日中、天体望遠鏡赤道儀のASIAIRproによる自動制御をいろいろ設定し直してみました。
まず、その時見ていた太陽の写真から。
PST、NikonNAV17.5SW、NikonZ6
目的は夜、横浜の空で星雲写真です。このブログでは結構前から横浜の光害下でどこまで写るか的な記事を少しずつ書いていますが、結構皆さん興味があるようで、見てくださっています。コロナ禍で思うように遠征できないからでしょうか。
しかし、光害下で光害カットフィルター程度で撮影しても暗い空でたっぷり露光した天体写真に敵うはずはありません。(筆者はそれもあって市街地でできる惑星観測、撮影にシフトしていきました)
むしろ、いかに簡単に、手軽に、自宅に居ながらと考えていくと、究極は遠隔自動撮影で、かつ、天体がモニターできる「電子観望」が現実的ということになります。(本来は自分の肉眼で星を見る楽しさが伝えられると良いのですが)
「電子観望」はここ数年のうちに天文市場に認知されてきて、機材が増えています。電子観望専用の接眼部がない望遠鏡が出てきました。しかし、筆者としては、目で観望できる天体望遠鏡をベースに、機材を追加していく電子観望がおすすめです。そのあたりはまた別の記事にしたいと思っています。
とりあえず機材紹介。
新入社員の頃、月給を貯めて購入したタカハシMT160(16cmニュートン式反射望遠鏡)を37年経った今も使います。
撮影カメラは ASI224MC、オートガイドに3cm望遠鏡、 ASI290MM。これらは惑星撮影用に購入したものです。前回は撮影カメラにNikon810Aを使いましたが、光害地においては広視野のバックグラウンドのムラが目立ってしまい、扱いにくいので、視野の狭いカメラで多数枚スタックしていく考えです。
この赤道儀には補助エンコーダーが入っているので、モーターでえっちらおっちら動かさなくても、手動時にも視準方向がわかります。これも別の機会に説明します。
いろいろ設定し直して、これが結構苦労しましので別記事に書きたいと思いますが、部屋にいながら制御アプリを入れたスマホで「電子観望」を楽しみ、スタックした画像を保存しました。
ASIAIRproのLIVEを使うと、徐々にスタック画像の滑らかさが増していき、それを保存できますので後処理が楽です。実際の撮影画像は暗いのですが、自動でレベル補正をしてくれて、(これがまた優秀です)、寒空に外へ出ずにできるのはやはり楽で良いです。
おうし座カニ星雲 M1。栄光のメシエナンバー1がなぜこの小さな惑星状星雲だったのか?
次の天体に移るのも自動で赤道儀を制御して、プレートソルブでセンターに自動調整します。
オリオン座M42。中央部のアップ。明るいので露光時間を短くしていますが、これもスマホアプリから調整できます。
オリオン座M78、「ウルトラマン光の国」で有名ですが、これは脚本上の誤植で本当はおとめ座のM87銀河でした。このガス星雲では宇宙人とはいえ住めません。当地では望遠鏡でも星しか見えません。昔は見えたのですが、これは光害がひどくなったのか、筆者の目が衰えたのか。
オリオン座三つ星にある「馬頭星雲」。光害地では最も難しい対象と言えるでしょうがなんとか写りました。Hα波長は肉眼では見えません。
おおくま座、M81銀河。自宅からこの方向は横浜駅方向でもっとも光害のひどい方向です。前回の写真でも大変苦労しましたが、腕もきれいに写っています。これの単独写真は真っ暗で、スタックしたとはいえ自動でここまでレベル補正をするとは驚きです。
おおくま座M82銀河。前回の写真のようにM81の隣にあるのですがアップになります。望遠鏡で見やすいです。
不規則銀河と呼ばれる構造が写っていますが、Hαの赤い吹き出しは写っていません。
おおくま座M97、フクロウ星雲。スタックの威力です。
おおくま座の隣、りょうけん座にあるM51、子持ち銀河。光害地では望遠鏡でギリギリ見えるくらいです。
おおくま座のM101、回転花火と呼ばれる銀河。これも難物で、当地では望遠鏡でも見えません。暗いところで見るといかにも銀河という見え方です。これのみスタック画像が保存できておらず、単独画像を後処理でスタックしましたが、画面に見えるLIVE画像の方がきれいでした。
ちなみにこれは布団の中で寝ながら撮影。
一晩でこれだけ撮影できました。天文ファンでもなかなか導入するのも大変な数ですが、これが自動で出来るとは。在宅観測にはうってつけですね。