naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

オリンパスOM(2002)

オリンパスOM

以前、「カメラの行方」にも書いたように筆者とオリンパスOM-1との出会いが、写真趣味の始まりで、光学器械設計の思想に影響していると思っています。

当時のカタログが見つからないのが残念ですが、「日本カメラ増刊オリンパスOMシステムの使い方」という本があります。巻頭の「オリンパスOMシステムの誕生とその由来」という章は、開発者のオリンパス米谷氏の文です。

「・・・目で見た姿、形をあとあとまで残しておきたい。ありのままの姿を人に伝えたい。これは人類出現以来の望みであった。」と格調高く始まる中で、「一眼レフ出現以来の課題「大きい、重い、音・ショックが大きい」といいう三代欠陥の除去に正面から取り組み」「・・宇宙からバクテリアまでのあらゆる被写体の撮影」対応が「オリンパスOMシステムの開発理念である。」と述べられています。

オリンパスという会社は、カメラにおいては、「オリンパスペン」というハーフサイズカメラが大ヒットを飛ばし、個性的なカメラ会社として認められていますが、これも米谷氏の基本設計でした。それに比べれば「OMシステム」は普通に思えてしまうが、充分個性的だったことは先にも書いたことです。

その後も、OM-4で「マルチスポット測光」という機能を打ち出しました。スポット測光では、人の顔の明るさを計り、バックの明るさとのバランスを計算しなくてはならない。例えば顔が「1/60」、バックが「1/250」としますと、顔に合わせたらバックが飛んでしまいます。かといってその平均値「1/125」に合わせてはどっちつかずになってしまう。そこで顔が重要なので2:1の比率で加重平均します。「1/90」にしたいわけですがそんなシャッターがなければ「1/60」で半段絞るわけです。ややこしいですか?ところが「マルチスポット」なら顔で二回ボタンを押し、バックで一回ボタンを押すだけでカメラが加重平均して自動露出してくれるというわけです。これはいいですよねえ。

しかし、同じ時期に出たニコンFAが「マルチパターン測光」で、オートで自動補正してくれるという。この方式は素人向けと思ったのですが、報道カメラマンに受けたんですね。「マルチパターン測光」はオリンパスを含めた他社にも採用されたのですが、「マルチスポット測光」はキヤノンT90、ミノルタα9000くらいにしか採用されませんでした。

1972年のOM-1発売以来30年、ついにオリンパスはOMシステムの販売中止を発表しました。しかし、冷静に見れば、OMはAF化しながらその発展に躊躇し、敗退、MF一眼レフシステムとして、コンタックスMFマウントが終焉を迎えたように、OMシステムの使命を終えたということでしょう。

気が付けば、銀塩一眼レフカメラデジタル一眼レフカメラシステムへ変貌途中の現状で、数年後には業界全体が様変わりしているかも知れません。

2002年2月10日