naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

僕の中の風景

ちょっとご無沙汰でした。
公私にわたってやるべきことが目白押しで、それもありがたいことに自分のモチベーションを高められる案件であったために、ついつい力が入ってしまって、力みすぎた嫌いもあるが、どうにか乗り切ることができています。まあ、しかし以前に比べると体がついてこなくて困ります。

毎年、この時期になると学生時代の写真部展覧会があるのですが、今年は例年より早く、またOB出展は無かったため;)宣伝し損ねました。最終日の閉会時間に行ったのでほとんど見られませんでしたが、ここ数年の傾向として、一時の「セルフポートレート」風写真が影を潜め、街角スナップ風景が多く見られました。筆者の好きなジャンルでもあります。

自分のブログなので勝手なことを言いますが、筆者は、いわゆる「芸術写真」が嫌いです。いや芸術擬きと言うべきでしょうか。1970年代から80年代にかけて、ちょうど筆者が学生の頃ですが、「○○カメラ」などに載っている写真を見て勉強しろとよく先輩に言われたのですが、どうしても、もう生理的に受け付けなくてだめでした。この傾向は今でもそうです。
どんな写真のことか、といってもあいまいですが、ピンぼけでコントラストの高い粗粒子の荒れた写真、構図が傾いて主要被写体をわざとアンバランスに配置した写真、にこりともしないモデルをわざとらしく配して肌を黒く焼き込んだ写真・・おそらく古本屋に行って当時の写真誌を見るとこんな感じです。

筆者はもともと絵が好きでした。漫画とごっちゃになっていた時期もありましたが、中学高校の美術は好きな教科でした。ですが、美術の先生に褒められた記憶があまりありません。成績は悪くはなかったのですが、実際に個展などをされていた新鋭の芸術家である先生には、どうも筆者の絵は古典的に見えたようで、「お前の絵は写真みたいだ」と言われたこともあります。
レオナルドダビンチやルネッサンスの絵画が好きで、また、民家の向井潤吉とか日本画シルクロードを描いた平山郁夫とかが好きだったのですが、岡本太郎ピカソは嫌いでした。いずれも偉大な芸術家ですのに何を言うかと言われそうですが、当時の美術界では、芸術は爆発していたり、見えないものが見えていたり、自我の内面をさらけ出すような強い主張が要求されていました。
凡人である筆者は、それを知った辺りから、絵を描かなくなりました。

写真は大学に入って一眼レフカメラを買ってから、一から始めるつもりで写真部に入りました。もっとも天文部や鉄道研究会には暗室が無かったのでそれが目当てだったということもありましたが。
そこで先述の状況に突き当たったのです。
ひねていた筆者は、写真が絵画のまねをしているようにしか見えませんでした。しかも、内面をえぐり出すには、絵画のような自由な手段ではない写真は、それを上回ることはないように思えたのです。そういう写真がいいのなら絵を描いた方が良いと。
おまけに絵で嫌いな作風を写真で求められても嫌いなものは嫌いでして。

一年ほどはなんだかなあと思いながら月例会や写真展に出していたのですが、凡人にも優しい先輩とか友人もいるものでして、そんななか、「風景写真」との出会いがあったのでした。まだそれほど有名ではなかった前田真三や、奈良の入江泰吉や瀬戸内の緑川洋一の写真に惹かれ、光明を見た思いでした。
当時の写真雑誌に風景写真が載ることはほとんどなく、観光ガイドみたいに扱われたこともありましたが、今、風景写真だけの写真誌があったり、写真館があったり、状況は変わりました。

もうひとつは、緑川洋一の写真の中で、瀬戸内の写真と違ってあまり注目されていない写真の中に「かえり道」「十五夜」という写真がありまして、多重露光で月と風景を写したメルヘン調の写真です。自分の原風景の中に、秋の夕方、暗くなりつつある中を家路を急いだ記憶があり、先述の美術の先生に唯一ほめられたのが、夕景の絵でした。それに週刊誌の表紙で好きだった谷内六郎の絵が重なり、夕景、夜景に目を向けるようにもなりました。

そして、先輩に連れられて尾瀬に行ったり、友人と登山に行ったりして、ようやく筆者も「写真を楽しめる」ようになりました。

言い逃れをしておきますが、今筆者は、写真の究極は記録と記憶だと思っていまして、過去にどんなに駄作だと思っていた写真でも、横浜の今は残っていない風景であったり、友人家族の顔であったり、廃止された鉄道だったりしているわけで、つくづくそう思うのです。ですから、写真として残されたこと自体が価値のあることで、まあ、作者が真剣に撮ったのなら、なんでもありですね;)

ということで、以下の写真も寛大な精神で見てください。
デジタルカメラは正直言って風景写真には不向きのカメラです(だってぼけぼけなんだもん)が、ようやく耐えられる性能を持ってきました。それと、筆者のテーマ?である夕景、夜景には相反則不軌の無いデジカメは大変有利で、しかも最近のノイズリダクション技術の進歩で手持ちで撮れます。

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