naka-maの心言・2

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カメラの行方-レンズ編 AF-S VR Zoom Nikkor ED 24〜120mm F3.5〜5.6G(IF)

さて、新春特別企画として、一眼レフカメラレンズの性能試験をしてみた。
何を隠そう年末に買った新しいレンズのテスト撮影である。

そのレンズとは、2001年1月にこのホームページで予言していた?手ぶれ補正レンズの24mm起点の標準ズームレンズ、AF-S VR Nikkor24-120mm/3.5-5.6Gである。

筆者がどうしても欲しかった手ぶれ補正機構が付いて、フルタイムマニュアル可能な超音波モータ駆動である。しかし「G」レンズなので絞りリングの無い、AF専用である。この辺は機械式にこだわってきたNikonにしては残念なところだが、筆者も最近はデジタルカメラ一辺倒で、しかもその可能性の高さに驚いているところなので、いまさらフィルムカメラに戻れないから、許そう。
もっとも気になるのは、5倍という高倍率ズームである点である。筆者の主張は、以前述べたように「手ぶれ補正を組み込むレンズは高画質でないと意味がない」ので、24-70/4くらいのレンズで良いと思っていたが、逆に、高倍率ズームであって、高画質なら申し分ない。

この点において、Nikonホームページに掲載されているMTF曲線を見る限り、デジタルカメラの画角、つまり35mmフィルムカメラの1/1.5の範囲ならば相当高画質であることが予想される。唯一気になるのは、放射方向の画質に対し、同心円方向の画質が劣ることで、渦巻き状に流れる可能性がある。しかし数値上は絞ればさらに改善されるはずだし、そのために手ぶれ補正があるのだから開放で使わなければよい話だ。

だがこのレンズは、発売直後から店頭では品切れ状態が続き、しかもインターネット上で、「片ボケ」の初期不良がある、という悪評がたった。これも筆者が予想したように、偏心レンズの工作精度の難しさではないかと思われる。光軸をずれたレンズは画質良像位置が偏心するので、反対側の像が流れやすい。これを目立たなくするような光学設計がされているはずだが、シビアになっているのかもしれない。

年末になってカメラ店に在庫が入ったので、複数のレンズを店内で比較し、ほぼ同じ性能であることを確かめた上で、ピックアップした一本だ。

まずこれまで常用してきてたレンズ群と、解像力勝負である。

・VR24-120/3.5-5.6(24mm)
24-1202435
24-1202456
24-120248
24-12024all


全景中の右上白枠内のピクセル等倍画像。
24mm位置(36mm相当)で絞りによる画質変化。
開放絞りであるF3.5では像が流れたようになっていて甘い。しかし芯のある像で、若干シャープフィルタをかけると十分な画質になる。F5.6で十分な解像度になり、F8で周辺部でも中心部に匹敵する解像度になる。
なおいずれもVR(手ぶれ補正)をかけている。

・20mm/2.8
2028
2056


比較のため、やや画角の広い20mm(30mm相当)で、ほぼ同一のピクセル等倍画像。
絞り開放のF2.8では画像がぼやけたように甘い。F5.6でほぼ十分な解像度になるが、このレンズの中心部の実力に比べるとまだ甘い。VR24-120に比べてもやや劣る。しかしこの解像度であればA4プリントに必要十分な画質である。

・VR24-120(70mm)
24-1207053
24-120708
24-12070all


全景左上の白枠線内をピクセル等倍で表示。
このズームでは中間焦点距離である70mmの画像である。
絞り開放のF5.3では木立の下部の幹や携帯電話基地局アンテナは解像できているが、木立上部の枝は滲んで見える。全体的にやや滲みがかかって見える。
F8では木立上部の枝も解像し、コントラストも上がってシャープになっている。手ぶれ補正も相まってこの絞りで十分実用になる。

・35-70/2.8(70mm)
35-707028
35-70708


比較用に、これまで常用していた35-70/2.8の70mm側を用いた。
絞り開放のF2.8では全体が眠い画質である。しかしF2.8であることを考えると高画質である。
F8では解像度が大変良くなる。ややコントラストが低いが立体感も有り素晴らしい画質だ。

・Micro60mm/2.8
6028
6056


マイクロ60mm/2.8も比較用で使ってみた。
F2.8絞り開放でも、コントラストのある、解像度も良い画像でさすが単焦点レンズである。
F5.,6で、さらに解像度が上がり、木立上部の枝、下部の幹のシャープさは比較画像の中でも最高だ。

画面上でピクセル等倍の画像は、印画紙にすれば「全紙」以上の大きさなので、ここで子細な解像度を云々するのは本意ではないが、それでも我が優秀なレンズ軍に匹敵する優秀さである。解像力に関して筆者としては大満足である。

AFVRNikkor24-120/3.5-5.6Gがボケボケという汚名はこれで返上できた。しかしレンズの性能は解像度だけではない。