前回の「D200」性能評価の中で、S2proの熱ノイズの少なさに触れましたが、実際のところダークノイズを撮影したことは無かったので、今回確認してみました。
ダークノイズ画像は、そのままでは真っ暗ですが、実際の星雲撮影に合わせて、強調処理としてトーンカーブ調整のみしてみます。次の写真を素材にしました。
S2pro、ISO800、5分露出、RAWをjpg変換。
これをこんなかんじに強調します。
なお、以前お見せしたりしている直焦点画像は、コンポジットして、ランダムノイズ除去処理もしたものですので、今回の画像はだいぶノイズが見えます。
さて、ダークノイズですが、条件は、室温25度以上、ISO1600、キャップをしF22まで絞ったレンズを装着して5分露光、D200は長時間ノイズ除去あり、なしで撮影しました。
画像の全体(リサイズ縮小)と中央部等倍を以下に示します。
いかがでしょうか。
D200はノイズリダクションありでは露出の後、ダーク引き処理を撮影時間と同じだけかけてやりますので、その間撮影できなくなります。しかし、引き過ぎくらい真っ黒です。
NRなしでは、アンプノイズと見られるマゼンダのかぶりが周辺に見られます。これはかなりひどいです。しかし、これは固定ノイズ、同じ撮影条件なら同じように現れるノイズなので、撮影画像からこのダークノイズ画像を引くことが後からできます。温度により変わりますが。
中心部の等倍画像を見ると、意外に?ローノイズです。熱スポットノイズは少ないのが分かります。
S2proは、全体画像を見て分かるように、熱かぶりノイズは全く見えません。というかありません。やはり定評は本当でした。しかし、中央等倍では、熱スポットノイズが多く見られます。これはランダムノイズなので、あとから引いてやっても消えません。
筆者はそれを解消する為、二枚コンポジットした上に、二枚の「差の絶対値」というもの(本来なら真っ黒なのだがランダムノイズのみが残る)を減算してやって、S/Nを上げています。
結果として、S2proの性能が良かったのですが、一方でD200の意外な善戦を感じました。ランダムノイズの少なさは特筆もので、これは通常写真でも優位に働くはずです。
じつはキヤノンのノイズはフジに近く、KissDXは、他のサイトを検索すると、S2proを上回るローノイズのようですが、やはりランダムノイズはびっしり出ています。
一方Nikonのノイズ処理は、独特で、いろいろな文献、サイトを見ると、ノイズを輝度ノイズと色ノイズに分離しているようで、最も目立つ色ノイズを消す処理をしているようです。
熱かぶりも最近のNikonのD40などを見ると、かなり少なくなっているようです。もしこれで熱かぶりが無くなると、最強の天体カメラができます。
ところで、S2proですが、当初、星の写りの良さで人気が出ましたが、星雲で人気のあるHα波長の感度を向上させる為の、赤外線カットフィルタ(+ローパスフィルタ)の交換ができない構造であった為、それのできるキヤノン機の方に人気が行ってしまいました。
フィルタの交換をすると通常撮影ができなくなるので、覚悟が必要なのですが、サブ機ならなんとかと考えていたのです。しかし、S2proのフィルタ交換は無理そうなので、どうするか困ったのです。
今回、D200のノイズ対策に、Nikonの将来性を見たような気がしています。
この際、ニコンに賭け、S2proは下取り価値のあるうちに放出、という決断をしました。
ってことはまだ買う気かい、をいをい。;)
今まで頑張ってくれたS2proの有終の美を飾って、オリオン大星雲の未公開写真です。