naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

カメラの行方-2(OLYMPUS OM-2n)

カメラの行方-2(OLYMPUS OM-2n)

その2はオリンパスOM-2nです。

OLYMPUS newOM-2
OM-2
OM-2-1
OM-2-2
OM-2-4
OM-2-3


OLYMPUS NewOM-2(OM-2N) 主要諸元

形式

電子制御式35ミリフォーカルプレンシャッター式一眼レフレックスカメ

シャッター

電子制御式横走りゴム引き布幕シャッター
マウントダイアル
自動露出 120~1/1000秒(無段階)
マニュアル B・1~1/1000秒
シンクロ 1/60
機械式 B

ファインダー

アイレベル・ペンタプリズム
視野率 約97%
倍率 0.92倍(50ミリレンズ無限大時)

ファインダースクリーン

ミラー側より交換可能(11種類)

フィルム巻き上げ

手動 分割巻き上げ可能
モータードライブ装着時 毎秒5コマ

露出機構

露出モード

絞り優先オート/マニュアル

測光方式

TTLダイレクト測光(絞り優先オート)
中央部重点測光(マニュアル)

測光範囲

EV-6.5~18(ISO100・絞り優先オート時)
EV1.5~17(ISO100・マニュアル時)

露出計

シャッター速度指針式(絞り優先オート時)
定点指針式(マニュアル時)

電源

1.55V銀電池SR44(G13)型 x2

大きさ・重量

136x83x50ミリ・520グラム

価格

78000円(ブラックボディー82000円)

発売年月

1979年4月(OM-2=1975年11月)

1.購入年月日 1981年3月18日
2.購入場所 横浜西口(カメラのきむら)
3.シリアルナンバー 844727

4.購入動機 

貧乏学生のくせに、カラーポジ(スライド)に手をだし、ネガと全く違う色に感激し、写真の勉強にはカラーが必要だと思うようになったが、高価なフィルムなので写真の勉強に使うには枚数が稼げなかった。やはりいろいろ条件を変えて写さなければ勉強にはならない。そこで普段は白黒で撮り、いざという時にカラーポジで撮るようにしたかった。その時二台目のボディを何にするかであったが、当時OM-10が大場久美子のコマーシャルで大人気で、ミノルタX-7の宮崎美子と双璧であった。しかしOM-1より下位機種なのでやめ、「ダイレクト測光」というオリジナル技術を搭載したOM-2が工学部の者としても気になったのでそれに決めていた。しかし、問題はこれが高かった。「ダイレクト測光」にコストがかかっているのか、ニコンキヤノンのAE機より高かったのである。(キヤノンA-1やミノルタXDのような両優先オート、プログラムオート搭載カメラは10万以上していたが)
そこで配送のアルバイトをしてお金をためたが、旅行、フィルム代もあって、結局二年掛かりになった。

5.使用雑感

OM-2の開発はOM-1に先行して行われていたらしい。OMシステムの思想は、ボディ主体では無く交換レンズ主体だったので、ボディは複数あっても同じ操作感を求めた。だから無理して小型化したのでは無く、はじめから同じサイズで開発していたのである。これはユーザーにとって大変有り難い。なお、購入直前にOM-2newになった。これはホットシューが標準付属(OM-1は別売だった)、ストロボ充電ランプの増設などがあるが長時間露光の改善や、後述するダイレクト測光の改善がある。

5-1.操作性

ということでなんと、マニュアル露光時にはファインダー表示を機械的に切り替えて、OM-1と同じ表示になる。OM-1のスイッチ、ダイアル類も同じ大きさ、同じ位置にあって、露出補正ダイアルが、OM-1の感度ダイアルと同じ大きさである。またメインスイッチがオート、マニュアルの切り替えになっていて、ここで切り替えれば即座に元に戻せるのである。他社のカメラが絞りやシャッターダイアルにオートポジションがあったのとは対照的だ。また、Newになって一番嬉しいのが巻き上げレバーの形状変更で指掛かりが痛く無くなったことだったりする。

5-2.撮影状況

肝心のダイレクト測光について述べておく。一眼レフカメラはシャッターボタンを押すとミラーが跳ね上がり、シャッター幕のうち前幕が開き出すが、幕が開ききるだけでシンクロ速度(OMでは1/60秒)程度かかる。これでは1/60秒以上のシャッターが切れないので、前幕が進む間に続いて後幕が閉まり出す。すると前幕と後幕の間にスリットが出来て、このスリットがフィルム面上を移動していって、高速シャッターになる。さて、この露光中はファインダーは真っ暗なので露出計が働かない。ダイレクト測光では露光中にフィルム、シャッター面を睨むセンサが機能して、直接「反射光」を計ってシャッターを制御しようというシステムだ。このためシャッター前幕にはフィルム面反射率と同じようになるランダムパターンが印刷されていてここからの反射光を測光するのだ。
で、ここからが本には書いていないことだが、OM-2のときは、このパターンは中央部に集中したパターンだったので、この幕面反射を計る、つまり高速シャッターの時(=明るい時)は中央部重点測光となり、幕が全開してフィルム面(当然均一反射面)で計る、つまり低速シャッターの時(=暗い時)は平均測光に切り替わる。この思想は撮影条件から割り出すと理にかなっており、なんと現在のマルチパターン測光も同じことをしているのだ。今ならCPUなどでやることを機械的にやっていたのだ。ただnewOM-2ではこのシャッター前幕パターンは平均化されて、フィルム面と同等になり、おそらく受光センサ側で絞って中央部重点測光にしている。(取扱い説明書にも平均測光なのか中央部重点測光なのかは書いていない。実際に使った感じは平均測光に近い。)
なお、ファインダーで見ている時は露出計が働かない。これでは不便なので、なんとOM-1と同じセンサも持っている。
撮影条件で考えるとダイレクト測光が機能するのは、露光中に光が急変する時、すなわちストロボ撮影時であって、しかもストロボ発光量の制御は、シャッター制御では無くストロボ発光制御でやる必要があるので(1/1000-1/10000秒の制御になる)からシャッターをダイレクト測光で制御する必要は通常は無いと言って良い。むしろ、絞り制御などの誤差を補正できることがメリットで、言い換えるとOMは絞り制御に誤差が大きい、のかも知れない。
否定的な書き方になったが、そうまでして少しでもダイレクトに測光しようと言う姿勢は技術的にはすばらしい。撮影したフィルムの露光はOM-1より格段に安定していた。しかし、逆光になると完全なシルエットになってしまうのは、平均測光に近いせいだ。

5-3.レンズ性能

このように逆光に弱いのはカメラの責任だけでは無い。むしろレンズの責任が大きい。内面反射によるゴースト、フレアの多さは、他社製と比較すると顕著で、内心悔しかったが、そうならない条件で撮るようにした。最も最近のズームレンズはさらにひどく、OMズイコーレンズばかり責めるわけにはいかない。一方、順光条件で絞り込むとびっくりする解像度が得られ、大伸ばしにも耐えた。とくに24ミリF2.8は小型で解像度も高く、買って良かったレンズだ。100ミリF2.8も良かった。対して50ミリF1.4は解放では球面収差、コマ収差、周辺減光と収差のオンパレードで特に周辺減光はべた焼きでもハッキリ出てしまった。これとて、白黒プリントでは印象を上げるための周辺焼き込みと同等の効果になるように使ったりして、撮影時にはレンズ効果を考える勉強にもなった。ただ、星の写真だけはどうしようもなかった。

6.所感

これほど憧れたカメラであったが、使用期間は2年と短い。これはこのカメラが嫌になったのでは無く、仕事の都合によるものでもあった。が、やはりOM-1の故障とレンズの収差が悪印象を持つ原因であったことは否めない。このことが筆者の人生も変えてしまったのかも知れない。
ちなみにOM-2は今も故障せず動く。この個性的なカメラは美しいデザインと共に、筆者の仕事上の設計思想にも影響していると言えよう。
2000.2.20