naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

大晦日の星

富士山二合目の水が塚駐車場へ行ってきた。
まだうっすらと路面に雪が残り、すり減ったタイヤのスリップに気を使いながら、たどりついたが、正直言ってあまり暗い空ではない。それでも澄んだ星空に見えるのは富士山がバックに見える効果だろうか。

今回は新しいニコンD300のテストをかねていたのだが、この年末の押し迫った時に、タットル彗星が渦巻き星雲で有名なM33に接近するというのである。
ホームズ彗星も近くにあるのだが、やや離れていて一緒に写らない。

この駐車場は、昔は有料道路の入り口にあって、比較的夜は静かに星が見られたのだが、無料になって料金所も廃止されると、暴走族まがいが現れるようになってしまい、駐車場内にはバリケードができて、明るいライトもついたので、中には入ってこないが、あいかわらず周囲の道路は騒がしい。

星見にも不利なのだが、明かりや、自動販売機、トイレがあるので安心していられる。

天気予報が二転三転したが、この日は快晴に恵まれた。夜半に下弦の月が昇ってくるまでに写真を撮ろうと望遠鏡をセットした。
昔、正月にハレー彗星を見に来て以来の、冬の富士山だが、やはり寒い。
零下10°くらいか。
風もあってさらに寒く感じる。

そのためか、極軸のセッティングに失敗し、なかなかガイドが決まらない。
さらに、カメラ雲台のロックが締まらず、カメラが動いてしまって時間をロスする。すると寒さがさらに身にしみてくる。

D300はISO1600で撮影してもS2proの800並みのノイズである。しかしこの空では、3分露出でもバックがオーバーになってしまい、露出を抑えることにした。こうすることでガイドエラーや風のぶれが軽減される。

タットル彗星は、双眼鏡では恒星状にしか見えず、M33を目安に構図を決めるのだが、これが意外に難しい。何度か露出して画像を見ながら修正する。これができるのはデジタルの強みだ。

D300には「ライブビュー」がついていて、ピント合わせはやりやすい。しかし構図を決めるとなかなか明るい恒星が無いのでこのときは使い物にならない。事前に一回やって固定するのが良いのだが、別の被写体を導入するときにピントを動かさないですむようにしなくてはならない。

前置きはこのくらいで、青い彗星の神秘をご覧下さい。

20071230221517
M33に並ぶタットル彗星
2007年12月30日22時15分
ニコンD300、AFニッコール80-200F2.8 (200mm)、露出30秒、絞り3.2、ISO1600、4枚コンポジット

M200712310050lrgb
撮影日: 2007年12月31日
撮影時刻: 00時49-51分
露出時間: 1/30秒(約150コマ)
撮影場所: 表富士二合目
望遠鏡: タカハシCN212(カセグレン焦点)
カメラ: ニコンP5100、VGA、デジタルズームx4、ニコン フィールド接眼レンズ DS40(約10mm、ボーグ アダプタ使用)
画像処理:コンポジット(約150枚コンポジット)、ガンマ補正、画像復元
シーイング 2/10、透明度 5/5

前回のニコンP5100が芳しくなかったのだが、意外に検索して見に来られた方が多かったので、このまま悪い印象のままでは、まずい?と思い取り直すことにした。
前回の設定で間違っていたのが、輪郭強調にオフがあることを見落としていたことだった。今回はオフにしたので白い輪郭は出てこない。
だがもともと気流の激しい富士山麓ではシーイングに期待できないのだが、やってみるとまあまあのときがあったので処理してみた。
上に示した作例は、その中でまあまあ、実際の模様がうまくとらえられたと思う。
しかし、他に二パターン撮ってみたが、なかなか画像処理がうまく行かない。いつも使っているレジスタックスでのウエーブレット変換ではうまく模様が出てくれないのだ。ステライメージの画像復元(最大エントロピー法)とマルチバンドシャープを用いたが、画像復元を普段三回ぐらいですますのに、十回ちかく繰り返しかけている。だからなのかなかなか安定した処理にならない。

新しい機材はやはり使いこなすには時間がかかる。しかし、D300、P5100(これは借り物)ともにポテンシャルの高い機材なので使いこなしたときが楽しみだ。

今年はどのような年だったでしょうか。
来年、筆者は年男らしい。けれどともかく平穏無事な年になることを祈っています。