naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

Macで惑星撮影システム2022年構築中

この記事はMacBookを使って惑星撮影をするためのもので、筆者の忘備録として書いたものです。なので興味のない方は読み飛ばしてください。ただWindowsであっても、惑星撮影する方には何かヒントになればいいなと思います。(まだ構築中ですが;)

2022年今年の惑星シーズンはまだこれからですが、一足早く惑星撮影システムを点検しました。

結果、改めてPCから構築し直しました。それがこちらです。メインPCをMacBook Air(M1 2020)に変えたので、今までメインで使っていたMacBook Pro(2016)を惑星用に転用します。

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USBハブは手元にあったものを流用しましたが、TypeA端子が2個しかなくてダブらせています。本来は3個のものを使用した方が良いので参考にAmazonにあるものを並べておきます。

昨年のはこちら=惑星撮影システム2021年(Macによるリモート撮影)

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撮影カメラは今年も同じで行こうかと思います。ZWO ASI290MMにLRGBフィルターを切り替えて撮影します。

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ならば昨年と同じでも良いと思っていたのですが、昨年後半、やたらとエラーが出て取り込みも急に遅くなったので原因を探ってみましたら、一つはこれでした。使っていた1TBSSDのスピード測定結果です。なぜか書き込みだけ1/10の速度に低下しています。HDD(約110MB/s)より遅い。

以前2016年に書いた記事にあるようにこれではUSB2.0です。(後述する方法でUSB3.0ではなく2.0になっていないかシステムレポートを確認しましたが3.0でした)

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原因がわからず、仕方なく、新しいSSD(500GB、USB3.1Gen2 TypeC)をつけた結果、前のSSDが問題なかった頃の速度(約300MB/s)より速そうです。(下記の製品は筆者の購入品とは違います) ただこれ以外にも色々選択肢があるので選ぶのに迷います。

 

 

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ちなみにMacBook Pro(2016)本体内蔵のSSD速度はこの通り。前のMacBook Pro(Late2013)の3倍です。
ここに撮影データを蓄積するという手もありますがシステムディスクなのでちょっと不安です。それに撮影速度は露光時間が10msの場合、これが律速になり、ここまでの速度は必要ありません。

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ここから実際の撮影手順です。

まず昨年苦労したのはカメラがUSB2.0で接続されることがしばしばあったことです。それが昨年遅くなった第二の理由です。そこでまずカメラなどを接続したらりんごマーク>「このMacについて」>「システムレポート」を開き、USB項目を確認します。カメラ(ASI290MM)がUSB3.0にあることがわかります。

筆者は知らなかったので恥をしのんで忘備録として書いておきますが、USB端子形状が「Type-A(Standard-A)」の場合、USB2.0と互換性があるため、「ゆっくり差し込む」とUSB2.0として認識され、「素早く奥まで差し込む」とUSB3.0(3.1Gen1)として認識されます。自分の端子挿入動作が遅いのかどうかわかりませんが時々で違っていたのはこのためのようです。

今回はUSB Type-Cのハブなのでハブごと抜き差しすれば良い、のかな?

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ここからは昨年と同じです。

まず「KStars」を起動します。次に矢印のアイコンを押します。

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「Ekos」が立ち上がるので、自分のセットを作ります。接続した機器をマウント=EQMod Mount、カメラ=ASI290MM、フィルター=EWFを選んで名称を決め保存します。以降はこのプロファイル名称で全て選択されます。

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赤道儀はSkyWatcher(ケンコー)「AZ EQ6」なので「EQダイレクト」ケーブル(星見屋で購入しました)を使いました。昨年試行錯誤する中で、「SynScan」コントローラーにRS232C経由でUSBシリアル変換ケーブルを繋げることもしましたが、バージョンアップのためか問題なくつながります。

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CMOSカメラはINDIには入れませんので切断します。

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フィルターホイール。

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マウントコントロールも問題なくできます。昨年はここで苦労したのですが。

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「FireCapture」はMac版もv2.7がベータ版から正式版になっていたのでアップデートしました。実はこの違いが大きかったようで、Mac用ベータ版では動かなかった「オートガイド」や「マウントコントロール」=ボタンで赤道儀が動くようになっていました。

=>*実際にやってみたところ、「オートガイド」や「マウントコントロール」動作後、INDIでのTrackingがoffになったままonに戻らないことがわかりました。このままでは使用できません。(2022.6.27)

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撮影準備です。手順はベータ版と同じ。まずINDI。「INDI Server」を選びます。「Use INDI Server」をチェック、コネクトします。

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「Telescope」を押し、「Use telescope  interface」をチェック、「INDI Server」を選び、「Initialize interface」>「EQmod Mount」をクリック。

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また、カメラのControlにあるMoreボタンを押すとポップアップが出るので、USBTraffic=100,HighSpeedをチェックします。こうすることでUSB3.0本来?のスピードが出ます。なお筆者は8bit出力で使ってきており、試してみても16bitの恩恵が感じられていません。カメラ内部は12bitなので階調を削っているわけですが、1000〜10000枚もスタックするので階調は補われているはずです。それよりも16bitで容量アップ、速度低下のデメリットがありますが比較してどうなのでしょうか。多くの方は16bitで撮影されているようです。

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実際の撮影です。

矢印のAutorunを押して、ポップアップウインドウを出します。筆者の場合、色分解フィルタを交換しながら撮影するのですが、一気に自動撮影するのは、昨年のようにフリーズしたり、雲が出て一旦中断することもあるので、危険と考え、3回に分けて撮影しています。

「Free sequence」で「B」>「G」>「R」と撮影します。実際にテスト撮影した結果、90fps以上が安定して出ました。昨年まで使用していたSSDでは書き込みに時間がかかり33fpsでしたから成功です。(10ms露光なので100fpsが最高値)

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次に「Single Filter」を選んで、「L」フィルターで4回繰り返して撮影します。これは昨年まで時間がかかりすぎてできませんでした。今年からはL画像の枚数を増やして高精細、低ノイズを狙うつもりです。

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最後に「RGB sequence」。これは設定したフィルター番号順に並びます。「L」>「R」>「G」>「B」で終了です。

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結果としてB G R Lx5 R G Bで1セットとなります。約8分で一回の撮影となる見込み。これで撮影の効率化ができることを期待します。

まだ実際に惑星を撮影していないのでまだ試行段階ですが、今年は火星も接近するので今から楽しみです。

追記

ところでM1Macといえば、AppleM1チップがARMアーキテクチャなため、「Parallels」でエミュレートできるWindows11が正規版ではなくてARM内部テスト版です。このためMac版が無くてWindowsで動かす必要がある天体アプリのうちのいくつかが動かなくなりました。特に「ステライメージ9」「Sequator」が動かないのは致命的です。
従って、インテルチップのMacをそのために残しておかなくてはなりません。うまく対応してくれないかな。