好シーイングに巡り会いました。
この日は曇りの予報で、半分諦めていました。2時すぎに見てみるともうかなり雲が出て来ていました。だめ元で、セッティングしてあった赤道儀を起動すると、なんと地平線以下の方向へ動き出す誤作動をしました。おそらく露に濡れてしまったためでしょう。補正板も見る見る曇って行きます。
諦めモードで、なんとかマニュアルで木星を導入し追尾可能な所まで来て、肝心の木星が雲の中に。雲の動きは速く、雲間から見える木星を見ると、かなりシーイングが良いのが一目で分かりました。今年の淡い色の大赤斑がはっきりと、しかも渦巻いて見えます。
幸運なことに、自宅上空は木星の方向から雲が取れてきました。これは本当に幸運で、多くの地域では曇ってしまったようで、しかもシーイングも局所的に良かったようです。
写真を一通り撮りながら、インターバルでアイピースを取り替えながら見てみると、いつもなら過剰倍率になって揺らぎがとれない560倍でも模様がはっきり見えます。手持ちのNAV-5SW、旧NikonO-5、TMBモノセントリック5mmそれぞれでとても良く見えました。特にNAV-5SWはレンズ枚数の多いスマイスレンズの入ったアイピースですが、モノセンと遜色の無い模様の見え方でした。目からのゴーストさえうまくはずせば惑星観測に良好です。
それにしてもドライヤーで補正板を乾かしながら、赤道儀は誤作動しながら、なんとかこの希有な好条件を見ることができました。このシーイングは自分も長い観測史上一二を争うもので、横浜の空では最高という基準にしたいと思います。
画像の方ですが、普段は見えない模様をあぶり出すような強力な復元処理をしているので、今回のような像ではどぎつくなりがちで、穏やかに、しかし高精細に模様を出すのが難しいです。
まだ画像復元前の画像のほうが目で見た印象に近いかもしれません。以下に示します。
撮影日:2011年9月11日(JST)10日(UT)
露出時間: 動画約40秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレン)、ビクセンアトラクス
カメラ: ニコンP4、MOV、ニコン アイピースNAV-10SW+EiC-16
画像処理:コンポジット(約1200枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、
シーイング 9-10/10、透明度3/5
3時18分(JST)f=42mm(電子ズーム換算値)
つづいて画像復元処理後の画像。
撮影日:2011年9月11日(JST)10日(UT)
露出時間: 動画約40秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレン)、ビクセンアトラクス
カメラ: ニコンP4、MOV、ニコン アイピースNAV-10SW+EiC-16
画像処理:コンポジット(約1200枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker、最大エントロピー法、マルチバンドシャープ=ステライメージ5
シーイング 9-10/10、透明度3/5
3時05分(JST)f=39.4mm(電子ズーム換算値)
3時18分(JST)f=42mm(電子ズーム換算値)=復元前の写真と比較してください
3時38分(JST)f=42mm(電子ズーム換算値)
3時52分(JST)f=39.4mm(電子ズーム換算値)
先週は突発的な頭痛で、早朝病院でCTスキャンを撮ってもらい、数mCV被曝してしまいました。その後も結局二日間頭痛が残りました。なにか気分転換が必要なようです。