naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

大伸ばしの日(2003)

大伸ばし

出身大学で筆者は写真部に所属していたのだが、年末恒例の大学写真展が今年も行われる。
この写真展はもう25年以上続いているもので、近所の大学四校が合同で行う形式をとっている。

写真もいろいろバライティに富んだものが多数出品されるのだが、この写真展の特徴として、白黒写真の大伸ばしパネルが多く出品されることがあげられる。印画紙の大きさは一般の紙のサイズA4とかB5とかと違って、「全紙(ぜんし)」=457mm(18inch)×560mm(22inch)を基準に、半分を「半切(はんせつ)」、1/4を「四つ切り」、1/6「六つ切り」などと呼んでいる。ちなみに全紙、半切は書道用紙の用語でも有るが大きさは全く異なる。(全紙は2.3尺×4.5尺)

通常の写真展では四つ切りパネルが基本で、全紙パネルが最大であることが多い。しかしこの写真展では全紙の倍の大きさの「全倍(ぜんばい)」も出品される。特に出身校写真部は元来この全倍パネルをひとつの売りにしており、伝統でもあるのだが、それを作成するには通常の暗室では作業できないので、ダンス練習場を一晩借りて、徹夜で引き伸ばし作業を行う。この日を「大伸ばし」と呼んで恐れられてきた(?)

20年ぶりにこの「大伸ばし」を見に行った。この様子はなかなか見られないものだからここで紹介する。

写真の引き伸ばし工程順に以下に示す。

1.露光=印画紙上にネガを引き伸ばし機で拡大投影する。

031206-2


2.現像=印画紙を現像液に浸けて、画像を出す。

031206-3

3.停止=停止液に浸けて現像がほど良いところで化学反応を停止させる。

031206-4


4.定着=定着液に浸けて余分な感光材を溶解し表面を硬化させる。ここから明るいところに出せる。

031206-5


5.水洗=定着液を洗い流す。これをしないと変色する。

031206-1

6.乾燥他=乾燥させ、パネル貼りや額装する。かつては光沢出し乾燥もあったがいまではレジンコートで光沢が出ている印画紙がある。



写真上のように、一人では出来ない大きさなので、このときばかりはクラブ活動の良さで、お互いに手伝いながら各自の作品を仕上げる。
また、現像液のパッドが大きさが足りないので、防水シートでプールを造って代用するのも伝統だ。このあとパネル貼りをして、写真展作品を仕上げる。もっとも最近ではパネル貼り用の「バライタ紙」が生産されなくなっており、またデジタルカメラの台頭で引き伸ばしも無くなってきた。近いうちにプリンタで印刷することになるだろう。

しかし、学生諸君には良い思い出になって欲しい。こういう連帯感のある作業はなかなか味わえないものだ。


2003.12.7