naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

CP+と高画素デジカメ

先週はCP+でした。と言ってもそもそもそりゃなんだということですが、昨年まではPIE、それ以前はカメラショー、用品ショーと呼ばれていた写真用品の展示会です。今年からCP+として、初めて横浜のパシフィコ横浜での展示会でした。

そこで今年の展示会は各社からデジカメの新製品が発表されるのではと期待されていましたが、事前にキヤノンKissX4やパナソニックG2などといった既定路線のモデルチェンジが主で、少し期待はずれでした。

そのなかで、ソニーは(その前に海外で発表されましたが)、ミラーレスレンズ交換カメラのモックアップ、それも本当に形だけのものでスペックもセンサーサイズがAPSであることくらいですが、が出品されました。ですがそれもサムソンに先を越された格好で、そもそもオリンパス、パナのマイクロフォーサーズAPS判ということで、製品が出てこなかったことは残念でした。(製品を出すという噂もあったので)

そういうことで、もっとも話題になった新製品は、CP+に合わせて発表された、HOYAペンタックスの645Dが唯一のものだったのではないでしょうか。

645というのは、フィルムカメラブローニーフィルム、中判カメラの範疇に入るもので、6x9、6x7、6x6、6x4.5cmのフォーマットサイズの中のひとつです。
645Dの撮像素子は44x33mmであるから、全く違うフォーマットですが、35mmフルサイズより大きな素子で、645システムのレンズシステムをそのまま使える。画素数は4000万画素で、8x10インチの大判カメラのような画像が得られるといううたい文句です。

もともと写真館向けにPHASE ONEというデジタルカメラバックがあって、ほぼ同じスペックのものが数百万円で販売されていますが、この645Dは約80万円のボディということも大きな話題です。昔、デジタル一眼レフが200万円した頃、ニコンD1が65万円で出た時のような衝撃でしょうか。それにしてもボディサイズ、レンズが大きく、レンズを含めると高価です。

ですが冷静に考えると、4000万画素についてはなにもこのサイズにしなくても35mmサイズで実現可能な画素数です。APS-Cで1800万画素まで行っているのですから。
しかし以前書いたように、高画素へのアンチテーゼというのは根強く、1200万画素以上はいらないと言い張る人も少なくありません。

筆者の立場は以前にも書いたように、高画素になればなるほど良くて、しかしその目的は総画素数ではなく、真のRGB画素数が1000万画素に達することでした。
そうすればローパスフィルタがいらなくなるからです。
(ベイヤー配列ではRGB=1:2:1なので、総画素数の1/2から1/4しかない。ちなみに液晶の画素数はRGBセットで一画素と呼ぶので、デジカメとは違い正確)

今回、ペンタックス645Dで筆者が注目するところも、ローパスフィルタがないことです。
ローパスフィルタは、モアレ除去のために入っていますが、ご存じのようにモアレが起こるのは人工的な繰り返しパターン、例えば布地とかレースとかですから、風景写真にとっては無用の長物でした。(赤外線カットフィルタはローパスフィルタと一体になったものが多いですが本来は別物です)

でも今までのデジカメは写真館とかウエディングカメラマンが大きな画素数を要求していたので、そのための仕様だったものが、今回は風景用に割り切った。
風景写真カメラマンを主眼に置いた初めてのデジカメであります。

ただやはりモアレは出ますから、後付けのローパスフィルタは付けられるようです。

ここで考えてしまうのは、フォーマットサイズです。実はピッチが小さければ光の干渉の影響で、解像度が出ないと言われますが、こうなれば自然にローパスフィルタになるのです。つまりモアレは起きないのです。すでにコンパクトデジカメの1400万画素などはこの領域に入っています。

ローパスフィルタは、ぼかしフィルタです。レンズの解像度を崩してしまうわけで、その後画像処理により復元するとはいえ(理論上は完全に復元できるが、世の中理論道理に出来る製品なんて無い)、無いほうが良いのです。
そして何より問題なのは、その厚みとコスト、存在そのものです。厚みはシャッター効率の悪化になりますし、コストは撮像素子に次ぐ高価なものです。

素数が多いとメモリ容量が肥大化するというのであれば、出力段階でビニング処理してしまえば良いのです。1000万-2000万画素程度にすればRGBGの比率でちょうど良いのです。

ですから筆者は、早く35mmフルサイズで内部4000万画素以上、ローパスフィルタ無しの一眼レフをどこかから出してくれないものか期待しています。ビニングして1500万画素相当程度にすれば内部処理負荷も変わらず、本来のレンズ解像度を発揮する風景写真一眼デジカメができるでしょう。
で、このときは一眼レフでなくても、ミラーレスでも構わないです。スポーツ、レース、鉄道用カメラは現行の一眼レフデジカメで十分なので、これはこれで高感度性能が進歩するでしょうから。

風景や星の写真に使える本当のデジタルカメラは需要がどこまであるのか、今回の645Dはその指針になるのではないでしょうか。

追伸
筆者はCP+会場で二日間、ミニセミナーをやりました。多くのサクラの人に来ていただいてありがとうございました(笑)。でも本当に盛況で、わざわざ時間を待ってくれたりして聞いてくれた方もおり、うれしい限りで、今後の展開にも自信と勇気がわきました。