naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

カメラのファインダー 2(2000)

カメラのファインダー 2

今日で正月休みですが、前回の続き

レンジファインダーのカメラはライカM3で完成して最盛期を迎えた。1955-60年の頃である。この頃には交換レンズも充実してきたが、同時にレンジファインダーカメラの欠点も見えてきた。最も大きかったのが報道に多く使われるようになった135ミリ以上の望遠レンズだった。以下のような問題点が上げられる。

レンジファインダー=距離計が撮影レンズによらず基線長、三角測量の原理で二角夾辺から三角形の高さを求める場合、その辺の長さが大きいほど精度が高いがその長さが一定であるため、望遠レンズでは距離計精度が不足する。

・撮影範囲がレンズ焦点距離により変化するが、その範囲を示す枠も、レンズにより変化する必要が出てきた。ライカM3は複数の焦点距離枠を自動切り替えし、完成形と言われた。ニコンSPなども同様の機能を持つようになった。しかしレンズの種類が増えてもその枠は変わらないので厳密なフレーミングが出来なかった。

一方、一眼レフカメラが省みられるようになったのは、レンズを通した像が直接見えるので多種のレンズにも全てに対応できるシステム発展性が見込まれたからである。前回指摘した欠点について技術的改善が図られたのもこの時期である。

1.「ファインダーが(磨りガラスで)暗い」
コンデンサーレンズを入れて明るくした。さらに磨りガラスを規則性凹凸のマットに変えた。

2.「左右逆像(ビューカメラは上下も逆)である」
ペンタプリズムを置き、上下左右正像でアイレベルになった。

3.「絞るとファインダーが暗くなる」
=シャッター動作時にだけ絞り込まれる、自動絞り機構を入れた。

4.「撮影時にファインダーが見えない」
=シャッター動作中のみミラーが上がり、すぐに戻る、クイックリターンミラー。

5.「撮影姿勢が悪い(猫背という意味ではなく;)」
=これもペンタプリズムでアイレベルに。またファインダーを交換することでウエストレベルや高倍率にもなる。

また距離計はマット焦点板にマイクロプリズムや上下像合致プリズムなどの組み合わせで精度向上を図り、特に望遠レンズではレンジファインダー以上の精度をえられるようになった。

以上がレンジファインダーカメラから一眼レフカメラに移行した1960年頃の動勢である。日本ではペンタックスを皮切りにズノー、トプコンが次々に新技術を導入していき、1959年ニコンFが発売されると、レンズシステムの豊富さから一気に一眼レフカメラ大国に変貌した。

今、僕は一眼レフカメラを愛用していますが、何よりファインダーで実際のピントが見えるのがありがたい。のですが、フィルム面と、ファインダー面はあくまで等価の位置に調整されたものですから狂っていることもあります。ファインダースクリーン(焦点板)交換可能なカメラを見ると分かるのですが、この重要な焦点板もバネで片側に押しつけて保持しているだけです。精度上は充分ですが、座面に異物が挟まったり傷を付けたりしないよう気を付けなくては行けません。さらに最近ではAFセンサーで測距するのですから、大変です。最近のAF一眼レフカメラはファインダー像ではピントが良く見えないカメラが多いのはそのずれを見えなくすることでもあるでしょうが、やはり高級機はその辺の精度が充分高いので安心感があります。

また、巻き上げ速度の向上は、秒8コマとかいうものは一般には不要かと思われますが、上記のクイックリターンミラーの動きを素早くすることになるため、像消失時間が非常に短くてすみます。これはAFの精度向上にも繋がっています。ですから巻き上げの速いことは一こま撮影でも意味があるのです。

何より高速高精度AFはピント合わせの手間から撮影者が解放され、動体では従来では考えられなかった超望遠での高速連続撮影が可能になりました。レンズの性能も引き出し、写真表現にも影響を与えています。

このようにファインダー形式の改革以降も、AFや高速巻き上げも含めてファインダー性能の向上につながっており、僕はこれを高く評価します。ですから過去のレンジファインダーカメラが復権することはないと思いますし、それでカメラの性能が止まって良いとは思いません。

同時に今の一眼レフカメラもこれで十分などとは思いません。カタログスペックはこれで十分とは思いますが特に中級以下のクラスはもう一度カメラの本質に立ち返った性能向上が必要です。

僕が近い将来注目したいのは、デジカメに見られる液晶ファインダーです。これと光学ズームファインダーの組み合わせはデジカメの主流ですが、レンズ交換式デジカメは一眼レフカメラと同じミラーとペンタプリズムが入っています。僕はレンズ交換式デジカメもライカのような高品質の透過ファインダーと、今よりも高細密な液晶ファインダーを採用してもらいたいと思っています。液晶はこの先の技術革新で充分見やすいものになれば一眼レフファインダーの欠点を補えるものになるでしょう。こうなったときに一眼レフデジカメは必要なくなり、レンズもレンジファインダーカメラのような小型な広角レンズを作ることが出来ます。

また銀塩カメラにも液晶ファインダーを搭載してついでにCCDも300万画素くらい搭載し、銀塩とデジタルのハイブリッドにできるのではないでしょうか。

 

とまあ、こんな夢を見たわけですが現実の21世紀はどうなるでしょうか。何より写すに値する風景が今後も存続することを願って。

では、皆さん良い21世紀をお迎え下さい。

2000年12月28日