naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

カメラの行方(OLYMPUS OM-1)

カメラの行方(OLYMPUS OM-1

ここで改めて言うことでもないが、僕はカメラ好きのようである。本来ならば、写真好き、と言うのが望ましいのであるが、望遠鏡やカメラと言った精密光学機械そのものの方が好きなようだ。仕事柄それも良いかと思っている。ところが、僕のカメラ遍歴?は思った程ではなく、オリンパスOM-1、OM-2N、ニコンFE2newFM2/T、F601、F4、F5である。なーにがそれほどでもだ。しかし、メーカーは2社だけで、浮気はしないタイプである。が、カメラ好きと言うにはちょっと物足りない。そのためか、カメラ屋では他のメーカーのカメラを良く触る。

以降何回かは、僕のカメラについて実体験を交えながら、ああでもない、こうでもない、と書いてみようかと思う。

2000年2月19日

1.OLYMPUS OM-1

OM-1
OM-1-1
OM-1-4
OM-1-3
OM-1-5
OM-1-2

OLYMPUS OM-1 主要諸元

形式

機械制御式35ミリフォーカルプレンシャッター式一眼レフレックスカメ

シャッター

機械制御式横走りゴム引き布幕シャッター
マウントダイアル
B・1~1/1000秒

ファインダー

アイレベル・ペンタプリズム
視野率 約97%
倍率 0.92倍(50ミリレンズ無限大時)

ファインダースクリーン

ミラー側より交換可能(11種類)

フィルム巻き上げ

手動 分割巻き上げ可能
モータードライブ装着時 毎秒5コマ

露出計

中央部重点測光
測光範囲 EV2~17(ISO100)
定点指針合わせ式

電源

水銀電池H-D型 x1

大きさ・重量

136x83x50ミリ・510グラム

価格

48000円(ブラックボディー52000円)

発売年月

1972年7月


1.購入年月 1979年3月
2.購入場所 新宿西口(ヨドバシカメラ本店)
3.シリアルナンバー 1468171

4.購入動機 

ともかくカメラ購入第一号である。
大学入試が終わって、まずこのカメラを買った。高校時代に天体望遠鏡10センチ反射赤道儀を新調して、それまでの8センチ反射経緯台と違って、写真撮影が出来るようになったのだが、肝心のカメラが無かった。天体撮影用なので、当時もっとも人気のあったキヤノンAE-1や他のAE機は除外し、機械シャッターだけに絞った。候補としては、他に
ペンタックスMX
ニコンFM
があったが、ニコンは値段で却下、同じ値段のオリンパスペンタックスで、あとは店頭で決めようと、高校の友人MS氏、TY氏につきあってもらって新宿に向かった。迷ったが、シャッターの感触が、オリンパスのが静かでソフトだったのでOM-1に決めた。同時にズイコー(オリンパスのレンズブランド)50ミリF1.4を買った。またベルボンVEF3という三脚も買ったが、これも長寿命の製品となり、いまでも使うことがある。
ヨドバシカメラは当時新宿カメラ店の中でも、さくらやと並んで勢いのある店で、大形新聞大の黄色い広告にびっしり特価が並んでいた。購入日はテレビコマーシャルの店内風景撮影が行われていて、ちょうど購入する時にこちらを撮っていたが、買う方に一所懸命で気にしていなかった。後日、大学入学後に初対面のクラスメートからコマーシャルで見た、と聞かされた。深夜番組枠で数カ月くらい僕の横顔が画面の1/5くらいに写ったCFが流れた。

5.使用雑感

このカメラの名前は実はM-1であったが、ライカからクレームがついて(ライカMシリーズの存在)、途中からOM-1になった。その「M」は開発リーダーの米谷美久氏の頭文字だと言う。ともかくこのカメラは、個性の強いカメラで、それが気に入るかどうかで評価の変わるカメラだ。僕は気に入ってしまった。

5-1.操作性

まずこのカメラ、シャッターダイアルが見つからない。ふつうシャッターダイアルのある位置には感度ダイアルがある。実はマウント周りのリングがそうである。これはニコンのニコマートにもあったのだが、オリンパスのは小型化と操作性向上の両立を狙ったものだ。このおかげでどのカメラよりも大きなシャッターダイアルを持つことになったし、カメラを構えたままでシャッターダイアルが操作でき、しかもリングの指係が水平を向くと1/30になるので盲牌ができる。これに伴ってレンズの絞りリングがレンズ先端に配されている。また、巻き戻しのときに押すボタンがふつうあるが、これもない。正面向かって左に、クラッチノブがあるのだが、これも三脚装着時、モータードライブ装着時に巻き戻しができるように配慮した結果だ。ファインダーがまん中で、巻き上げレバーが引き出し位置でロックされないのも、左目利きの人を配慮したものである。
一方で、各部の動作はもうひとつである。とくにピントリングはどのレンズも重く、容易に動かないが速写性に欠ける。また低温時も苦労する。三脚がピントを回すだけで動きそうである。巻き上げレバーもゴリゴリいう。小刻み分割巻き上げは便利なのだが、急いで巻き上げることがまず出来ない。そしてレバー形状が悪く指係の角が角張っていて痛い。
ファインダーはほぼ等倍で見やすい。が、全視野を見渡すには目を動かす必要がある。なぜかピントの山が掴みづらい。これはマット面が今となっては暗いこともあるが、中央のマイクロプリズム、スプリットプリズムの分解能が低いような気がする。また、ファインダーではシャッター速度も絞りも確認できない。特に絞りはリングが先端にあるため、光学的にファインダー内に表示することが出来ない。ここだけはペンタックスMXにしたかった。
レンズ着脱は、他社と違いレンズ側に着脱ボタンがあり着脱しやすい。プレビューボタンもレンズにあるので、下位機種のOM-10でもプレビューできる。一方、ロック機構がちゃちでがたつくことがある。
ストロボホットシューが着脱式なのは、こだわりを感じるが実用上は意味が無いだけで無く、忘れること、着脱ダイアルのローレットが痛いのでいやだった。

5-2.撮影状況

まず、OMシステムといえば小型軽量だが、他社もほぼ追い付いていたから数字上はそれほど差が無い。しかし実際には鞄の収納がしやすい。それはレンズがまん中にあるので、互い違いに並べたり、レンズの上に並べたりしやすいのだ。当時、OM-2購入時にもらったオリンパスのカメラバッグ(これは現存しないがA4ショルダーバッグの大きさ)でレンズ付きボディ2台とレンズ2本とストロボが入った。ボディに関して不満は少なかったが、唯一露出計の信頼性に欠けること、よく故障すること(4年で3回修理した。全て有料)が問題だった。
撮影結果はレンズに負うところが大なので、OM-2の項で触れる。

6.所感

ともかくカメラボディーとしては良く出来ていて満足していたが、後にニコンに切り替えて、外見からは判らないところの作りが違っていた。オリンパスにとって初めての一眼レフなのだから、そう考えればすばらしかったが、一方で経験の差が出たのかも知れない。それでも光学機械設計者の端くれとして大変尊敬に値するカメラだと思う。