81
M82
M101
M51
M63
小天体には素子の小さいASIの方が向いています。
ただ、前回1月には問題なくplatesolveで自動視準してくれましたが、今回は「星が多すぎる」として視準できませんでした。
もともとASIAIRproのプレートソルブは視界が1度以上必要だったのが、バージョンアップでそれ以下でも可能になり、前回は1/3サイズ、775mm(0.35°x0.26°)でもできたので喜んでいました。
今回は星の数が500個とか言っているので、どうもノイズが多くて星と誤認識しているようです。この日は春の陽気になって夜でもセンサー温度が15°だったのが原因だと思われます。CMOSカメラでは冷却しないとノイズが多いということを身をもって体験できました。
ところで、ASIAIRproをスカイエクスプローラー(skywatcher)AZEQ6GT赤道儀で使うには二通り方法があります。
この赤道儀には座標表示用エンコーダーが付いていて、通常の赤道儀ではクランプを締めたままモーター駆動でえっちらおっちら動かさなくてはなりませんが、このエンコーダーのおかげでクランプを緩めて手動で動かしても座標を見失いません。(精度は落ちますが)
その機能を生かすためには、付属コントローラsynscanにRS232Cケーブルをつけて、さらにRS232C-USB変換ケーブルを使ってASIAIRに接続します。この変換ケーブルが曲者で相性問題がよくあるようです。筆者はMacなのでそれに対応するためチップセットがPL2303のugreen製にしてうまくいきました。
接続できたらまずコントローラで初期設定、アライメントまで済ませます。アライメントは1スターアライメントで十分です。後でプレートソルブにより高精度にアライメントできます。
今度はiPhone側でアプリの設定です。
ASIのアプリで赤道儀を選びます。「SkyWatcher SynScan」を選びます。
ここでもう一つ、アプリを連携させます。
skysafari の有料版plusかproを使うのが便利なのでそれと連携させます。
ASIAIRアプリで星雲の視準までできるのですが、星図がないのでイメージしにくく、プラネタリウムアプリであるskysafariで星図上に視準位置を表示させます。
skysafariの設定で望遠鏡タイプをSkyWatcher SynScanを選び、IPアドレス10.0.0.1、ポート番号4030とします。
skysafariのメニュー「望遠鏡」で「接続」をすると視準位置が星図上に移動してきます。(一度でダメならアプリから出てもう一度入ると接続するようです)
これで一度ASIAIRでプレートソルブしてマウントをシンクロさせます。すると後はASIAIRでの自動視準はもちろん、skysafariで視準位置を見ながら手動で素早く静かに望遠鏡を動かすことができます。
一方、SynScanコントローラでアライメント設定しないと追尾すら始めてくれないのが結構面倒です。一度自動視準できれば手動は要らないのであれば、コントローラ抜きで直接赤道儀を接続できるケーブルがあります。
「EQDirectケーブル」という名称で市販品がありますし、自作もできます。筆者は「星見屋」から購入しました。
これを使い、ASIAIRアプリでは「EQMOD with Skysfari」を選択し、skysafariでは「Meade LX200 Classic」、IPアドレス10.0.0.1 、ポート番号9624にすると、アライメントはいきなりASIAIRのプレビューから撮影結果でプレートソルブして赤道儀をシンクロさせることでできます。
この手の情報はあちらこちらにあるのですが、忘備録として書いておきます。
製品個々にはこのように接続する説明がないので、初めて電子観望をするには面倒ですね。