naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

デジカメ比較実験!-3(2000)

3.ピント、解像度、コントラスト

最後に最もピンときやすい;)、ピントについてです。

コンシューマー向けデジカメは一般的に銀塩コンパクトカメラの延長上にあるものです。一般にコンパクトカメラではピントが甘くなります。それはTTLでない(撮影レンズを通さない)AFセンサと貧弱な駆動系から来る問題です。デジカメではCCD画像を使って、ビデオカメラのようなAFをするのでTTLと言って良いのですが原理上コントラスト検出方式なので曖昧なパターンに合わない欠点もあります。しかしまず問題なのはCCDの小ささから来るレンズ焦点距離の短さです。

990のレンズ焦点距離は8-24ミリ。焦点距離8ミリの単レンズとして計算すると、無限大時レンズから8ミリの場所に結像し、50メートルの時は8.0013ミリの場所に結像します。1.3マイクロメートルの移動量です。同様に25メートルでは26マイクロメートルの移動量です。実は990のカタログにAF制御の1ステップが1.25マイクロメートルと出ていたのでこんな計算をしてみました。おそらく990はこのクラスでも真面目にAFも作っていると思われ、もっとラフな製品が多いのです。かつては固定焦点のデジカメも多かった。それにしても、このカメラの中で1マイクロメートルの制御とは・・・。それでも無限大-50m-25mのステップなのです。ちなみに50ミリレンズなら無限大から50メートルまで50マイクロメートルの移動量です。技術的にはコンパクトデジカメはこんなに難しいことをやっているのです。正直、フォーカスエラーもありそうです。

次に解像度で最も大きな問題は、「モアレ」対策のローパスフィルタです。モアレとはテレビなどで出る、細かい縞模様が虹色の偽の模様が見えてしまう現象です。CCDのピッチに近い繰り返し模様では必ず起こる現象なので、服の編み目、都市風景のような細かい遠景などでは大問題です。そこでローパスフィルタを入れて、高周波数成分を除去します。早い話わざと解像度を落とすのです。正直言うとこの辺りから僕の理解も曖昧なのですが;)一見矛盾するこのやり方が一般的な方法なのです。一旦落とした解像度をどうやって復元するかは、ブラックボックスですが、デジカメによってはエッジを強調しすぎて不自然に見えてしまうものも多いようです。990にはエッジ強調をオフにも出来るので、後処理でシャープネスを上げる方が良いかもしれません。

ローパスフィルタを無くす工夫ができればよいのですが、そのためにはランダムパターンのCCDか、レンズ解像度を大幅に上回るCCDを使い、数分の一に画像を縮小してしまうのが手っ取り早いか。

そしてコントラストも300万画素デジカメの欠点とされてきた項目です。デジカメ評論で言われているのは、1ピクセルあたりの面積が縮小されたので、キャパシティ不足で飽和しやすく200万画素に劣るというものです。確かにもっともに聞こえますねえ。もちろんある意味正しいものです。でも、それって300万画素が悪いのでしょうか。
冷却CCDの場合、16bitの出力も可能ですし、スキャナでも12bitは普通ですから、8bitの出力にも問題のあるような物はありえないと。するとこれはむしろCCDの後処理、A/Dコンバータから各種ゲートアレイ、ASIC内での処理に問題があるのか。僕の想像では、これも初期のデジカメ評論に見られた「ねむい」「青っぽい」画像に対する批判の影響で、カメラ側でより派手に見栄え良くしようとしすぎた結果だと思います。ちょっと見、コントラストの高い画像は解像度がよいように感じ、くっきり見えるので、そのようにしているのです。結果としてコントラストの高いところで破綻するのです。

作例は、これも某工場の窓から昼休み撮ったものです。;)中央部分をピクセル等倍で切り抜きました。ブロックノイズが見えたらごめんなさい。

950-712

Nikonクールピクス950
コントラスト:オート
輪郭強調:オート

990a-714

コントラスト:オート
輪郭強調:オート

990m-715

Nikonクールピクス990
コントラスト:-(マイナス)
輪郭強調:オフ

これも結構印象が違いますね。まず解像度は、990も950もそう大差ないです。やや990がいいかな。でも990もエッジ強調をオフにするとボケボケです。でもこれが本当に写った画像です。コントラストはオートでは950の方が990よりすぐれています。空の部分のアンテナの描写が明らかに違います(HP氏どうも)。でもコントラストマイナスにした990の方がさらに優れています。このことからもコントラスト飽和は300万画素のせいではないことがわかります。

あえてデジカメ評論で言われていることに反論する形で考えてみました。いずれも全く間違えではないものの、支配的ではない原因を強調しすぎたり、特定の条件に偏った結果を用いていたりで、気になっていたものですから。この実験も偏っていないとは思っていません。夕焼けの条件なんて相当偏っているし。でも簡単に違う結論が出せるくらいデジカメの評価は難しいです。(デジカメが勝手に中でいろいろやりすぎとも言えますが)

なんかデジカメもまだまだな部分を感じますね。凄い部分とのアンバランスと。

2000年10月1日