naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

デジカメ比較実験!-1(2000)

デジカメ比較実験!

ここのところ、このセクションではデジカメの話題かデジカメで取った映像を付けたものが多いので、ページが重たくなってしまいました。この文章も長くなってしまいました。
デジカメでこれと言ったものを撮ったりしていないのですが、日頃持ち歩くようにしているので、たわいのない写真が増えているようです。タイムラグが大きいなどスナップにも不満は多いのですが、少なくともカメラがなければその場限りの光景も、ちょっとその気になれば記録できるのは、デジカメの功績の部分でしょうか。

デジカメに興味を持っている方も多いでしょうが、初期のデジカメ評論の中にはいい加減なものも多く、最近に至っても業界そのものが急膨張する中で、雑誌記事もある点にばかりこだわって誇張したりして本当のところが見えてこない。高密度画素競争も300-400万画素で頭打ちになる気配となり、これからの方向性を模索しているような状況になってきました。
ここでは僕自身が銀塩一眼レフを使ってきた上で、デジカメに対する不安、不満点を意識して、実験的に撮った写真を紹介します。

なお、今回は所有するNikonクールピクス990と、たまたま周りの人から借りることが出来たクールピクス950、NikonD1を使い同じ被写体(横浜栄区にある某工場非常階段から撮りました;)同じ時刻で撮ることが出来ましたのでその比較です。

1.オートホワイトバランス

デジカメ固有の機能として、ホワイトバランスがあります。聞き慣れない言葉ですが、ビデオカメラでは既におなじみの?機能で、主には室内の蛍光灯、白熱灯などの状況下でも人の肌色がきれいにでるように、色合いを補正する機能です。銀塩写真では、言葉は違いますが、色温度補正といってフィルターで補正したり、フィルムの種類(デイライト、タングステン光)を変えたりします。といってもこれはポジフィルムでの話で、しかもプロが商品写真を撮ることでもない限り、やりません。ネガカラーではプリントの際、ラボ側で勝手に色補正していることがほとんどです。

さて、「ホワイトバランス」を「オート」で合わせるとは何をやればよいのでしょうか。もっともポピュラーなのが「自動露出」の基準と同じように、グレー(無彩色)の反射光を基準にすることです。グレーを三色分解して分かることは、RGB全てにおいて同じ強度を持つことです。つまり撮影した画像が三色分解して、偏りのないバランスに矯正することをするのです。アプリケーションソフト(Photoshopのような)で自動補正をしてもこのような動作をします。
ところが、ここでお見せするような「夕焼け」であったらどうでしょう。もともと赤い光ばかりの風景ですから、バランスが極端に崩れています。これを矯正すると「青空」がでてきます(笑)。本当です。これからお見せする画像をお手持ちの画像処理ソフトで自動補正してみてください。
950まではこのようなオートホワイトバランスだったのですが、弱点解消のため、Nikonでは990で、「256分割マルチオートホワイトバランス」、D1で「1005画素CCD-TTLホワイトバランス」(F5のセンサを使用)を搭載しています。これらは「マルチパターン測光」と同じく、実写映像データに基づく画面構成を加味した制御をしているのです。

そのようなことを意識して、夕焼けの写真を撮ってみました。

950-2

Nikonクールピクス950

990-2-1jpg

Nikonクールピクス990

D1-2

NikonD1

どうでしょうか。950は所有者の好みから(T氏どうも;)-0.7段露出補正してあり、990は後述のコントラストマイナスにしてあります。鮮やかさから見て990>D1>=950でしょうか。これだけの色合いの差のほとんどがホワイトバランスの差ですから、銀塩写真、特にポジフィルムを使うことを考え、わずかなレンズ、コート、フィルムの発色の差を論じてきた銀塩カメラ所有者はもうパニックです;)。これはカメラではない!(笑)
しかもこの比較には最大の欠点があって、それは本当の色がどれなのか分からないことです(撮影者も;)。そんなとき人間はより鮮やかな「記憶色」をよりどころにします。人は自分の過去の記憶を美化しがちですので、冷静な判断が出来ません;)。この写真の場合、990は鮮やかすぎます。D1との間くらいでしょうか。フィルムでも思わぬ鮮やかな発色をすることがあって、それが好まれる傾向にあるのですが、デジカメの場合決定的に違うのが、あまりにも自由にいじれてしまうことです。後処理でちょっといじるだけでD1もこんなに鮮やか。990と色を揃えてみました。

D1_0002
990-0717



「ホワイトバランス」はこんなに曲者です。でもね、一頃、デジカメ評論家はCCD原色フィルタが鮮やかで、補色フィルタがくすむ、とか言っていたんですね。実際には各メーカーのホワイトバランスの思想の違いだったのですね。ちなみにD1は原色フィルタです。後処理(レタッチ)をしやすい画像は、くすんだ(ねむい)画像です。逆に鮮やかな画像は、どこかに飽和した色があるので、それ以上のレタッチが出来ないのです。ただレタッチの場合はホワイトバランスは、例えばデイライトに固定するのが良さそうです。

僕がここで言いたかったうちの大半が実はこれでして、ぱっと見の印象がこれで決まってしまい、それがデジカメの性能のように言われてしまうことが多すぎるからです。僕は鮮やかなデジカメばかりが良いと言われるのには大いに不満を持っていまして、正当な評価をカメラを知らない読者の多いパソコン雑誌などでもしっかりやってほしいものです。

(続く)