まずは実際の撮影方法から、ご覧いただきましょう。
これが我が愛機。もう20年連れ添っている。
高橋製作所製MT-160(16cmニュートン式反射)+90S赤道儀。
今では20cmが標準になったが、当時は大口径天体望遠鏡であった。
光学系は光軸も狂わず、なかなか優秀。気に入っていて、なかなかリニューアルとはいかない。
ニュートン式反射望遠鏡なので横から覗く。その接眼部に接続金具で取り付けた、デジタルカメラ。
ニコンクールピクス990(1/2型300万画素CCD)である。
一見カメラに見えないが、「スイバル式」といって、光学系とカメラ部が回転する。
このカメラの優位点は、スイバル式なので液晶ファインダーが回転してみやすいことと、
レンズがズームも合焦も内部駆動なので、前にレンズが伸びてこないので固定しやすいこと。
ケーブルレリーズで、本体に触れずにシャッターを切る。
接続金具を外したところ。中に見えているのは、接眼レンズで、往年のニコンオルソ5mm。
この撮影方式は「コリメータ法」と言って、接眼レンズで平行光線を出し、無限遠に合わせたカメラレンズで撮る。
ここまではよく紹介されている方法で、珍しくも無いのだが、ここからがマル秘テクニック。;-)
16cm口径の天体望遠鏡は分解能が0.8秒角。
木星の直径は45秒角なので、112ドットあれば足りてしまう。実際はその倍の200ドットくらいあれば良い。(滑らかさも必要なので)
つまりVGA=640*480ドットの画面に1/3の大きさに映っていれば効率が良い。
一方、光学拡大率は低い方が良い。シャッター速度を少しでも速くして、ゆらぎの影響をなくしたいから。
そこで、デジタルズームを併用する。もともと300万画素もあるので、その中央部分だけを使ってVGA=640*480ドットを切り取れば良い。今回木星の場合、2.6倍デジタルズームを併用した。
シャッター速度は1/4秒(ISO200)。ここは大口径になればもっと速く切れるのだが、仕方のないところ。
撮影枚数は一度に50枚連写する。後で画像を重ね合わせてノイズを消すためだ。
本当はもっと枚数を稼ぎたいところだが、バッファメモリが満杯になって、書き込み終了までしばらく撮影できなくなってしまう。
この問題がないのがWebカメラで「動画」で撮ってしまい、後からフレーム毎の画像にして合成できる。これなら1秒に25フレームなのですぐ1000枚以上になる。
ところが「画像エンジン」はデジタルカメラの方が格段に良いし、小口径では光量不足なのでゲインを上げなくてはならず、ノイズが増す。
筆者は以上のような理由で、このシステムではデジタルカメラが向いていると考えている。
次回は撮影後の画像処理について・・。