naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

フィルムスキャナ考-4(1999)

フィルムスキャナ考-4

前回はフィルムスキャナの性能は解像度よりも情報量=階調やピントが重要であることを話したつもりだが、御理解いただけたでしょうか。もう少し階調について書いてみます。

6-4.ノイズの悩み

写真とは陰画、撮影というように影が重要な役割を占めている。影の中に何が見えるか、は写真表現の中でも重要な要素だ。ところでスライドからのダイレクトプリントはこの影の部分がなかなか再生できない。

僕は結構これが不満で、スライド原版で写っているものがつぶれていると何とも残念な気になる。だから、スキャナの暗部再現性はかなり気にしていた。

ところが、スキャナにとってスライド(ポジ)の暗部は非常につらい部分である。なぜなら絶対的に透過光量が少ないから、CCDラインセンサにとってはS/Nがもっとも悪くなるからだ。これはネガの場合は逆になる。この例を見てください。

 
h911221-CS2

クールスキャン2使用

h911221-2000

LS-2000使用

h911221-12bit

LS-2000-12bit出力後8bit化

h911221-multi

LS-2000-マルチスキャンx4

影になった電車の床下機器に注目してほしい。
いずれもPhotoshopでわざと暗部を明るくしている。原版では見えている部分だ。

初めに左のクールスキャン2の結果だが横方向に縞模様が出ている。そして床下機器は見えない。これはクールスキャン2購入時からの不満点で、いくら入力時にトーンカーブをいじっても、このノイズは消えない。クールスキャン2は8bit入出力である。

次にLS-2000だが、こちらは標準で12bit入力8bit出力である。まず一見してノイズが細かく出ているので縞模様よりは目立たなくなっている。ただ、この下に何があるのかは分からない。

次がLS-2000の機能であるが、12bitで出力できる。Photoshopは16bitカラーが扱えるので(制約はあるが)ここでレベル調整をして8bitに落とすことができる。従って暗部の中の情報を強調することができるのだが、やはりノイズがある。

さらに特有の機能としてマルチサンプリングがある。これは同じ原版を何度もスキャンして平均値を出すものだ。こうすることでランダムノイズがキャンセルされる。結果はやはり最も良い。
さらにLS-2000にはゲインアップ機能もある。これは通常より長めの露光をしてCCDにたっぷり光を与えることで暗部の潰れを救済する機能であるが、明るいところが逆に飛んでしまう可能性がある。

何だか宣伝みたいになってきましたが、これよりも良いスキャナも出てきました。マルチスキャンを正しく評価している記事を見たことがないので、このような比較をしてみました。欠点はスキャン時間が4倍や16倍になって何分もかかることですが。

ちょっとテンション保つのが大変になってきましたが、もう少しおつきあいください。以下次号;)

1999年10月23日