佐原の古い町並み
佐原(さわら)は現在、千葉県香取市ですが、もともとは佐原市で、水郷の水運で賑わっていた地方都市です。
その昔、江戸時代は、正面に香取海という内海が広がっており、東北方面と江戸の流通の拠点として発展したそうです。ちなみにその頃は利根川は今の隅田川へ流れており、幕府の工事によって銚子が河口になったのは近世になってからです。
そんなわけで、佐原は下総で最も栄えた町として江戸後期の商家が残っていたのですが、明治時代の大火などで衰退したそうです。古い町並みをもとに観光地化したのは平成になってからです。
そうした努力が認められ、重要伝統的建造物保存地区に選ばれています。
そんな佐原に行ってきました。
お盆休みでしたが、横浜から高速を使って約2時間で着きました。
市内を流れる小野川周辺が街並み保全地区です。
ここから約30分、船で観光です。この時、歴史的な説明も受けましたが、先の香取海があったため、交通の要所であり古代東海道の終点であった鹿島神宮と香取神宮は東日本の神社の中で最も古いそうです。
柳が涼しげですが、夏空の暑い日でした。
水運に使われた頃の出し(荷の積み下ろしに使った)も復元されています。
川越や栃木と並び小江戸と呼ばれる街並み。
繁栄を想起させる蔵。
佐原三菱銀行だった建物。
小野川の東側が本宿、西側が新宿と呼ばれ、さらに本宿は八坂神社、新宿は諏訪神社を鎮守として、分かれており、こちらは八坂神社。
この神社内には「山車会館」があります。佐原の大祭と言われる7月の本宿祇園祭と10月の新宿秋祭りは、ともに大掛かりな山車が出ます。その山車を展示して祭り以外の時期も見られるようになっています。
京都祇園祭など各地の祭りで山車が出ますが、ここの特徴は大きな人形です。江戸人形職人に依頼して作ったものだそうで、かつて豪商がひしめいていた時代に豪華絢爛になったそうです。一方で鯉の大藁人形があったりして地方色があります。
再び小野川沿いに戻ると、昭和初期に出来たというビルが廃墟のようになっていました。江戸、明治の建物だけではなく昭和に続く地方都市の景観はほとんど無くなりつつあるので、この雰囲気をなんとか残して欲しいです。
夏の景色が広がります。
香取街道が街中心に通り、小野川にかかる橋を忠敬橋(ちゅうけいばし)と言います。この名は江戸末期の測量家伊能忠敬が婿養子に入った旧家が佐原にあるため名付けられたそうです。
伊能忠敬記念館には地図関係の展示がありました。
昼は小堀屋本店店舗(千葉県指定文化財)、創業1782年(天明2年)の蕎麦屋で昆布を練り込んだ黒そばを食べました。
ここ佐原はもともと香取海の湿地だったそうで、東日本大震災では液状化現象で被災した家も多かったとか。なんとか復旧できたところだそうです。こじんまりとして良いところでした。