naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

惑星写真3

さて、このようにして撮影した画像の一枚がこれ。

20040228-DSCN8146.jpg

露出がアンダーなのは、シャッター速度を少しでも上げたかったから。
さらにコントラストマイナス、エッジ強調無し、と素材性重視のためでもある。
しかし、この一枚ではレタッチしても模様もよく見えないし、ぼやけてみえる。
夏場のシーイングが良好なときは、もっとシャープに写るが、冬場では大気の揺らぎでどうしてもぼやける。
さらにノイズが乗っていて粒子が荒れて見える。
フィルム写真でも惑星写真で常用されるテクニック、「コンポジット」(多数のコマを一枚に重ねる)をここでも行う。
デジタルでは、自動で画像の重心を割り出して、各々の写真を重ねてくれる。

ソフトを使って重ねあわせた写真がこれ。

20040228-jup12-ks.jpg

デジタルコンポジットのソフトには「ステライメージ」、「Registax」(WindowsXP)「KeithsImageStacker」(MacOSX)といったアプリケーションなどがあるが、後2者は動画から静止画を作り出してスタックする機能を持っており、ビデオに便利だ。

さらに後2者には「ウエーブレット変換」「ラプラシアンピラミッドシャープ」という名称の”画像復元”機能がある。本質はよく分かっていないが、イメージとして、いろいろな大きさ、周期の「ゆらぎ」を収束させるものだ。
この機能は劇的で、先の火星大接近の時に普及した。
これと、トーンカーブ調整をした画像がこれ。

20040228-jup12-k.jpg

普通はこれで終わりだが、小口径が大口径と対抗するために、さらに”画像復元”を行う。
ここでは「ステライメージ」の「最大エントロピー法」を用いる。これは最大エントロピーによるぼけの半径を想定して、逆変換をかける、というもので、試行錯誤しながら適したボケ半径を割り出す。
ただし、カラー画像にかけるのではなく、白黒画像に変換したものにかける。これはRGB各色のノイズ量が異なるため、一度、輝度だけの画像にするためである。

そうした画像がこれ。

20040228-jup12-kbw.jpg

さらにもう一二回、弱くした画像復元をかけると良い場合がある。
それがこれ。

20040228-jup12-kbw2.jpg

最後に、もう一度カラー画像に戻すのだが、これは「L*a*b合成」といって、変換した白黒画像をL=輝度画像とし、色画像は、変換前の画像を用いる。こうすると、解像度を生かしたまま色を乗せられる。
トーンカーブ調整も行って、完成する。

20040228-jup12-kbw-lrgb2.jpg

以上が、火星以降、用いている筆者の惑星写真作成方法だ。
大口径望遠鏡には太刀打ちできないが、はやりのWebカメラには負けない画像が得られていると思う。
クールピクス990は現行4500になっているが、それももう2年前の製品だ。惑星用にこの種のデジカメの最新機種が欲しいところだが、最近のは高画素化が進んで、素材性にかけるデジタルカメラが多い。残念なことだ。

これから春にかけて惑星写真を楽しみたいと思う。