大彗星になり損ねたパンスターズ彗星
パンスターズ彗星が見えています。
東京の会社屋上から何度かチャレンジしましたが、なかなか見えませんでした。そうするうちに会社の天文仲間からつぎつぎ写真が送られて来て、焦りました。彗星の光度も当初予想よりも明るくなっていそうなので余計気になっていました。
この土曜日は快晴に恵まれ、箱根を目指してみました。
場所は、伊豆スカイラインの玄岳(くろたけ)西側にある駐車場です。夕日を撮影しに多くのカメラマンが来ていました。
そんななかでいきなり赤道儀を組み立てたので、夕日を見に来た人には何やつだと思われたでしょうが、もちろん夕日も撮影しました。ちょうど黒点が見えています。
今回ほど自動導入赤道儀のメリットを感じたことはありません。ビクセンのコントローラー、スターブック用にパンスターズ彗星と年末のアイソン彗星のデータが用意されましたので、それをインストールしておいた甲斐がありました。
アトラクス赤道儀の極軸は明るいうちに、iPhoneのコンパスでほぼ合わせておき、月と木星でアライメントし、パンスターズ彗星の自動導入を指示しただけで、ほぼ500mmレンズに入りました。肉眼でなかなか見えない天体にはこの機能は助かります。
暗くなってからは18x70双眼鏡で尾まではっきり見えました。
青い色が残る夕空の中で。
2013年3月16日18時36分 露出1秒×10枚 NikonD7000+500mm
10分ほどの間に霞の中に入ったようです。
18時45分 露出10秒×7枚 NikonD7000+500mm
肝心の彗星ですが、明るさこそ1等級で見えましたが残念ながらかつての大彗星のような尾は見えません。同じ500mmで撮影した月を並べてわかるように、尾の長さは1度に満たない程度しか写っていません。(月の直径が0.5度です)
近日点通過時に、彗星核が崩壊してガス、イオンなどが噴出して尾になるわけですが、処女彗星なのでおそらく核が固い表面に覆われたままなのでしょう。核の明るさから考えると大変残念です。
近くに、小学三年生の子供と見に来たという家族がビクセンの天体望遠鏡を広げていましたが、月を見ていたので聞いてみると、「パンスターズ彗星がどこにあるかわからないので見ていない」とのことでしたので、撮影中のカメラを見せてあげました。双眼鏡でも見せたかったのですが、濃いもやの中に入っていたので目では見えない状態でした。子供は自分の目で見られると期待しているのが分かったので、見せてあげられずに残念でした。
これに懲りずに星を見てね、と言ってあげると元気に返事をしてくれたのが印象的でした。
暮れのアイソン彗星はもっとよく見えると良いですね。