naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

導入支援天体望遠鏡

天体望遠鏡の架台(赤道儀だけではなく経緯台も)は最近特に進化して、多くのものが自動導入をうたっています。10年ほど前はかなり高額だったのですが、数万円の望遠鏡にまで普及してきました。

「自動導入」というのは、コントローラから見たい天体を入力すると、モーター駆動で自動的にその天体を導入する=望遠鏡で見ている先がその方向を向く、という優れものです。

筆者も小学生の時にはじめて天体望遠鏡で月を見ようとするとなかなか導入できずに苦労した記憶があります。その後、星図を見て、星の配列を覚えて星雲などを導入しましたが、最近は忘れてしまってだめです。

さらに一眼レフカメラのファインダーは昔から暗いので、淡い天体が見えないために導入には苦労します。

ですから自動導入が手軽になって良かったです、、とも言い切れないのが残念なところなので、今回はそれに変わる「導入支援」天体望遠鏡の話をします。

まずは自動導入から。

天体の動きは、当然地球の自転ですから、赤道儀であれば赤経軸が時計の長針の二倍速、約24時間で一回転すれば良いわけで、昔から「自動追尾」と称して一定回転速度のモータによりウオームギアを回転させて追尾していました。もちろんステッピングモータなど高価でしたから、手動で微動ハンドルを回していた方が多かったのですが。当然望遠鏡架台には手動微動ハンドルが必ずついていました。

で、モータを赤緯側にも付けた二軸制御が「オートガイド」、これは1990年ごろにニコンが初めてオートガイダーを発売、そのときは赤経方向だけだったのですが、CCDカメラの画像処理で二軸制御に発展したものが流行りだして、最近ではほぼ全ての赤道儀がそうなっています。

二軸ともモータがつくと、天球の座標系に合わせて制御が可能になったので、コンピュータの性能向上に合わせて、天体の赤経赤緯座標をデータ内蔵して、そこに自動で向けることができるようになりました。

さて一見便利に見えるこの手の望遠鏡は低価格化により初心者も買うようになりましたが、初心者には実は大変使いにくいものでした。

その理由は、天体望遠鏡の設置をしてすぐに使えるものではなく、天球の座標系に架台を合わせる儀式「初期設定(イニシャライズ)」が必要だったからです。

それも今では大きく改善されています。GPSと方位センサーのおかげでほぼ全自動で合わせることができるようになってきました。

ところが、筆者がこの自動導入赤道儀を使ってみてつくづく思うのはやはり不便だということです。

その理由は次の二点。

1.遅い!

=もともと一回転24時間の仕様ですからゆっくり回す方が得意なので、高速では動きません。それに望遠鏡のモーメントに抗して回すので大きなトルクが必要で、しかもぶつかる危険が有ります。ぴたりと止めるのも大変です。せいぜい地球の自転速度の1000倍程度です。1000倍と言えば速そうですが、180度回転するのに、43秒かかります。結構イライラします。

2.精度が悪い!

天体望遠鏡の実視界は狭いですから、本当は0.1度程度の精度でぴたりと向いてほしいのですが、実際には1度程度でしょうか。筆者の場合、仕事で、1’=0.017度の誤差でも大きい、という感覚なのでもっと厳しいですが。自動制御機械としてはお粗末な、モータ回転に実際の動きのフィードバックがかからないオープンループや、モータ軸のみフィードバックがかかるセミオープンループ制御なのが問題です。

さらにイナーシャの大きい望遠鏡やウエイトを同架しているので、姿勢が大きく変わると三脚からよじれてしまうためです。

そこで着目されるのが、この二点が解決できる「導入支援」です。

これは早い話が、モータではなく、クランプを緩めて人の手で天体望遠鏡を向けるので素早いことと、その向いている方向をすばやくフィードバックし、目的天体とのずれ量を表示、ずれが一致するまで動かすのです。

このやり方は、かつては全ての赤道儀についていた目盛り環を使うことでできました。しかし、パソコンのプラネタリウムソフトと連携させて目的の天体までの距離をダイレクトに読み取りながらできるので、初心者でも面倒な計算をしないですむので便利な機能です。

次回、導入支援の装置について検討します。