naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

シュミットカセグレンとの格闘(光軸調整)

筆者の天体望遠鏡遍歴は、小学生の頃にミザールH-80、高校生でビクセンポラリスR100、社会人で高橋MT160ときていて、ずっとニュートン反射望遠鏡派だった。 その後、ブログを始めた頃からミードLX200-25(25cmシュミットカセグレン)、高橋CN212(21cmカセグレン)ときて、2010年からセレストロンC11(28cmシュミットカセグレン)を使っている。

ミードLX200-25からシュミカセを使ってきていながら、なかなかニュートン反射のような感覚が抜けず、例えば光軸合わせも優秀な高橋MT160ではほとんどいじらなくても良い状態を保っていたので、シュミカセも副鏡の傾き調整で済ませていた。 「シュミット」の初代店長調整品セレストロンC11を購入してミードとの差に驚き、シュミカセを見直したものの、数年経つとそれなりにしか惑星が写らなくなった。デジスコからPCカメラに切り替えて、いよいよ”言い訳”がなくなったので、ここでちゃんと光学系を見直そうと四苦八苦している状態だ。 ともかく光軸調整を何度やっているつもりでも、なんだか像が甘い原因が何なのか追求してみることにした。 今回まず気がついたのは、副鏡の回転。 筆者のC11は比較的新しいタイプで「Fastar」という分類になる。これはオプションで副鏡を外してカメラがつけられるもので、副鏡調整ネジを「ボブズノブズ」に交換する際、補正板から副鏡を外していた。 そのままそっと元に戻せばよかったのだが、この副鏡を外すために外す飾り環がきつくて、取り付けホルダーごと回転してしまったのだ。その時はもう一回押さえ環を締めなおして直したつもりだった。 改めて現状を確認したところ、本来緑色矢印の方向にあるべき副鏡の調整ネジが朱色方向に向いていた。 これがどの程度関係あるかわからないが、ともかく工場調整時と反対方向だったのだ。 Img_0277c アリガタレール(ドブテールバー)の反対側にある上に位置するねじ。これを目安に位置を回転する。 Img_0278 回転するのは副鏡を外した後に現れる取り付けホルダー。補正板を向きに気をつけながら外して(側面に工場調整時のマジックペン印がある)裏のバッフル筒を緩め、切り欠きの位置(黄色矢印)を見ながら回して固定。 Img_0281 副鏡には位置決めのねじピンが出ているので調整ネジとの関係を確認しながら回す。 Img_0282 結果的にこのような位置関係となり、調整ネジが上を向いた。(ボブノブ交換時に副鏡を120度回転させた可能性は残っているが確認できなかった。したがってこの位置が正しいとは断言できないのでご注意) Img_0283 なお、製品写真は、「Fastar」ロゴが白矢印の方向になっているがボブズネジをつけるとカバーでネジを隠すことができず、60度ずれているため黄矢印の方向になっている。 Img_0285 こうして光軸調整後撮影して見た。 木星 2017年6月14日 シーイング3/10、透明度3/5 望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレンF10)、Skywatcher AZ-EQ6GT赤道儀 カメラ:ZWOASI224MC、(GSO ED3xバローレンズ)=F30 画像処理:AutoStakkert_3.0.14スタック、Lynkeos(Mac)各種強調、復元、フォトショップ 露出10msec.ゲイン約400、5000枚>75%約3500枚コンポジット 21時30分30秒(JSTOacapture20170614212030_lk 光軸調整はこんな状況。 アルクトールスの焦点内像 Oacapture20170614214902_l アルクトールスの焦点外像 Oacapture20170614215033_l 木星と同じ程度にぼかしているのでかなりピントの合った状態だから厳しいが、軸があっていない。しかし、この時に気になったのが、中央の白い点が内外像どちらかで完全に同心円にすると、反対像では白点が見えなくなるのだった。これは副鏡が中心からずれたことを意味する。 そこでまず、実際の副鏡位置を寸法測定して見たところ、 Img_1380 鏡筒外径に対し1mm、中心から0.5mmほどずれていた。 Img_1383 このわずかな量が光軸に効くのか、また主鏡に対する位置ではないのも気になるが、ともかく補正板ごと位置だしして見た。 Img_1386c Img_1387c 木星 2017年6月15日 シーイング5/10、透明度2/5 画像処理:AutoStakkert_3.0.14スタック、Lynkeos(Mac)各種強調、復元、フォトショップ 露出12msec.ゲイン約400、5000枚>75%約3500枚コンポジット 果たしてどうなるだろうか、と期待薄だったが、実際に光軸を確認するとこのわずかなずれで大きく光軸が狂っていた。そこで改めて光軸を合わせ直したのだが、木星が西に傾きかける中で急いで調整したのでやや不十分だった。 アンタレスの焦点内像 Oacapture20170615221705_l アンタレスの焦点外像 Oacapture20170615221814_l この日のシーイングは大して良くなく、期待しなかったが、このシーイングにしては模様の「輪郭」がよく出たと思う。 20時09分47秒(JSTOacapture20170615200947_lk 20時10分44秒(JSTOacapture20170615201044_lk この後、土星も狙ったが、なんだか流れてしまいダメだった。 改めて恒星像を見ると、光軸のずれが大きくなっている。 どうも鏡筒を東側にした時と西側にした時で光軸が変わるようだった。 昨シーズンもこの現象に苦しめられたが、笠井クレイフォード接眼のガタ締をしっかり行うことで解決したように感じていた。しかし、クレイフォードのガタは再発し、締めなおしたものの厳密には治らなかったようだ。 疑ったのは、アリガタレールと呼ばれるドブテールバーが、ビクセン規格の「幅狭」であり、ねじれが生じていると思われることだった。実際横向きに鏡筒を構えるとしなるのがわかった。

==== 幅狭レールのC11。 Img_0510 上下4本の六角穴付きボルトで固定されているが、穴間隔が狭いのでねじれが生じるようだ。 Img_0511 そこでC11用幅広レールを購入、交換することにした。 Img_0513 レールを外し、接眼側は幅広用のネジ穴についているセットビスを外して、内側のネジ穴を隠したところ。 ところが、補正板側はセットビスではなかったので十字穴ネジを化粧ビスとしてつけようとしたがネジピッチが合わないのかつかないので、テープで穴を塞いだ。 Img_0514 付属しているネジ。 Img_0515 元のネジとの比較。右2本が元のネジだが幅広レールには短いので付属のネジに交換。 Img_0516 Img_0523 果たしてどの程度の効果があるかな。