木星に小天体(彗星)が衝突したらしいと報道があった。随分時間が経ってしまい、その痕跡は薄く横に広がってしまったが、まだ見えている。
筆者は悪天候に悩まされてなかなか見ることができなかったが、ようやく見ることができた。しかし、衝突痕と知っていなければ分からないくらい横に広がってしまった。
シーイングは前々日と違い、悪化していたため、画質が劣るのが残念だが記録として撮影画像を載せておく。
木星
撮影日: 2009年8月15日
撮影時刻: 下記
露出時間: 動画約30秒(30フレーム/秒)
撮影場所: 横浜市
望遠鏡: タカハシCN212(カセグレン焦点)
カメラ: ニコンP4、MOV、デジタルズームx1.8、ニコン フィールド接眼レンズ DS60(約7mm)
画像処理:コンポジット(約1000枚コンポジット)、ガンマ補正、画像復元
シーイング 4/10、透明度 4/5
20時56分
今シーズンの大赤斑は小さくなった気がする。
23時06分
画像の上側、南側最縁部横に伸びた帯が衝突痕である。
なお、イオが木星に接近しており、大赤点が左縁に隠れたところである。
しかしシーイングの悪化をデジタル映像と画像処理で救済する技術が不足しており、前々日のようなディテールが出てこない。高感度で速いシャッターが必要だ。
23時25分
イオが木星本体に接した所で雲が出てきた。
衝突痕というものは、実はこれまでどう見えるのかよくわかっていなかったのだが、1994年にシューメーカーレビー第9彗星が、数個に分裂して木星に衝突し、このときはじめて、黒い痕跡が木星表面に見えるのだということが分かった。今回の衝突痕もこの事例がなければ、原因不明な模様と認識されたかもしれない。
それにしても1994年の暑い夏に、不気味な黒い斑点が木星に現れたのは印象深かった。
そのときのスケッチである。これは当時フォトショップ2.5だったと思うが、それでマウスによってマッキントッシュ2cx上で直接描いた物である。鉛筆のようにはいかなくて苦労した。
銀塩写真も撮ったがうまく撮れなかったので、スケッチが役に立った。今ではデジカメと画像処理によりスケッチを上回ることができるのでスケッチをとる機会も無くなった。