naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

レンズ故障とAF微調整

前回の富士山の写真を出すにあたって、じつは一回没写真がありました。
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この写真、VRズームニッコールED24-120/3.5-5.6Gの24mm側F4.5(半段絞り)で撮影したものですが、右側の一部を拡大(100%表示)したものがこれです。

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これをみて、写りの悪いレンズだなと思われても仕方ありません。しかし、三年前にこのレンズを買った時にテストしたときはもっと良い写りでした。それに、画面右側がぼけていること、そして、ボケ方が左右に流れており、輪郭ははっきりしていること(この画像はカメラの輪郭強調が普通にかかっているが)などから、レンズが故障したと判断しました。
これ以外の写真もボケが見られ、しかも右がボケていたり、下がボケていたりしていたため、もしかしたらVR補正用のレンズが偏芯して、ブレ補正が逆に補正不良に働いたのではないかと考えました。

休日にやっているニコンの銀座サービスセンターに持って行って、チェックしてもらい、AF、VRの異常なしということでしたが、この画像を見せて、本来のこのレンズの実力はもっと良いからこれは異常だと話し、修理に回してもらいました。

二週間後、連絡を受けて取りに行きました。広角側で「片ボケ」があったということで調整されていました。一方VRは点検して問題無しということでした。
あらためて同じ風景を撮影したのが、前回のブログの写真です。同じ部分を拡大した写真です。条件が違うのと、これは輪郭強調をオフにして、開放絞りF3.5なので甘く見えますが詳細はよく写っています。

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この24-120mmは以前ブログに書いたように、当初、写りが悪いという評判でしたが多くが片ボケの症状ということでした。おそらく今回の故障のような症状が起きていたと思われます。
筆者のレンズが何故突然このような症状になったかは不明ですが、VRの耐久性に少し不安を感じました。(VRの故障ではないというのですから考え過ぎでしょうが)


さて、このようなことがあったことと、ボディがD300に変わってから、全ての手持ちレンズを付けた訳ではないので、この機会にピントチェックをしてみました。

ニコンD300キヤノンEOS-1D系についていたのと同じ「AF微調整」があり、ユーザーが手持ちのレンズ個々に合わせてAFピント位置を変えることができます。

よく他のブログなどに出ているような方法で、ピントの確認をしました。
新聞の記事の上に対象物(ここでは本のマチ)を置いて、対象物にピントを合わせ、新聞活字でその前後のピントを調べます。こうするとピントがずれていれば、前か後ろの方がはっきり写る訳です。

AFマイクロニッコール60mm/2.8Dレンズです。(100%に部分拡大。以降同じ)

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まあ、よく写っています。
この状態で、遠景を撮影しました。

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以前テストしたようなキレがありません。
AF微調整してみました。

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これが本来の写りです。

次に、AFズームニッコールED80-200/2.8D(ボディ駆動AF現行レンズ)の200mm側です。

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このレンズはEDレンズも使った高級レンズですが、なんだかはっきりしません。並のレンズならこの程度でも良いのですが、今まで撮影してきた写りとは違います。
MFでファインダーを自分の目で見てピント合わせしたら全然違う写りでした。
そこでAF微調整してみました。

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これならMF時の写りと同じです。ピントの芯が出てきて、繊細な写りになりました。
まわりに滲みが出ていますが、これは近距離での撮影であることを加味しないといけません。
遠景で確認しました。

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良い写りです。
このレンズはズームレンズなので、他の焦点距離でも確認しました。厳密には各焦点距離で異なるピントになりますが、200mmで合わせるのがもっとも良さそうでした。

今回の結果で最も注意しなくてはならないのは、ピントのわずかなズレで写りが大きく変わっているように見えることです。大きく変わる、というのはピクセル100%で見た場合ですからあまり厳密になり過ぎかもしれません。写真の本質とは違います。
しかし、レンズの評判は、案外このようなわずかなズレで良くなったり悪くなったりしているのではないでしょうか。そして、本来のレンズ性能がわずかなピンぼけでスポイルされていることにもなります。

そして、近距離でのテスト結果は遠距離では変わるということも重要です。AF微調整を近距離だけで判断するのは危険です。レンズの収差が近距離では大きくなるので、たとえば球面収差が大きい状態で合わせてしまうと、変動してしまいます。
この変動は絞り値でさらに大きく変わります。AFセンサーには標準F値(普通はF5.6)でしか光が入りませんが、開放時ではその変動分を補正してAF駆動するはずです。開放Fで調整すれば他の絞りでは焦点深度が深くなるのでごまかせるでしょうが、ここまで拡大すれば見えてきます。

それにしてもオートフォーカスは絶対のものではないことは肝に銘じておいた方が良いでしょう。あくまで35mmフィルムと同じように、写真を対角線と同じ距離から肉眼で見た時に許容値に入っていれば良いのですから。