naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

一眼レフデジタルカメラ-3(2002)

一眼レフデジタルカメラ-3

固体撮像素子は、CCDやCMOSが現在実用化されている。画素の大きさは、数ミクロン単位まで小さくなってきており、フィルムの銀粒子の大きさ(10ミクロンくらい)を下回る。 ならば銀塩写真を上回るかというとそう単純には行かない。固体撮像素子、特にカラーの、には以下の欠点がある。

・画素が規則的に並んでいる。

人工物である以上、当然であるが、これの何がいけないかというと、規則的な繰り返しパターン(編み目、髪の毛、遠景建物の窓枠など)が画素の規則パターンに重なると「モアレ」という実在しない縞模様が現れることあある。

・一つの画素は、一つの色しか感じない。

カラー撮像素子は、その一つ一つにカラーフィルタが付けられており(これの製造も大変であるが)、一つの画素は一つの色にしか感じない。カラーを表現するためにやっていることなのだが、色は「三原色」によって定義できることから、原色(RGB=赤、緑、青)か補色(CMY=シアン、マゼンダ、イエロー)の組み合わせの色フィルターが付いていて、その三つの色情報から一つの色が表される。では600万画素はその1/3の200万画素分しかデータがないかというと、実際には内部処理されて600万画素で出てくる。

このふたつの組み合わせで、「偽色」「モアレ」という実在しない画像が出てくる。以下の図は、バックに原色フィルターのパターンを想定してあり、そこに黒い縞のパターンを、いろいろな条件で重ねたものである。

pattern


カラーフィルタのパターンは「ベイヤー配列」という、市松模様のなかで黒が緑、白が赤と青の交互になっているパターンである。緑:赤:青=2:1:1になるが、これは緑が人の目の感度が高く、解像感を与える情報に使われるからなどの理由である。上図のように緑がかって見えるが、画素合成によってこれをグレーに表現する。

ここに画素ピッチ相当の白黒縞模様を重ねる。これが撮影画像に相当する本来の画像だ。緑-赤ラインが隠されると緑-青ラインしか出てこないので、合成後は青く見える。ピッチを一つずらすと逆に赤く見える。これを「偽色」と呼ぶ。

縞模様が傾くと、ピッチと違う方向にありえない縞が現れ、色が交互に付く。これは「偽色+モアレ」である。

ピッチが揃っていなければよいかというと、そうではなく、ピッチ方向に「偽色+モアレ」が出る。

このように、画素が増えたからと言って、それに等しい解像度の画像を得ることは、この偽色だらけの写真になってしまう可能性がある。もちろんそんな細かいパターンが存在しない場合は問題ないのだが。

この偽色、モアレを出さないために、高画素撮像素子には、ローパスフィルタという、画像をぼやかす光学フィルタが取り付けられている。上図の各パターンの下半分は、それに相当する「ぼかしフィルタ」を縞模様にかけているので、偽色が生じていない。

このようにレンズの解像度に匹敵するほど細密化された高画素デジタルカメラは、わざとその解像度を落とすローパスフィルタが入っている。だから拡大してみれば絶対ぼけた絵になっているのだ。それを内部処理でエッジ強調をかけて解像感を良く見せている。またローパスフィルタを弱めにして、「L*a*b」(概念ではわかりにくい)に変換して偽色を減らす内部処理もしているようだ。カメラによる解像度の違いはこのさじ加減に依るところが大きい。また、レンズの解像度、コントラストがこのローパスフィルタ特性にマッチしているかも影響が大きいらしい。解像度の良いレンズはコントラストが低いと言われているが、そういうレンズでは本来の解像度はローパスフィルタで消されて、コントラストが低いと画像処理でのエッジ強調もしにくいので、不利だと予想される。

まとまらないな・・、続けるかどうするか・・。

2002.7.27