naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

スキャナーからデジタルデュープへ

筆者のようなブログだと、別に最新情報を出すような使い方はしていないから、一分一秒を争うような目新しいことは出てきません。しかし結構長持ちする情報を検索して見に来られる方が多くいます。 また、筆者のホームページに「阪神電車の風景」というものがありまして、これがちょっと昔の阪神電車の写真を掲示しているということで、マイナーなくせにかなりの方が訪問してくれています。 筆者は学生の頃から写真を撮りためており、そのネガやポジも多くあります。そういった写真は大したものではないかもしれませんが、時を経て、現在では見ることの出来ない風景だったりします。 写真の意義の一つに記録、記憶というものがあり、筆者はそれを重要視しています。 昔の写真をホームページに出したり、劣化を避けて保存するために、フィルムからデジタルデータを作る必要があります。筆者は15年近くフィルムスキャナーを使ってきました。このブログの初期にもフィルムスキャナーの記事があります。 見返してみると隔世の感がありますが、当時2700dpiの画像は容量が大きすぎて保存するのも一苦労でした。しかし、このときのデジタル写真のドット数は大体4000x2700でして、1000万画素相当です。 15年前に1000万画素のカメラなんて夢物語でしたし、jpeg圧縮しても1MBを超える容量では、3.5インチフロッピーディスクに一枚入るかどうか、100MBのハードディスクに100枚入れたら終わり、という状況だったのですね。 それが今やデジカメで1000万画素を優に超えてしまいました。 ここからが本題です;)。 筆者のフィルムスキャナーはニコンLS2000でしたが、接続はSCSIスカジー)でした。近年ではSCSIはパソコンに搭載されず、IEEE1394FireWireとかi.LINKとか呼ばれる)やUSBに変換する変換ケーブルでつないで使用して来たのですが、メーカーソフトが更新されなくなり、変換ケーブルもOS更新に対応しなくなるともう使えなくなってしまいました。 なんとか古いパソコン(PowerMac9500)を専用に置いて使って来たのですがそれも廃棄したため、eMacのクラッシック環境を使ってMacOS9上で使えるようにしたのですが、やはりエミュレーションには限界があり、さっぱり認識しなくなっていました。 そこで新しいフィルムスキャナを物色したのですが、今あるものはフラットベーススキャナの一部機能か、500万画素のCMOSで撮影する簡易型でした。いずれもピントに問題があり、フォーカスが外れても救済策が無いのが問題です。そもそも35mmフィルムのピント精度は非常にシビアで、フィルムスキャナの最も難しい部分だったのですが、そこをはしょってしまっては単に数字上解像度が上がっても仕方が無いのです。 長い間迷っていたとき、ふと思い出したのが、昔の「デュープ」でした。デュープとは複写、特にフィルム原板の複写でして、昔はポジ=スライドの講演などに使う複写スライドを作成することを指していました。 しかし、今では忘れ去られたデュープですが、現代においてはデジタルカメラによって一気にフィルムをデジタル化できるのです。 しかも、最新のデジタル一眼レフカメラは1000万画素を軽く超え、RAWなら14bit階調、HDRを使えばマルチスキャンの機能にもなる、これはかつてのフィルムスキャナと同等の性能ではないか。 これに気付き、実際に試してみることにしました。 デュープの方法は一般には接写レンズでライトボックスに載せたスライドフィルムを等倍撮影することでしょう。このときにはコピースタンドを使ってピンぼけ、ぶれを防ぐのに気を使います。 しかし、ニコンからこんなものが出ています。 ニコン ES-1 スライドコピーアダプター 20110305_210121dsc_1334 これはレンズ前にフィルターねじを使って接続し、スライドを乳白色板の前にはさみ、等倍撮影するために設計されたものです。 レンズ前に直接スライドがつくので、ぶれの心配が全くないところが優れものです!! 別にニコンの発明ではなく、他社のものがディスコンになる中、残っていたのがニコンだけだったのですが。 これを手持ちの機材、ニコンD7000とマイクロニッコール60mm/2.8Dで使おうとすると、フィルター径の問題と、センサーサイズの問題があります。フィルター径は変換ねじを使うとして、APS-Cサイズのセンサーには約1/1.5倍で撮影して35mmフィルム全体が写りますから、設計上の距離よりもやや離しておく必要があります。 しかし、ただ離しただけではぶれが出てしまい、せっかくぶれの心配が無いアダプターなのに意味がありません。 そこで他の既製品と組み合わせてみて、ちょうど良い組み合わせが見つかりました。 ニコンHN-36、これはシートフィルターアダプタ用のねじ込みフードで、前後に82mmフィルターねじがあります。この長さであれば丁度良い距離に設置できるようです。 これの雄側には、62-82mm変換のステップアップリングをつけます。 20110305_210309dsc_1336 逆に先端のメスねじには、82-72,72-52mm変換のステップダウンリングをつけます。 (一気に82-52の変換ねじは見つかりませんでした) 20110305_210342dsc_1337 こうすることで、マイクロニッコール60mmの62mmフィルタねじに、HN-36フードを介在して、ES-1 スライドコピーアダプターが付けられました。 20110305_211408dscn8119 ES-1 スライドコピーアダプターは、伸縮する構造ですが、引き出した状態で、35mmフィルム全体が複写できる配置になります。厳密にはやや手前にすると画面いっぱいになるのですが、実用上はすこし余裕がある方が傾きの補正がしやすいようです。 20110305_211418dscn8120 このようにちょうど良い組み合わせが出来ました。 では実際のデジタルデュープの性能はどうでしょうか。 これは「阪神電車の風景」に使っている阪神電車の写真です。と言っても1986年の古い写真をフィルムスキャナー、ニコンLS2000でスキャンし、色、トーンの調整をしたものです。 H51418611222000 この原板をデジタルデュープしたものがこちらです。 14bitRAWで撮影し、デジタル現像しています。露出はマニュアルでややアンダー、ピントはAFですが、図柄によってはマニュアルになります。ホワイトバランスは太陽光、バック照明は家庭の蛍光灯です。 20110305_202138dsc_1319 その部分を100%部分拡大したものです。 20110305_202138dsc_1319s フィルム粒子も見えだしており、フィルムスキャナと同等の解像度は得られているようです。 色合いやトーンはまだ改良の余地もありそうですが、意外にフィルムを目で見たままに近いのはこちらです。画像をいろいろ処理しないとトーンが出ませんが、露出とバックライトを厳密にすれば一発撮りでも行けるかもしれません。 なによりぶれの心配が無く、シャッターを切るだけで良いのは、スキャナーには無い効率の良さです。 そして価格が、全部あわせても7000円程度なので簡易フィルムスキャナよりも高性能で安価です。 筆者のフィルムスキャナ対策はこれで行くことにしました。 フィルムのデジタル化需要はまだまだありそうです。簡易スキャナが売れているそうですが、それより優れたこのデジタルデュープはもっと使われて良いと思います。 PS、カメラがD300からD7000になったのは先月です。が、気にしないでください(笑)。