naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

冬の鎌倉七里ヶ浜-2(2003)

冬の鎌倉七里ヶ浜-2

七里ヶ浜稲村ケ崎から腰越海岸までの(七里はないが)長い海岸だが、遊泳禁止だったか、海水浴場ではない。だから湘南の海岸にしては静かなイメージがあって、特に冬は観光客もなく、静かさが増す。しかしその分、サーファーのメッカでもある。

カメラを持って歩いてみるとフォトジェニックな雰囲気が魅力である。学生の頃、12月に部の写真展があって、そこに出す写真が無いとここに繰り出したものだ。

次の写真はそうした写真を2年がかりで撮ったものだ。そのとき出品したパネルは今も実家に大事に吊り下げてある。

湘南海岸冬点描(1980)

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波立つ

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冬日
 
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砂浜

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西陽

同じ時期に撮った下の写真は、江ノ電の鎌倉高校前で撮ったものだ。

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江ノ電冬暮色」 1981.12  江ノ電鎌倉高校前駅

実はこの写真、雑誌「鉄道ファン」で当時始まったの写真コンクールに佳作入選した。鉄道写真家で有名な広田尚敬氏が審査員だったのだが、この授賞式に氏が来られるというので、学生だった筆者はいそいそと銀座キヤノンサロンへ行って出席した。すると受賞者の大半はおじさんで(いまの筆者以上の)、話も出来ず、広田氏の各作品評が直接あったのだが、この作品は「これはよくある写真なんだよね」「このフロントガラスをアップで撮らなかった?」というものだった。上の組写真にアップは使ったのでそう答えたのであるが、受賞作は散漫だという。自分もアップの写真も気に入っていたので使ったものの、この写真は単写真で通用する雰囲気があると思ったのだが。

氏のファンでもあった筆者は不満ながらも、言う通り写真をトリミングして翌年の部写真展に出したのだが案の定しっくり行かず、見に来た人に「トリミングしないほうが良かった」と言われる始末。

今見てみると、鎌倉高校生が夕日を浴びているのが雰囲気を出しているし、何より、現在はホームに上屋根がかかって、江ノ電も4両編成になったので、このような写真は撮れない。アップの写真は前にお見せしたように再現できるのだが、この写真だけはもう撮れない。

鎌倉高校前駅の近代化工事が終わってからは、一度もここで写真は撮らなかったのだが、以前書いたように20年前の、誰も写真を撮っていなかった自分の定位置を奪われた;)ので、再度撮影に行った時に、偶然当時の写真部OBに会ったのだが、こういうのにも偶然の必然を感じる。

今回、デジタル一眼レフで同じ場所を撮るというのも時間の経過を感じるが、出来た写真は、機材が良くなって技術も上がっていても、昔でなければ撮れない状況(「砂浜」はこの場所の浸食が進んでもう撮れない)と、自分の感性の差が埋めきれないものを感じる。

くだらん現状に流されず、感性だけはもっと研ぎ澄ませないと。

2003.3.15