naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

ぶれ補正レンズ(2)(2001)

ぶれ補正レンズ(2)

もうひとつ技術的疑問点として気になるのが、「手ぶれ」の意味である。「ぶれ」の原因にもいろいろあって、手ぶれ(撮影者のカメラホールディング揺れ)、ミラーショック、シャッターショック、風、地面の振動(車、人の振動)などである。これだけぶれの原因があるにもかかわらず、「手ぶれ」というにはわけがある。

「アサヒカメラ」2001年1月号の「ニコン手ぶれ補正レンズ開発者に聞く」記事中に開発の苦労話として「・・・レリーズ時のミラーのアップダウンの衝撃とか、AF駆動の振動、さらには音というのも振動になるんですね。それらのノイズをジャイロが拾ってしまって、・・・」との発言がある。これはつまり、ジャイロで拾う振動の内、「手ぶれ」の振動周波数(おそらく他の振動より低周波)より高周波成分をカットしていることを示している。

なぜ「ぶれ」の原因である振動を全て拾ってはいけないのか、知らないが、もし自分が設計するとしたら、ジャイロセンサの検出能力、角速度演算時間、補正シフトレンズの駆動時間、停止時のレンズの振動吸収などの遅延時間に苦労することになりそうだ。特に高周波成分は、シャッター速度が1/60秒以下になる手ぶれしやすい条件では、露光中に何度か往復運動することになるので、補正用シフトレンズの駆動が難しい。

「ぶれ」に定義もいろいろで、ジャイロセンサは角速度センサであるから回転方向のぶれしか分からない。もっとも上下左右のぶれは数ミリ程度なら全く影響がないので、角度で十分だ。

先に挙げた手ぶれ以外のぶれが顕著に現れるのは、三脚に付けた状態だ。手持ちの場合、手のひらで意外と吸収される。従って「手ぶれ補正レンズ」は、手ぶれしか補正しないレンズと考えた方がよいだろう。

(未完)

2001年1月20日