naka-maの心言・2

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フィルムスキャナ考-2(1999)

フィルムスキャナ考-2


4.総画素数とは

画素、というと数字で表れるので非常に客観的で分かりやすい。と、思われるだろうが実はこれが非常に曖昧である。そしてそれをメーカーサイドが悪用して、わざと誤解を与えているような節もある。実例を揚げていくと、まず、一番分かりやすい、ように思われるデジカメのCCDの場合。ビデオカメラでも同じだが、総画素数は実際には撮影に全て使われるわけではなく、有効画素数というのが別に存在する。CCDもいろいろあるが、周辺の素子はデータ転送に使うのでマスクされている。これを勘定するのは少しでも高密度に見せようとするメーカーの悪癖だと思うのだが、デジカメでもいっこうに改善されない。まあ、出来上がりの画素数で判断できることだが。


5.色フィルタは三色

次に、単板式カラーCCDという言葉を御存じだろうか。対しては三板式、二板と言うのもあるようだが。色は光の三原色(RGB)か、色(反射光)の三原色(CMY)で構成される。

ところがCCDなどの受光素子は光の強度しか分からないから、その手前に色フィルタをかける。この色フィルタは原色の場合と補色の場合がある。デジカメでは評論家がどちらがいいなどと言っているが、処理さえ完璧ならばどちらでも色再現はできる。この辺はポジフィルムとネガフィルムのことを言っているみたいで面白いが、処理の複雑な補色系フィルタが色再現では不利、解像度、感度では有利といえるだろう。

画素の話に戻すと、一つの画素に一つの色フィルタをかけて初めて一つの色に感じる画素になるので、当然、一色当たりの画素数は減る。三つの画素が合わさって初めて一つの色が表現できるのだ。フルカラーとはパソコンの世界では1ドット当たり24bitカラー(各色8bit)=1677万色だ。しかしCCDの一画素は一色のみ8bitしかでない。一色当たり1/3の画素、実際には人間の目の感度に合わせGがおおい。

ベイヤ配列という原色フィルタではR:G:B=1:2:1。補色フィルタではC:M:Y:G=1:1:1:1。C+Y-M=Gで作れるにも関わらずGを追加している。従ってGが1/2画素を占めるから、人間の実効感度に合わせおまけしても、解像度に関しては有効画素の1/2である。この入力を内部処理して有効画素分のデータに置き換えている。

一方、スキャナでは光源のフィルタを切り替えて(ニコンクールスキャンでは光源を切り替えて)1ドット当たり24bitカラーを得ている。(ただワンパススキャンとなった最近のスキャナは別だが)

どうだろう。始めから画素数なんて同じ次元では語れないのだ。デジカメはスキャナの良くて半分・・・。これだけでもフィルムスキャナは有利なのだ。

ちなみに、インクジェットプリンタは1ドット当たり一色しか表現できないうえ、CMYK、黒を含むインクであるから1/3~1/4相当。しかもエプソンのプリンタはドットを目立たなくするため、薄いCMYも使うので1/6~1/7。1440dpiでも240~200dpi相当だ。前回のA4印刷で200万画素相当、はこれを考慮した上での話である。なお、昇華型プリンタでは1ドット当たりフルカラーなので額面通りの解像度である。で、これは写真の場合で、文字の場合は1440dpiはそのまま効きます。昇華型はここが不利。

さて、次回から、いよいよフィルムスキャナの性能について作例を出しながら説明します。うーん、大変かな。

1999年10月3日