満月も過ぎて、星見に良い季節になってきました。しかし関東はこれから曇天が続くというので自宅から星見ということにしました。
寒暖差の激しい日が続き、晴れると気温が急上昇するためか靄った感じです。
また気温が高いということは冷却してないノーマルのCMOSカメラではCMOSセンサーの温度も上がって25度程度なのでノイズが激しく、写りは期待できません。ただ、春から夏の「系外銀河」が多数見られる時期なので、その存在を確認しました。
使用機材
天体望遠鏡;高橋MT160+レデューサー(776mm)、サイトロン「コメットバンドパスフィルタ」
撮影カメラ:ASI224MC
赤道儀:ケンコー(skywatcher)AZEQ6、150mmガイド鏡によるオートガイド
コントローラ:ASIAIRproによるLIVE撮影
撮影設定:60秒露出、ゲイン134(gainM)
*写真の左が北です。
M65「しし座の三つ子銀河」:渦巻銀河(スタック数10)
しし座からおとめ座の間に多くの「系外銀河」おとめ座銀河団が見られます。特に「マルカリアンの鎖」と呼ばれる銀河が並んで見える領域があります。ここに見える銀河のいくつかは本当に銀河団を形成していて同じ方向に移動しているということです。
M86:レンズ状銀河 、左NGC4402、右上NGC4387(スタック数5)
M87:楕円銀河 、上NGC4478、右NGC4486A(スタック数6)
NGC4435、NGC4438:(Eyes Galaxies=目の銀河)(スタック数5)
M98:渦巻銀河(スタック数1)
ノイズが多いためか、ライブスタックが行われなかったため一枚画像です。
M90:渦巻銀河、左IC3583(スタック数15)
M58:棒渦巻銀河(スタック数8)
M100:渦巻銀河、左NGC4322、下NGC4328(スタック数12)
この銀河はかみのけ座にあります。この領域も銀河が多いところです。きれいな渦巻きです。
NGC4567、NGC4568(バタフライ銀河):非棒状渦巻銀河(スタック数12)
実際にこの二つの銀河は相互作用を及ぼし、衝突から融合に向かう途中ということです。
NGC4567、NGC4568、右NGC4564(スタック数6)
NGC4216:中間渦巻銀河(スタック数5)
M104(ソンブレロ銀河):渦巻銀河だと思われてきたが2012年の観測で楕円銀河に円盤銀河が合わさった二重構造であることがわかり銀河の分類にない(スタック数21)
有名な銀河です。筆者は子供の頃の書物で「ソンブレロ星雲」で覚えており、アンドロメダ星雲、渦巻星雲という日本語表記だった記憶が強いのでどうも「銀河」と呼ぶのに抵抗がありますが。
M13:球状星団(スタック数14)
先日、NHK番組中でM13までの距離を1億5000万光年と間違えていたので、1万5千光年ですよとメールしたところ、再放送時にきちんとロケし直して正しく直してくれました。
このくらい明るい星だとノイズが目立たない程度にS/Nが上がってくれます。
M57(リング状星雲):惑星状星雲(スタック数4)
夜半には夏の星雲が昇ってきました。やはり明るくて綺麗に見えます。
ここで下弦の月も昇ってきたので電視観望は終了しました。
気温が上がったこの季節では冷却していないCMOSセンサではノイズで厳しいものがあり、ノイズがひどくて大っぴらにお見せできるものではありませんが、小さな銀河巡りは楽しいです。
正直言って光害のひどい横浜でこれらの銀河を眼視するのは厳しいものがありますし、遠征したらしたで落ち着いて眼視観望することはしなかったので、見たこともない「系外銀河」をリモートで居間からコントロールしてタブレットでこれらの画像が見られるのは、(年寄りにはちょっと寂しいですが)ありがたい技術の進歩です。