naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

フィルムとスキャナ(1999)

フィルムとスキャナ

僕の写真はほとんどがポジフィルム(スライドフィルム)で撮っている。
これは学生の頃、先輩から「カラーをやるならリバーサル(これもスライド)でないと」とか、写真の指南書にも「リバーサルで露出とフィルタの技術の収得ができる」と書いてあったからで、そして実際にポジフィルムで撮った写真はネガカラーの写真よりも色乗りが良く撮れるからである。

ポジフィルムは実はネガカラーよりも同一感度(ISO100)で種類が多い。フィルムの話をしていたらきりがないのであるが、前述のすべてに通じることはポジは一発勝負である、ということである。なぜならポジは基本的にスライドとして見るので、撮影と現像の工程しか踏まない。
え、ネガは違うの?と思った方は、実際に現像したことのない方である。ネガは撮影、現像でできるものはあくまでネガなので、プリントのため露光、現像が必要になる。なーんだ、と思うなかれ。(なんか大袈裟だな)ネガカラーの場合、観賞するプリントはネガからの露光時に色フィルタで付けた色なのだ。
しかもこの色の判断はラボマン、人がやる。それならまだましか。自動機で出たなりって所が多い。さらにこの自動ってのが曲者で、基本的には色の三原色(シアン、マゼンダ、イエロー)が均等に混ざったものが最良としているらしいので、青空だけ、夕焼けだけ、草原だけ、といった写真はありえないことになってしまう。木漏れ日やシルエットだってあり得ないことなのだ。結果、どんなに良いカメラを使ってもできた写真は、みんな白とびしたような日なたとべったっと黒く潰れた影の写真になる。
で、ポジはそういった工程がないのでカメラとフィルムの性能で決まる。いや、本当はフィルタワークを含めた腕で決まるのだが;)ちなみにはやりのデジカメも普通の人はネガカラーと比較して「デジカメは綺麗だ」とかいっているのであって、ポジフィルムをつかえばそれ以上に目からウロコ状態になると思うのだ。

ところが、また、良いことずくめのようなポジフィルムも、フィルム自体の性能(露光許容度とか粒状性とか)はネガフィルムに一歩譲る。技術的理由は良く知らない(おそらく光の原色RGBから補色CMYに変換する効率からくるのだろう)が、皮肉なものである。なにより露光許容度、ダイナミックレンジが狭いのは情報量欠如という意味で致命的である。

最近は印刷技術の進歩で製版もネガフィルムでOKになってきて(昔はフォトコンテストにはスライドでないと駄目だった)、報道写真が白黒を使わずネガカラーになったこともあって製品開発はネガカラー全盛である。これはデジカメでも言えることで原色系フィルタと補色系フィルタの違いにつうじるのだが、勉強不足により中断。

で、スキャナはプリントからではなくフィルムからでなくてはいけないのである。ところが、である。フィルムスキャナによって、撮影者自身がオペレートできるようになると、プリントのラボマンを自分がやるようなもので、自分の納得が行くまで色調整ができる(でもこれがむずかしいんだが)ので、フィルム自体の性能の方が重要になってくる。

すると、今後はネガカラーで撮った方が良いのか?すくなくともパソコンモニタ上で見る限りではネガカラー+フィルムスキャナが現時点で最強の組み合わせである。それもフィルムサイズCCDの一眼レフデジカメには即時性などで負けるが。

そんなわけで当面は性能の良いフィルムスキャナが不可欠、と思い、NikonLS-2000を買ってしまった。いままで前振りして、いいたいのはこれだけかい!とは言わないでほしい。図星だから・・・;

1999年8月26日