naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

ポータブル赤道儀を考える(4)

筆者の設計したポータブル赤道儀は、大田区にある精密機械の製作所に製作をお願いして、昨年夏に完成しました。

その全体写真です。
写真三脚にも載りますが、やはり天体望遠鏡用の三脚の方が重さの割に安定しています。
自由雲台は、アリ溝に載っていて、左右(東西)のバランスが取れるようになっています。前後(南北)のバランスはとる必要がありません。
写真では300mmF4を載せていますが、200mmF2を載せてガイドできました。

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駆動部です。
ビクセンのモーターを流用しました。制御部もそのままです。144歯のウオームホイール用ですが、このポタ赤は実質720歯なので、わざわざ5倍に増速するよう平歯車を選んでいます。
径の小さな歯車は偏芯誤差が大きくなるのですが、計算上はピリオディックモーションとして1秒程度に収まっているようです。

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心臓部の扇形ウオームホイールです。
半径180mmの巨大ウオームには加工業者も驚いていました。
一枚のウオームホイールから5個とれるように設計しているのですが、一個だけ作ったので値段は変わりません(泣)

ウオームねじは協育歯車の標準品です。ここを特注品にすれば精度は上がるのですが、値段が全然違いますので;)シャフトに差し込むときに若干ですが偏芯を調整できるようにしてあります。ですが10-20μmまで追い込むのがやっとです。

また、バックラッシュがあると天頂越えのときに不安定になるので、調整していますが、ウオームねじのケースに割り加工を入れて、バネ性が出るようにしてあるので、完全にがた取り調整をすると通常は回転が重くなりすぎて、びびりがでてしまうところですが、これはそういうことがありません。

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全体構造を説明する写真です。
極軸がありますが、これはドイツ式赤道儀と違い、ピポッドの役目ですので、スラスト荷重を主に受けています。実際、ポンセマウントには基本的に極軸はありません。
これにはしっかりと極軸望遠鏡が入っています。ビクセンの物で、星座早見板のように合わせれば時角が合うので便利です。
回転体の形状は円錐形を基本にしていますが、原形をとどめないほど軽量化しています。これは鋳物で作ってもらいましたので、型代が高くついたものの次からは安く出来ます・・って(笑)

ウオームホイールと同心になるように二個のローラーで受けています。このように荷重を受けて安定させることで通常の極軸以上の安定性、剛性を得ることができるわけです。カメラの重量を受ける真下にあるので、重いものが載るほど安定します。

そして、三脚の取り付けは、三脚ねじです。極軸合わせを精度良く行わなければ、このポタ赤の意味がありませんので、微動雲台に載せています。ガイドマウント用なので、強度に不安がありますがいまのところ選択肢が少なく、これを使っています。使用上は問題ありませんが、本当はここも自作したいところです。
ともかく水平に取り付けるだけでほぼ(日本の)極軸傾斜になるのは便利ですし、何より安定します。

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組み立ててみて、実はいろいろ不安箇所が見つかってきたのですが、さてさて、実際の精度や使い勝手はどうだったでしょうか。

で、続きます[E:diamond]