Nikon Zfc。
NIKKOR Z 28mm/2.8のセットにしましたが、7月発売予定が遅れて10月にやっと届きました。軽くて写りも良く、操作性が良いので気に入って使っています。なおフードは昔のAi Nikkor50mm/1.8S付属のものをつけています。
並べてみるとわかるように、どちらかというとFE2に近いと思うのですが、ニコンはなぜかFMやFEではなくFM2と言っています。FMのMはマニュアル露出≒機械シャッターのことだったので、電子シャッターのFEの方がデジカメに向いていると思う。そういえばFM3AもあったのにFM2というのもよくわからないな。
筆者は学生時代はオリンパスOM-1、2を使っていましたが、1983年に社会人になり、初のボーナスでNikonFE2とAi Nikkor50mm/1.8Sを買いました。さらにFE2をもう一台、FM2/Tも入手しました。退職時に、このFM2をリスペクトしたデザインのZfcが出るとは思いませんでした。これは買わねば(笑)と言うことです。
自分世代にぴったりなのはとても嬉しくて、さらに若い人にも新鮮に映るのが喜ばしいです。今の若い人の親世代が使っていたカメラデザインなので、その子にも受け継がれているのかもしれません。
ここでは買ったよと言う自慢ではしょうがないので、気に入って使っている中でもあれ?と感じたことを書いてみようと思います。
若いデザイナーや設計者がどこまで1980年当時のカメラの使い勝手を知って作ったのか気になっています、という話です。それでないとただのヘリテージ(遺産)カメラということになってしまいますから。
スペックはもう出てから3ヶ月も経っているのでここでは書きませんが、DX=APS-Cサイズ2000万画素センサーはニコンのDXフォーマットフラッグシップのD500と同じですからよく写ります。ただFX=35フルサイズセンサー4500万画素で使ってみたかったかな。
ダイアル類も並んでいますが、特に露出補正ダイアルが右手一等地に並んでいて使いやすいです。ただ先に露出補正ダイアルをつけたフジやソニーがダイアルの回転の硬さに対するクレームに苦労しているのを知らないのか、ガリガリいう感触はいただけません。素直にトグル式のロックをつけ、シャッターダイアルのような感触で回ったらよかったのに。
さて、ISOオートとダイアルの兼ね合いとか、ほぼ使わないシャッターダイアルとか、他所で言っているようなことは筆者は気にしていません。
気になっているのはホールディングです。
Web記事に出てくるZfc担当者の発言の中で「FM2の佇まいを感じさせるために、グリップレスなデザインは必須だ。」「ホールディングをよくするには別売グリップを使って欲しい」とあったのですが、ほぼ同時期のNikon F3、FAにはグリップがあったのです。Nikon Dfにもありましたね。初めからデザインのためにグリップを捨て、ホールディングが悪いのは仕方ないと諦めているようで気に入りません。
左のFM2と右のZfcを比べてみると、光軸=レンズマウントが中央によっているのがわかります。
先のWeb記事には「カメラ右側にスペースが無くなったため、 シャッターの駆動部を他の機種と逆向き(筆者注:すなわち左側)に配置 」と言っています。同じシャッター機構を持つZ50と比べるとわかりますが、その分(ユーザーから見て)右手スペースが減って、左手スペースが増えています。そのまま配置すれば右側が大きくなって左側が小さくなったのではないでしょうか。デザインバランスも考えたということでしょうがそれではデザインのためのデザインになってしまいます。
一方、FM(FE)はかなり左に寄っています。この当時のカメラでオリンパスOM-1はほぼ中央にレンズマウントがありました。ニコンの小型一眼レフのレイアウトは意図的、つまりホールディング性の向上を意図したものではなかったかと思います。
実際にFM2と見てみましょう。
右手スペースはカメラの横サイズに占める割合が大きいです。筆者の手は大きい方ですが、この広いスペースのおかげで手のひらから中指先まで指がかかります。そしてセルフタイマーが指先に当たってレンズマウント側に力を加えることができます。本当はセルフタイマーレバーに引っ掛けたいところですがセルフタイマーが作動するのでできません。なお写真では自撮りのため無理して構えたためちょっと変で、小指はこんなふうに突っ張りません。
当時のFM、FE系ニコンカメラで特徴的なのがフィルム巻き上げがシャッターロックを兼ねている点です。
レバー格納時にはロックされています。撮影前にぶらぶら手に持つ時はここに親指を引っ掛けて、前側はセルフターマーレバーで中指で突っ張ってしっかり持てるので落とす心配が減ります。
フィルム巻き上げレバーを予備角だけ引き出すとシャッターが切れる状態になります。巻き上げた後はこの状態でレバーは巻き上げ方向(右側)にロックされます。ですからここに親指をかけておきシャッターを切ることができます。
当時のニコンの巻き上げレバー形状はとても角Rに気を使っていて親指が痛くないので力をかけてホールドして使えます。ちなみにOM-1はこの形状の角が痛かったです。
筆者はこのようにしてグリップ力を高めていました。先に言ったように小さいながらもグリップがあるF3,FAがあったし、グリップの先鞭はキヤノンAE-1の電子式セルフタイマーが指先にかかる形状だったのでした。とてもグリップと見えない形状なのにカタログに指かかりのことを謳っていたのもキヤノンらしいです。
いずれにせよ言いたいのは、ちょっとした突起でもうまく使えばグリップ性が向上するということです。
レトロではなくヘリテイジデザインを言うならこの辺りも工夫して欲しかった。
で筆者はZfcでも同じようなグリップができないか工夫してます。
マウント径がデカイので余計スペースがない右手側です。
このまま持つと指先でつまむようになるので、昔のセルフタイマーの位置にあるファンクションボタンのヘリを中指で突っ張ったり、ボタンごとつかんでいます。
背面もボタン類が並んで持つところがありません。大きなグリップのあるデジカメと同じようなボタン配置だからです。大きなグリップを持ち、包み込むようなホールドなら親指はカメラの右端、コマンドダイアルの下に来るのですが、Zfcのようなグリップレス形状ではフィルム巻き上げレバーのあった位置、かなりファインダーに近い位置に来ます。
筆者の手の大きさでは、無理に親指を右に寄せてもコマンドダイアルの左にきます。手に力が入らず、右手でホールドは厳しいので、左手でレンズを支え、そちらでホールドします。もちろん左手でホールド、右手はソフトにもち人差し指でそっとシャッターボタンを押す、と言うのが昔から一眼レフカメラの基本でしたからそれでも良いのですが。
素直に親指を置いた位置には「AF ONボタン」があるのでそのボタンの付け根を引っ掛けると心許ないながらも昔のようなホールドができました。
まあ、このやり方だと、ボタン二つ機能をオフにしないといけないのでお勧めできませんが。
ただ言いたいのはほんの少し工夫すれば大きなグリップなしでもホールドしやすい設計が可能と言うことです。何も高額なオプショングリップを買わせないで欲しいです。そして当時のカメラデザインにグリップは似合わないというのはF3やFAを見れば違うのです。
今のフジやオリンパスのレトロ調デザインのカメラにも小さめのグリップがありますからね。
もし”Zf”がFXセンサーで出るのであれば、ぜひF3のようなグリップをつけて、できれば赤いラインを縦に入れて欲しいです。あと露出補正ダイアルはトグル式ロック付きでスムーズに回転、くれぐれも無くさないように。