惑星撮影2016年5月12、13、14日
5月になって、やっと晴天が続きました。今日15日は「通常」の5月の爽やかな気温になりました。しかし数日間、夏日が続きましたので蒸し暑い印象の5月です。
さて、先日、デジスコ惑星写真「敗北?」宣言をしました筆者ですが、いよいよ?PCカメラを購入しました。
購入したのは、ZWO社のASI224MCです。撮影システムも画像処理も一新する形になりました。これから始めようとする方に参考になるかもしれませので、「続き」に写真を置いておきます。
さて、
この木曜日に久々晴天と気流の安定が望めそうな予報だったので、早めに帰宅しました。まだ慣れない撮影を開始する頃は、思ったよりシーイングが悪かったのですが、20時以降改善していきました。しかし木星が南中を過ぎると低空のシーイングが悪く、とても使えない写真になったのですがそれも記録として置いておきます。
湿気がひどくシュミカセの補正板がすぐに曇ってしまい、ドライヤーで乾かすという繰り返しでした。
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: セレストロンC11(28cmシュミットカセグレンF10)、ビクセンアトラクス
カメラ:ZWOASI224MC、ニコン アイピースNAV-17.5SW+ニコンNSA-L1=F30
画像処理:Lynkeos(Mac)コンポジット(1000枚)、各種強調、復元
木星
初めてUSBカメラで撮ったので、肥育目もありますが、特にフェストーンの写りは良いものがあり、これからに期待です。なお、従来の画像ソフトがメモリをうまく使えないようで大きな動画が処理できず、Lynkeosというフリーソフトを初めて使いました。Macでも使えます。
2016年5月12日
シーイング 5/10、透明度3/5
19時54分02秒(JST)
露出10msec.ゲイン400、1000枚
20時41分32秒(JST)
20時55分05秒(JST)
21時02分57秒(JST)
21時04分58秒(JST)
21時06分12秒(JST)
この頃はシーイングが良かったのでニコン1で撮ってみました。しかしこれだけ差があるとは。今までの苦労が。。
カメラ: ニコン1V1+30-100mm(30mm)画像サイズS、カメラブラケットDSB-N1
露出: 1/50秒、ISO1600
ニコン アイピースNAV-10SW
画像処理:コンポジット(100枚コンポジット)、ラプラシアンフィルター=Keiths Image Stacker
21時16分(JST)
再びASI224MC。
21時32分14秒(JST)
21時37分50秒(JST)
その後、木星の高度が下がるとともにシーイングが急速に悪化しました。
この写真、ASIですが、全くダメです。
シーイング 3/10、透明度3/5
22分38分04秒(JST)
同じように、火星も高度が低く、ひどいシーイングでした。悪シーイングでも耐えられる撮影方法を今後模索しなくてはなりません。基本的に撮影時間(枚数)を1万枚まで持っていく必要がありそうですが、パソコン性能、容量が必要です。
火星
22時53分48秒(JST)
シーイング 2/10、透明度3/5
土星も火星の隣です。低空用にウエッジプリズムを入れたのですが、まだ使いこなせません。色ズレが取れません。
土星
23時17分33秒(JST)
翌金曜日も予報に反して晴れていました。木星のシーイングは昨日より良くなっていました。しかしその後曇ってしまい、火星は狙えませんでした。明け方には晴れていたので、徹夜すればよかったか;)
木星
2016年5月13日
シーイング 7/10、透明度2/5
21時21分58秒(JST)
21時31分09秒(JST)
さらに土曜日の夜、晴天が続いてくれました。しかし、気温が下がり、低空の風が強くなり、撮像そのものが揺れてしまいます。結果、あまり良くないシーイングでした。
上弦の月が綺麗でしたので一眼レフで撮影。
露出: 1/1000秒、ISO1000
カメラ: ニコンD810A RAW
画像処理:RAW現像 キャプチャーNX-D、フォトショップCC
月
2016年5月14日
シーイング 4/10、透明度4/5
21時02分(JST)
試しにASIでも撮ってみました。どこだかわかりません(笑)
21時09分48秒(JST)
木星
衛星の影が変形しているが、光軸狂いか?
21時14分19秒(JST)
21時28分56秒(JST)
火星
22時08分46秒(JST)
惑星写真はすでにデジカメからPCカメラ、当初はWebカメラToUcamに移行して10年以上経ちます。しかし、当時、デジカメも技術革新が進んでおり、動画の撮れるカメラも多く、それで専用のPCカメラよりも一般写真カメラで撮影する方が、初心者にはとつきやすいのに、という思いから筆者はデジスコ写真にこだわってきました。
しかし、デジカメの動画がハイビジョンに移行した頃から、動画圧縮技術の導入が惑星写真には悪影響が出てしまいました。VGA動画の頃は、一枚一枚のコマは静止画と同様のJPEG圧縮されていたものが多かったのですが、現在は動画圧縮としてMPEG4などを使っています。これは前後のコマを見比べて変化部分のみ抽出したり、ノイズ、輪郭強調処理がリアルタイムでかけられるようになったので、惑星写真が行っている、各コマを抽出しスタック(コンポジット)しても元の画像を復元することができなくなることになりました。
筆者もなんとか一般デジカメで連写のできるニコン1でやってきたのですが、ここのところのシーイングの悪さと、今や1万枚を超えるスタックが可能なパソコンの高性能化によって、とても太刀打ち?できるものではなくなりました。
PCカメラも性能が向上して、センサーがCMOSになって高速キャプチャーができ、感度も上がって高速シャッターが切れます。
今までと違いパソコンが必要で、置き場がなく地べたに座って撮影です。
接続方法は、通常はバローレンズを使っている方が多いのですが、光学性能が疑問なので、アイピースの拡大撮影にしてみました。フリップミラーを使うため接続に工夫しています。それにしても長いです。これでF30になります。
ZWO社ASIシリーズは赤い筐体で綺麗です。
(2017年7月追記)
上記システムでは、拡大レンズの前にウエッジプリズムを入れたため、色ズレまで拡大されてしまいます。
下記のように拡大レンズの後、カメラの前にウエッジプリズムを入れてください。
訂正します。
これで、多くの惑星撮影者と同じ土俵になってきましたから、出来上がり写真に言い訳は聞きませんね。撮影者の腕と撮影地のシーイングで決まりますから。。。