naka-maの心言・2

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住民基本台帳ネットワークシステム(2002)

住民基本台帳ネットワークシステム

区役所から背番号通知と個人情報否通知の届け出用紙が届いた。

筆者は横浜市民である。と改まって考えたこともないくらい長く住んでいる。この春の市長選挙で、三十代の若い市長が誕生し、ワールドカップ間近だったのに前市長はかわいそうだな、ほんとに大丈夫かな、この若さで、という感想だった。

ところが、この市長、どうしてどうして、住基ネット実施延期を訴え、横浜市民の「自己選択」が可能になったのである。

住基ネット、古くは国民総背番号制として大問題となったのだが、前々首相の時、個人情報保護法制定を前提としてセットで確定してしまい、個人情報保護法案は成立しなかったのだが、今年8月から実施されてしまった。

いかにも今風の名前の付いた総背番号だが、何が便利になるかというと、来年8月から、全国どこからでも住民票の写しをとることができる、転居届に住民票添付がいらなくなる(役所窓口間でできる)というところか。他には運転免許証に代わる証明書、住基カードを作れるくらいか。(筆者の父は身分証明のために運転免許更新しているので、そういう人には助かるようだ)

役所のコスト削減になるのが大きいらしいのだが、一体住基ネットとはなんなのか。住基とは住民基本台帳のことである。ここからの写しが住民票である。住民票に書いてあることは戸籍に比べると軽い気がするのだが、法律では以下のようになる。

住民基本台帳法)

(住民票の記載事項)

第7条 住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第3項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。

1.氏名

2.出生の年月日

3.男女の別

4.世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄

5.戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨

6.住民となつた年月日

7.住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日

8.新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所

9.選挙人名簿に登録された者については、その旨

10.国民健康保険の被保険者(国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第5条及び第6条の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第28条及び第31条第3項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの

10の2.介護保険の被保険者(介護保険法(平成9年法律第123号)第9条の規定による介護保険の被保険者(同条第2号に規定する第2号被保険者を除く。)をいう。第28条の2及び第31条第3項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの

11.国民年金の被保険者(国民年金法(昭和34年法律第141号)第7条その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保障者(同法第7条第1項第2号に規定する第2号被保険者及び同項第3号に規定する第3号被保険者を除く。)をいう。第29条及び第31条第3項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの

11の2.児童手当の支給を受けている者(児童手当法(昭和46年法律第73号)第7条の規定により認定を受けた受給費格者をいう。第29条の2及び第31条第3項において同じ。)については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの

12.米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第83条第1項の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第30条及び第31条第3項において同じ。)については、その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの

13.前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項

特に13号が気になるが、役人がきちんとしている限りは問題のない程度だ。これをどう考えるかだが、住基ネットのデータ容量は「新聞紙一枚分」らしいので、どうも闇のデータも載るのでは、と言っているそばから防衛庁が閲覧者リストを公開したとか、でやっかいな話になる。しかし、ヒステリックにならずに考えれば、過去の犯罪や危険分子の情報はしっかり持って、警察、公安が管理、運営することは、このご時世、一般市民は期待したいくらいだ。

住民票は、いままでもほとんど保護されていない。だから子供の成長にあわせて雛人形だ、七五三だ、塾だとダイレクトメールが届き、やがてはマンションだ、墓地だ、となる。いや、住民票どころではなく、同窓会名簿、ポイントカード登録などがどこでどう使われているのかわからない。銀行だって行員が預金者情報を横流ししたら終わりだ。

これら情報を保護する個人情報保護法案は、「肝心の」役人を「役人が悪い事するはずがない」と言って除外する大ボケをかました上に、政治家のスキャンダルを保護することに力を注いだため、余計に国民の不審を買った。

横浜市の今回の対応は、住基ネットは当面選択式で、保護法が成立したら全員参加になる。おそらく実際に住基ネットが稼働する来年夏にはそうなるだろう。しかし本来は保護法をきちんとしないと意味がない。一番信用ならないのが役人だ、くらいのつもりで法律を考える役人でないと、信用ならない。

国民総背番号制の頃の、感情的なアンチテーゼに比べると、今は番号を打たれることになれてしまったが、インターネット時代の誤情報、情報漏洩の恐ろしさを考えると、何も住民票くらい;!でこんなネットワークはいらないのではと考えるのだが。

さて、届け出、どうしたものか。

2002.9.9