naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

探査機「はやぶさ」

2010年6月13日23時頃、オーストラリア南部ウーメラ砂漠に、探査機「はやぶさ」のカプセルが落下、14日に無事回収された。朝日新聞の一面には美しい落下の大火球が掲載された(撮影者は朝日の記者で天文ファン)し、NHK取材班の、ばらばらになって燃え尽きる「はやぶさ」と並び飛ぶカプセルの素晴らしい映像が繰り返し放映されたので、一般の人にも知れ渡ったのではないだろうか。

そのカプセルには小惑星イトカワに軟着陸した際に舞い上がった砂利が入っていると期待されているがはたしてどうであろうか。

筆者は天文ファンであるから注目はしていたのだが、正直言ってもう帰っては来られまいと思っていた。

2003年5月9日に打ち上げられた「はやぶさ」は、「イオンエンジン」の実証試験を行いながら2005年夏にアポロ群の小惑星 イトカワに到達して写真撮影を行い、11月12日に小型ジャンプロボット探査機ミネルヴァを投下、成功するも回収に失敗。11月20日はやぶさ自らがイトカワに着陸、ただし正常な動作が出来ず、砂利回収のための鉄球打ち込みが出来なかった。しかし、このとき着陸の衝撃で舞い上がった砂利の回収ができた可能性がある。
その後、通信不能、姿勢制御装置の故障、燃料漏れ、イオンエンジンの故障と繰り返し訪れた困難を乗り越え、宇宙科学研究所 (ISAS)現 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の努力により、地球に帰還した。

ここのところ、ネットで言われていたのは、「はやぶさ」が擬人化されて、そのけなげな行動と燃え尽きる最期に感動を覚えるという発言だった。また、イオンエンジン故障のバックアップが小さなダイオードで、これも「こんなこともあろうかと」装着されていたが、テストで想定外のものだったことが、まるでSF漫画の世界の様で、話題になっていた。

筆者もこのような論調をなぞることになるが、この「はやぶさ」はロボット、しかも鉄腕アトムのような「自立」したロボットである(事実小惑星接近時は自立飛行した)ことが、単なる宇宙ロケットを超えて「感動」をよんだ気がする。これはいかにも日本の科学技術の「日本的」なところであって、仏像に魂を入れたり、精魂を込めるという考え方から、手塚治虫の人格を持った機械ロボットのような感覚である。

またJAXAも、漫画や特撮に出て来た”科学者”を彷彿させる。バックアップのさらにバックアップを行いさらに全く違う機能部品を別の目的に適応させる(太陽電池パネルを太陽光圧を利用した「帆」にした)など、先の「こんなこともあろうかと」(この台詞、ウルトラマンのイデ隊員が有名)のバイパス回路もあわせて、したたかでしなやかな”諦めない”科学者のイメージである。

漫画や特撮の本家でもある日本の科学者とロボットが、このような快挙を成し遂げたことが今回の感銘を呼んだのであって、その評価はたとえカプセルの中に何も入っていなくても変わらないはずだ。

日本の科学技術もまだまだ捨てたものではない。