naka-maの心言・2

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カメラの行方-7銀塩カメラ完結編(NikonF5)

カメラの行方-7完結編(NikonF5)

ふー。公私に渡り多忙(時間的よりも精神的に)を極め、なかなか書けませんでしたが、実は毎日こつこつと時間を少しずつかけておりました。どうも見る方にもエネルギーを要求する、インターネットに不向きな文章になっているようですが、どうか皆さん読んでください。
7.Nikon F5

F5-20
F5
F5-1
F5-2
F5-3
F5-80200
F5-P


Nikon F5  主要諸元

形式

電子制御式35ミリフォーカルプレンシャッター式一眼レフレックスカメ

シャッター

電子制御式縦走り複合材、アルミ幕シャッター
プログラム/絞り優先自動露出 30~1/8000秒(無段階)
シャッター速度優先/マニュアル 30~1/8000秒(1/3段刻み)
シンクロ 1/250秒(X)
マニュアルのみ Bulb(電子式)

ファインダー

交換式(4種類)
マルチフォトミックファインダーDP-30(標準付属)
アイレベル・ペンタプリズム
視野率 約100%
倍率 約0.75倍(50ミリレンズ無限大時)
ハイアイポイント、視度調整機構付き、アイピースシャッター付き

ファインダースクリーン

交換式(13種類)
フォーカスエリア5点表示可能(ECスクリーンB,E)

フィルム巻き上げ

自動(巻き上げ、巻き戻しとも) 
CH(高速連続)約8.0コマ/秒=専用Ni-MHパック(7.4コマ/秒=単三型電池)
CL(低速連続)約3コマ/秒=専用Ni-MHパック(3コマ/秒=単三型電池)
CS(静音連続)約1コマ/秒=専用Ni-MHパック(1コマ/秒=単三型電池)
S(1コマ)
手動巻き戻し可能

露出機構

露出モード

プログラムAE(P)
シャッター速度優先AE(S)
絞り優先AE(A)
マニュアル(M)

測光方式

TTL開放測光、1005画素CCDによる(マルチフォトミックファインダーDP-30使用時)
3D-RGBマルチパターン測光(CPU連動式)
中央部重点測光(重点度変更可能。CPU,Ai連動併用)
スポット測光(フォーカスエリア連動。Ai連動時は中央のみ)

測光範囲

EV0~20(ISO100)
EV2~20(ISO100)=スポット測光
EV2~17(ISO100)=ボディスポット測光

露出計

ファインダー下部液晶表示
(露出モード、シャッター速度、絞り、マニュアル時露出インジケータ=±2EV、1/3EV刻み など)

オートフォーカス

方式

TTL位相差検出方式、5点フォーカスエリア
(マルチCAM1300)

モード

フォーカス優先シングル(S)
レリーズ優先コンティニュアス(C)
予測駆動フォーカス自動切り替え。
フォーカス優先、レリーズ優先切り替え可能
マニュアル(M)

AF検出輝度範囲

EV-1~19(ISO100)

電源

単三アルカリ電池LR6、リチウム一次電池 ×8
専用Ni-MHパック使用可能

大きさ・重量(約)(電池別)

158x149x79ミリ・1210グラム

価格

325000円(消費税別)

発売年月

1996年10月

1.購入年月日 1997年11月
2.購入場所 浅草??
3.シリアルナンバー 3005276
4.購入動機

予想通り、というか、期待に反し、というかニコンF5はオリンピックイヤーに登場し、そのスペックは直前に出たキヤノンEOS-1Nを凌駕するものであったが、操作系はF4ユーザーよりEOS-1Nユーザーの買い換え用か?というものであった。

先述のようにF4は、ある面でEOS-1に負けた。ただそれはAFに関してであってカメラとしての基本性能では高級機と中級機ほどの差で勝っていた。それはシャッターを切ったときの感触のようなもので違いが分かった。ニコンとしては全ての面でEOS-1に勝つことがF5に課せられた指命だったはずだ。

EOS-1のAFは中央に十字センサーがあって、縦、横両方の線にも合焦した。キヤノンの言うところのAIサーボAFはブースター付きならば5コマ/秒全コマに合焦した。しかし低照度性能はF4の方が優れていた。一方、AFポイントが画面の真ん中にしかないのは瞬時の撮影には不向きと、使わない人も多かった。

そこで、キヤノンは横方向に5点並べ、視線検出センサで選べるようにしたEOS5がミノルタはα7で横3点、上1点のセンサを持ち自動検出で広いフォーカスエリアを提供した。ニコンはその中では中央のフォーカスセンサを横に引き延ばしてエリアを広げた。F90に採用されたのがそれであった。ユーザーがAFポイントを選べるキヤノンが一番人気を博したが、実はキヤノンの欠点は各AFセンサの性能に差があった。端のセンサは劣るのだ。ニコンのは一見一番遅れているように見えるが、もしそのセンサの幅が広がって、センサの使う位置を決めてやれば、連続的にAFポイントを移動して選択できる可能性があった。

さて、EOS-1Nが5点測距(視線入力はなし)を採用して1995年に発売された。いよいよキヤノンの報道プロ取り込み作戦がスタートした。ニコンはボディだけでなくレンズも後れをとり、特にスポーツカメラマン御用達の400~800ミリ超望遠レンズのAFレンズがずっと出なかった。そこで駆動モータをレンズに内蔵したAF-Iレンズが登場した。これはかつてF3AFで採用した方式だったから、ニコンにとってはキヤノンのまねではなく自分の意志だったかもしれないが、なんとなく負けを認めたようだったし、それを出すのが遅かった。キヤノンの超音波モータレンズは進化を遂げ、無音(本当は超音波がすごい音で出ている)で切り替えなしで手動フォーカスに代わる点も受けて、ニコンのはそれに劣るとされてしまったのだ。

しかし満を持して1996年ニコンから超音波モータレンズが出てきた。いよいよF5発進の瞬間だった。

注目のAFは中央の左右に各1点、上下にもあって、合計5点。上下方向に3点のAFは世界初だ。しかも左右は中央と同じ十字センサ、しかも低照度用にダブルでセンサを持っている。各センサはフォーカスエリアよりも3倍程度の長さを持ち、ダイナミックAF時、または急な被写体移動のバックアップ時に作動する。横方向はきわめて連続に近いセンサだ。上センサは若干斜めになっていて、横線にも合焦する。このアイディア、十数年前に友達に話したことがあるのだけれど、特許ではないからな。で、各ポイントの選択は背面のセレクタ(ゲームのパッドみたいな)で行う。これもカメラでは初。

巻き上げは電池8本を献上して、7.4(8=専用Ni-MH)コマ/秒。これをミラーアップなし、AF動作中に行う。コマ速はまだしも、ファインダー像の確認を実現するため、ミラーのバウンドを瞬時に止めるミラーバランサーを備える。

マルチパターン測光が大幅進化し、3D-RGBマルチパターン測光と称して1005画素カラーCCDを用い、色情報も含めた世界初の露出計が実現した。僕がF5の機能で最も高く評価するのがこれだ。特に風景で苦労するのが露出の失敗で、青空が多いと露出オーバー、緑が多いとオーバー、黄色が多いとアンダーなどとなってしまう。これは受光素子の分光感度がフィルムと同じではないため起こる現象で、こういう時は入射光式の単体露出計を使うしかなかった。しかしそれでも風景では被写体が遠く離れているので自分の位置で入射光式で計っても合わないことも多かったので勘に頼った露出補正をしていた。これが大幅に解消される、はずだ。

一方、F4の操作系は全く破棄され、EOSのようになってしまった。シャッターダイアルがない・・・。これは予想していたもののショックだった。絞りまでレンズ側は固定し、ボディ側の電子ダイアルにして。その割には測光切り替えとか、巻き上げ切り替え(なぜかここにセルフタイマーまで)などはダイアルで残っている。

この時期はペンタックスがMZ-5というシャッターダイアルのついた名機を出し、ミノルタα507i、キヤノンEOSのモード切替など専用ダイアル式になっていたから、F4の使いやすさが評価されだした頃だった。僕自身は別に電子ダイアルでも扱えるし、測光が優秀なので露出補正もしなければほとんど問題ないのだが、やはり設計ポリシーの変化、従来の客の切り捨てのようなものを感じ好きではない。

そしてバッテリボックスは下に飛び出しはずれない。
F4で重さに失望して次期最高級機を買おうと貯金してきた自分としては、自分の思いとは違う方向に行ってしまったF5にやはり失望し、逆にF4の良さを再認識し、あえてF4を買うために貯金をはたいてしまった。

しかし、3D-RGBマルチパターン測光がどうしても使いたかった。それ以外はあえて必要なかったのだが、鉄道写真のピントがAFで合うことがF4を使って分かり、中央以外でピントの合うカメラが欲しかった。F5の思いも断ちがたかったが諦めていたある日、ニコン中古カメラ、レンズが放出される機会があってそこにAF50ミリ/1.4を15000円で買おうと思っていくとすでに売り切れ。同行知人はAF-I 400ミリ/2.8(定価98万円!)をここでは書けないような破格の値段で買ったのをみて、一瞬気絶。気がつくと手にはしっかりF5の中古(美品)があったのである。15万円。安い買い物であった!?。

 

5.使用雑感

F4のところで書くのを忘れていたので、声を大にして言いたいのが、F4はバッテリーパックが交換可能であるのに、F5は出来ないということだ。F4ははじめF4Sとして購入した。スペック表には併記しているので違いが分かるだろうが、基本的には電池本数の違いによって巻き上げ速度、電池持続時間が変化する。当然重量も変わる。10グラム単位ではない。200グラムも変わっている、いやそれだけではない。電池本数が変わっているので実際の撮影時の重量は単三電池二本分違う。実測でF4が1175グラム、F4Sが1400グラム(当時の「日本カメラ」より。ん?何だか計算が合わないな)。

F5はF4Sより軽いが、電池込みではほぼ同じはずだ。F3までがモーターがはずせたことを考えるとF4も5も重い。メーカーもF4のときは、F3+モータードライブより軽い、F5のときは、F4Sより軽い、と言い訳してきた。しかも、バッテリー交換にしたらもっと重たくなるとも。

一方のEOS-1は最新のEOS-1Vになって、マグネシウムダイカストを外装部品に使っており、パワーブースターというバッテリー+巻き上げモーターが着脱式で、ノーマルのEOS-1Vは、重量945グラム、巻き上げ速度3コマ/秒、ブースター付きで1380グラム、巻き上げ速度9コマ/秒(コマ速度はNI-MHパック使用時。単三電池では5コマ/秒)。
条件によってコマ速はころころ変わるので詳しくはカタログでどうぞ、だが、一言言っておくと、レンズの絞りは開放から2段までが条件であることはあまり知られていない。カタログにもない。これはキヤノンのEFレンズの絞り駆動にモーターを使っているからで追従できないのである。ニコンはバネで動かしているが、この方が追従が速く、最小絞りまで8コマ/秒以上は出る。何でも電動にすれば良いというものではない。

ここで言いたいのはコマ速がどうのというのはあまり意味がないと言うことだ。世界最速と言うなら明らかにキヤノンだがこの事例で分かるようにそんなものは条件によって変わるのだ。もっといえば所詮秒数コマなのだ。パラパラ漫画にも劣る。
しかし、そのためにF5はあの大きなボディを持つことになってしまったのだ。しかも全ユーザーはそれしか選択肢がない。着脱式にしたらどうせ重たくなるのだったら、電池10本、1500グラムで10コマでもすればいい。コマ速が必要な人は多少重くても買う。逆にはずれないものは絶対はずれない。

そういうとニコンF100を出しました、と言うのである。これはある意味当たった。カタログ上はコマ速以外は(それでも4.5コマ/秒)F5と同じだ。F100は実際良くできたカメラで、単独で見たときには素晴らしいと思う。ただそれはF5と併用すると言うよりもどちらかを選ぶカメラかと思う。

実際にF5を使うと、シャッター、ミラーが8コマ/秒に耐えられる耐久性、動作速度なので、一回のシャッターの切れが違う。安心感が違う。そして、ファインダーは視野率100%の着脱式だ。この差だけは如何ともしがたい。

山でF5のRGBマルチパターン測光が使いたいユーザーは全く使う当てのない高速モータードライブを一緒に持って、山に登らなくてはならない。山でこそ故障の少ない、動作の安定したカメラを使いたいというのに。

下界で鉄道写真を撮りたくても山のためにF100を別に買わなくてはならない。メインカメラとサブカメラは別のように言われるけれど本来は同じカメラで操作性、シャッタータイムラグも同じでなくてはならないのに。冗談じゃない。

そのうえF5一台32万5千円、F100が19万円。EOS-1VHS(ブースター付き)32万5千円、通常のグリップ5千円。F5とF100両方買えっていうのは酷だ。

ところでF5のグリップは持ちやすい。グリップが細身な上、デザイン的に入った赤いラバーが凹んでいて、指先が引っかかるのである。F4よりも持っていて疲労は少ない。だが、バックに入れればグリップ形状など関係ない。重いものは重い。

表面は皮しぼ模様の入ったラバーである。F4がつるっとしたラバーで乾いているときはいいのだが、ちょっと汗ばんだりすると滑りやすい。その点F5のは滑りにくくて良い。のだが昔のカメラはそうだったのだから。

上下カバーはアルミダイカスト、ファインダーはチタン合金深絞りである。カメラでダイカスト丸出しというのも珍しいが、プラスチックよりましである。てかてかつるつるにならないから。


5-1.操作性

F4の方が断然使いやすい。

はっきり断言した上で操作部を見ていきたい。まず電子ダイアルがメイン(右手親指側)とサブ(右手人差し指側)の二つになった。これでキヤノンのメイン(右手人差し指側)とサブ(右手親指背面側)と数は同じになった。で、何かというと、ニコンにはレンズ絞り環があり、キヤノンには無いのである。

従ってニコンの方がダイアルが一つ多いことになるのだが、どうもニコンはそのことをむしろ嫌がっていて、キヤノンミノルタのようにしたいようなのである。折角のサブダイアルニコンは絞りでしか使おうとしていない。レンズの絞り環は最小絞りに固定して使うのだ。もったいない。

キヤノンを見てみると露出モードによって使い分けている。

絞り優先オートではメイン=絞り、サブ=露出補正。
シャッター速度優先オートではメイン=シャッター速度、サブ=露出補正。
プログラムオートではメイン=プログラムシフト、サブ=露出補正。
マニュアル露出ではメイン=シャッター速度、サブ=絞り。

このようになる。で、これがF5では、
絞り優先オートでメイン=動作せず、サブ=絞り。
シャッター速度優先オートではメイン=シャッター速度、サブ=動作せず。
プログラムオートではメイン=プログラムシフト、サブ=動作せず。
マニュアル露出ではメイン=シャッター速度、サブ=絞り。

露出補正はどうするかというとボタンを押しながらメインで設定する。この操作は基本的に従来のF-801以来のものである。であるならサブ電子ダイアルは何のためにあるのか。レンズの絞り環で十分ではないか。それどころか電子ダイアルでは1/3EV刻み、絞り環なら無段階なのだ。

コスト的なことで絞り環を無くしたがっているのだろうが、何故自分の持っている優位性をもっと主張しないのか。おそらくその自覚が無いのではないか。なおF100ではレンズ絞り環使用時でも絞り値が液晶表示され、カスタム設定によってサブ電子ダイアルが露出補正になる。F5もこうしてくれい!

電子ダイアルの欠点としては、F4の項で書いたように、目的とする機能が回してみないとどこにあるか分からないことだ。直感的表示も出来ずただ直接値を表示するしかない。最も困るのは露出モードのように順列に規則性のないものだろう。本当に回してみないと分からないのだ。実は、この辺のことはちょっと工夫すれば改善できるのだが。

ヒントは露出補正、露出偏差バーグラフである。これは液晶表示中にアナログ的なバーが出てきてダイアルを回すとそのバーが伸縮してその先に何があるのか(この場合露出偏差量)直感的に分かる。こんなかんじ。

-3   -2   -1   0   +1   +2   +3
   ----------------               
この表示方法はオリンパスOM-4が先だったが、使いやすくまとめたのはニコンF-801だ。

ちょっと脱線気味だが、言わずにいられないことは、ニコンの露出バー表示は±2EV、一時F-601、F90では±1EVの範囲しかなかった。例えば白い被写体、バックのとき標準露出計から+2EVの露出補正をすると白く表現できる。そうしないと灰色になってしまう。つまりこの表示方法は露出補正、マニュアル露出に非常に有効なものなのだが、2EVではぎりぎり、1EVではほとんど役に立たない。FM2の露出計も±1EVしか分からないのが大変残念なのだが、ニコンはせっかく良いものを作っておきながら使い方が分かっていないのだ。キヤノンミノルタはさっさと後からつけてしまったうえに、きちんと±3EV出る。ちなみにF80では±3EV出る。

ということで、全てに於いてこの考え方で行けばデジタルな電子ダイアルでもアナログダイアルのような使い方が出来るのだ。もちろん液晶表示の大きさなど障害もあるが見せ方はあると思う。
5-2.撮影状況

このカメラはJIS規格のケーブルレリーズが付かない。また長時間露出もバルブだけでF4の機械式タイム露出はなくなってしまった。であるから風景写真、特に朝夕、夜の写真に使うことはない。

そう割り切ってしまえば使いやすくて、何より写りが良いカメラである。何度か風景写真も撮ってみたが3D-RGBマルチパターン測光では補正したことがない。

一番このカメラの出番が多いのは鉄道写真だ。最近特に露出で感心したのはこの写真だ。これは阪神電車で、冬の夕日が正面をギラリと照らし、バックはもう暮れかかっているので通常はほとんど露出アンダーになってバックがつぶれるか、電車正面の反射が露出オーバーになる。ところがこの写真はその両方を絶妙にバランスを取ってくれた。


鉄道写真ではこのカメラはさらに威力を発揮する。その第一はやはりAFポイントが左右にあることでしかも中央と性能も同等。これにより構図も安定する。そして高速連写。これは何枚も連写するのではなく、段階露出を瞬時に出来るメリットである。段階露出機能はF5に入っていて連写する中で規定コマ分段階的に露出を変えられる。僕が使うのは-1/3EV刻みの2コマ撮影だ。1/8秒間隔で無駄なコマ無く、200ミリ望遠では構図上もほとんど同じく、段階露光できる。これは手動では出来ない芸当だ。
出来上がりのスライドを見ると自動でここまで出来るのかと呆れてしまうくらい安定した露出をする。これを見ると益々F4に3D-RGBマルチパターン測光が入ったら、と思ってしまう。

5-3.レンズ性能

ほぼ同時期にAF80-200ミリ/2.8D(New)を買った。皆からは家庭不和を心配されたが・・・;)。現在はこれと、AF35-70ミリ/2.8Sとの組み合わせが多い。この二本は、噂に違わぬ素晴らしい写りをしてくれている。解像度も素晴らしい。しかしボケ味はごく僅かだが二線ボケを感じる。まあ、比較の対象がニッコールの中でも特に優秀なAiED180ミリ/2.8sなので少々厳しい見方だが、他社と比べてどうかと言うことは分からない。下の写真は阪神電車の同じ淀川鉄橋で撮影した写真で、撮影日が違うのと絞りがズームの方が半段くらい絞ったかもしれないので厳密に比較は出来ないが、電線の碍子のボケ方に差がある。

boke-180-h
AiED180ミリ/2.8s

boke-zoom-h
AF80-200ミリ/2.8D(New)

6.所感 

F5は現在も銀塩カメラの最高峰と言って良いだろうから、文句を言うのも何だが、中身は確かに最高峰と言って良い高級仕様であるが、操作感や外観は中級機の上位のような感じである。思えばキヤノンEOS-1がそんな感じであるが、F5はキヤノンのカメラのような印象だ。

F4は同様な操作性の中級機が存在せず操作性の統一が望まれていたが、結果としてF一桁シリーズの中級機化によってF5-F100-F80の操作系統一が完成した。加えてデジカメのD1までも。F5が先行したから違和感のあった操作系もこうした戦略の元に開発されたとすれば、それなりに納得できる。

でもねえ・・それで良いのだろうか。キヤノンではないニコンに何かを求めて期待するユーザーは、同じようなカメラの仔細なスペック競争は魅力がない。確かに雑誌に出てくるプロカメラマンはキヤノンを使う人が多い。それに影響を受ける人も一般には多いがそれがいやでニコンを選ぶ人もいたのである。

実際のところ僕自身はF4でもF5でも使いこなすことは出来る、と思う。(このあいだセルフタイマーのまま撮影しようとして10秒後にシャッターが切れてしまったが、これは巻き上げ切り替えとセルフタイマーを同じダイアルに入れているのが良くないのだ;)であるから操作性にとやかく言うこともないのだが、ニコンキヤノンに迎合したのが嫌なのかもしれない。

自分の仕事上でも、コストダウンによって自動化のコストアップ分を捻出しようとするから部分的には従来の高級感はなくなることもある。しかし少しでも高級感のあるデザインや、メリハリのある設計によって目立たない部分のコストを下げ、目立つ部分にコストをかけることでバランスを取るしかない。基本性能の向上を図りながらコストを下げることも要求される。要はどこに力を注ぐかなのだが、それがユーザーの使用感に影響するものならば、単なるコスト優先だけでなく、ユーザー層を変えてしまうので要注意だ。

果たしてF5は一時EOS-1に奪われた報道カメラマンの奪取にあったのだが、僕ははっきりいってAF性能の差を考えれば、F4は売れていたと思う。だからF5スペックのF4(New)が出来たらもっと良いのにと思う。またはF4が併売されても面白かった。孤高の最高級機があってもいいのではないか。

 

これからデジカメの時代、報道カメラは一気にデジタルに切り替わる可能性がぐっとでてきた。銀塩カメラの行方はどうなるのか、これからを考えるとき今までの自動自動、便利簡単でいけるのは何年もない。銀塩一眼レフカメラはまだまだ生き残るに違いないが、その行方をしっかり見極めないと移り気なユーザーのどの層を対象に考えるのかが見えてこない。

報道はデジタル一眼へ、初心者、一般はデジカメへ、残るハイアマチュアのうち、キヤノンユーザーのような新しもの好きは銀塩に未練無くデジタル一眼へ、「確実な道具」を要求するニコンユーザーのような層が銀塩一眼レフを支える。その時に肝心のニコンキヤノン化していると来てくれるユーザーも、ミノルタペンタックスに逃げてしまう。

銀塩一眼レフカメラは「確実な道具」として生き残る。デジカメは報道カメラと簡単便利初級カメラに二極化する。その流れにいかに乗れるかでカメラメーカーのAF導入期以来の選別が起こる。以上が今僕の考える「カメラの行方」だ。