上の子供は中学三年生なので、高校受験を控えていて、それでも夏休みの自由研究をがんばるというので何をやるのかと思ったら、木星のガリレオ衛星を観測するという。どうも親父の趣味に合わせることでうまく利用してやろうという腹らしいが、まんまとひっかかることになった。
下の子供は、昨年、やはりガリレオ衛星を見るというので、ビクセンの8cmEDを買ってやることになったが、この親父は子供には価値のあるものは高価でも買ってやるという「食わねど高楊枝」なのである。今回も役に立ったと思えば安いものだ。
受験生でもあるので、一晩で集中的に観測し、それを二晩くらいやるということにしたが、2009年の夏は天候がいつも以上に不順で間隔が空いてしまった。
しかし運良く、イオやエウロパが木星面を通過する様子を観察できた。
まあ、そこまででも立派な観察だが、なにせ前年に小学4年生が10日ほどスケッチをとったので、それより格好良くしたいと言う。
そこで、若干アイデア出しをしてあげて、以下のようなものをまとめた。
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考察
2009年8月8日の21時00分から23時56分までの木星の前を横切ったイオの動きから、イオの公転速度を求めることができる。
スケッチ上で、イオの移動量=2.6cm(176分間)、木星の直径=2.1cm
実際の木星の直径は14万kmであることから、
イオの移動速度=(2.6cm/(176/60)時間)×(140000km/2.1cm)=約6万km/時
イオの平均公転半径=42万km、公転周期=1.769日から実際のイオの速度は6.2万km/時
同様に、
2009年8月16日の21時19分から22時14分までの木星の前を横切ったエウロパの動きから、エウロパの公転速度を求める。
スケッチ上で、エウロパの移動量=0.6cm(55分間)、木星の直径=2.1cm
実際の木星の直径は14万kmであることから、
エウロパの移動速度=(0.6cm/(55/60)時間)×(140000km/2.1cm)=約4.3万km/時
エウロパの平均公転半径=67万km、公転周期=3.551日から実際のイオの速度は4.9万km/時
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ということである。
スケッチの精度から、実際に木星面を通過する状況ならばリファレンスになる木星の大きさと衛星の移動距離は精度が高いことを期待しての考察だった。
その精度云々よりも、実際に結果検討したことを尊重したい。
よくやったと思う。
(追記10.3)
この中学三年生の自由研究は、平成21年度横浜市立学校総合文化祭で生徒科学作品展で出品され努力賞をいただいた。がんばったね。
親父も、夏休みの宿題として、胎内星まつりへ行ったが、それは置いておいて、木星の写真を。
秋晴れのような天気で、涼しい風が吹き、シーイングがあいにくだったが、ノイズの少ない画像が得られた。
木星
撮影日: 2009年8月26日
撮影時刻: 下記
露出時間: 動画約30秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: タカハシCN212(カセグレン焦点)
カメラ: ニコンP4、MOV、デジタルズームx1.8、ニコン フィールド接眼レンズ DS60(約7mm)
画像処理:コンポジット(約1000枚コンポジット)、ガンマ補正、画像復元
シーイング 6ー4/10、透明度 4/5
20時07分
21時29分
22時25分
23時35分
23時59分